2008-05-30

編集者な日々(3) 人間らしい置き換え

編集者には置き換え技術も必要になってきます。今日やってみたのは、以下の置き換え。

デラウェア法25 → デラウェア法§25

主に順番の入れ替えですね。


執筆者の皆さんに内容に集中していただくためにも、形式的な面はできるだけ編集者で楽に処理したいもの。楽にというのはこちらの事情ですが・・・

今回の本はアメリカの法律の条文について、条ではなく§を、逆にドル表示は$ではなくドルをと、結構癖のあるルールになっちゃっています。そのため、各章での記載の統一が結構大変。

今日はとりあえず条文を直そうかと思い、検索技術で対応してみることにしました。

使うのは、ワイルドカード検索

これで、15条、200条、105条a、10a条などという表記を、それぞれ§15, §200, §105a、§10aなどに直していきたいときどうするかというメモ。特に最後の2つはルールが違うので、両方拾えると結構おいしい。

ワイルドカードというのは、人間の頭で考えることを実現しようという仕組み。例えば、同条、ってなっているのと、条項ってなっているのと、15条となっているの、今回置き換えたいのが3つめであることは人間には明らか。一方、人間は直し漏れを完全に防ぐのは難しい。そこでこれを組み合わせて、楽にミスが少なくなるような校正をしようというのがこのエントリ。

ドラフトを読んでいると、今回は、どうやら数字か半角英数がしばらく続いたあとに条となるところまでは執筆者の方で勧めていてくれている模様。とすると検索としてはこれをルールにしてしまうのが一番。

ワードの置き換え・検索のオプションで、ワイルドカードを使用するにチェックを入れると、以下で上記の4つの例、いずれも検索でヒットし、同条、条項などはヒットしなくなります。

[a-z,A-Z,0-9]{1,5}条

これを解説すると、半角英数が、1-5個連続して続いて、次に条となっているのを全部拾ってくれる式ですね。

で、次に、なぜか一発で置き換える方法がわからなかったので(安易に言うべきではないですが、バグかもしれません)、段階を分けると、、、

英数の部分と、条の部分を入れ替える。

これもワイルドカードででき、同じくワイルドカードを使うオプションをチェックした状態で、

置き換え前文字列:([a-z,A-Z,0-9]{1,5})(条)
置き換え後文字列:\2\1

としてやると、半角括弧でくるまれた2つのグループの場所が入れ替わる。バックスラッシュになっているところは、¥の半角を利用してください。

もちろん全部置き換えでなく、一つ一つ見て置き換えていくのが望ましいですけどね。弁護士業務は実際の目が命ですから。

そうすると、15条、200条、105条a、10a条などという表記は、それぞれ条15, 条200, 条105a、条10aとなる。

この最後の105条a、10a条の両方が拾えているのは結構実際便利でした。

で、これを条→§でおきかえてやると、、、

めでたくそれぞれ§15, §200, §105a、§10aとなるわけですね。

まー、式が面倒でカスタムメイドしないといけないことなどがあり、結構人に伝えるのは難しい面もあるのですが、あるルールのなおしを全体に適用しないと行けない場合(例えば$15を15ドルに)など、結構これに近い式を使って見ると便利なことはあります。

全体の中身にコメントしながら、形式面ももれなくコメントというのは、訓練でできるようになるのですが、まー、機械の補助もそれはそれで便利につかえるものです。

よろしければお試しください。


2008-05-27

編集者な日々(2) 単語帳の作成

英語で習った内容を日本語で出版するので、翻訳が必要。この訳が場所によってずれるのは極力避けたいところ。


条文でも契約書でも判例でもないので、まぁ、読んでわかればいいというものの、結構ちゃんとした本になる(はず)なので、できるだけ訳はそろえたい。

本文中、英語を併記する場合、「日本語(英語)」という書き方をすることにしている。たとえば「取締役(director)」のように。単純だが、実は訳がずれていると明らかに読み手にわかっちゃう、実務上はあまりよろしくないやり方(笑)。

特に何人も担当者が章を分担して本を作成している今回のような場合、超危険。なので、無論基本ルールは読んでわかればいいというものにしてあるのだが、さはさりながら・・・

編集者としては、ちょっとでもあわせたくなるものです。

というわけで今日は単語帳を作りました。その方法を記しておこうかと思います。

1 単語を拾う

検索するのは上記のようなパターン。解析すると、日本語、全角括弧、半角英語となっているわけですね。

なので、この流れになっているところを、検索して、それをコピーしてやる。

具体的な作業は下記。

(1)まずは、例によってはたくり起動!

(2)で、ドラフトのワードファイルを開く。

検索は、以下で行いましょう。

(3)まず、全角括弧「(」がたまに半角の人がいるので、これがないかチェック。

検索画面で半角全角を区別するオプションにチェックを入れた状態で、ドラフト内の半角括弧「(」を検索してやる。で、必要に応じて全角に置き換え。

これで、拾いたいところは、日本語、全角括弧、半角英語の流れになっているはず。なっていないものは無視(笑)。

なお、全角括弧にそろえたいのは、下のワイルドカードと半角括弧が結構めんどくさい関係だから。全角使えるって結構便利です。

(4)単語の検索

今度は、半角全角区別のオプションを外して、ワイルドカードを使用するというオプションにチェック。

その上で、「([a-z,A-Z]」で検索してやる。これは、全角括弧の後に半角の大文字又は小文字のアルファベットがくるものを検索という内容。

これで必要箇所を探してコピー。ひたすら繰り返す・・・・・・しんどいけど、文系の限界(笑)。

2 単語の整形

例によってEmEditorで整形。

(1)EmEditorを起動し、はたくり(行末に改行がないときは改行を入れるオプションを使用)を使って、先ほどコピーした単語を全て貼り付ける。

(2)その上で、日本語と英語の間の全角括弧をタブに置き換えましょう。エクセルを使うためにね。

置き換えは、正規表現を使用する、とした状態で、

置き換え前 (     ・・・・全角括弧
置き換え後 ¥t    ・・・・タブっていういみ

これで一発ですね。

で、これを全部コピー。

3 エクセルに貼り付け、使いやすくする

(1)エクセルを起動し、先ほどコピーしたのを貼り付ける

(2)一番上に一列空白行を追加し、タイトルをつける。

章番号

日本語

英語

1

取締役

director




こんな感じ。

(3)で、一番上の行にオートフィルターを適用してみる。

メニューから、データー>フィルターー>オートフィルター

これで欲しい章だけ表示することができる。その章にたとえば色をつけると(上のペンキマークのアイコンとかで)、全体表示に戻したときに、自分の章だけ色がついていて、他の章の人と折衝がしやすい仕組み。

英語・日本語での並び替えと合わせると、だいたいやりたいことができてくる。

ま、書くと単純なんですが、数が多いと大変。今日は700個くらいの単語帳でしたが、しんだ。時間は3時間くらいのものでしたが、指が、指が、、、、ま、その後このブログを書けるくらい(笑)死にました。

指がつって頭がもうろう・・・となったときに考えたのは、日本にいたときは秘書さんとかパラリーガルの人にお願いしていた(方法とかは自分で考えるが)作業を自分でやると死にそう。改めて感謝の念がわきました。



2008-05-25

編集者な日々(1) サイテーションチェック

みんなで本を書いておりその編集役となっている。珍しい機会なので、こうしたら楽だったというのをある程度メモしておこうと思います。

単なる備忘なので、書き方も内容もいつもにも増して適当です。


米国の判例を引くときは、サイテーションをつけなければいけず、それのチェックは編集者の仕事となります。

大量に数字、英語をチェックしなければならないので、とりあえず楽な方法が必要。

(1)判例の記載箇所の検索

まずは、チェックする判例のピックアップ。

サイテーションには、数字が含まれているので、これを検索することにします。

Wordの検索(ctrl + f)で、オプションの中から、Wild cardを使用するを選択し、検索語を
[0-9, 0-9]
としてやる。

これで「半角の数字または全角の数字」があれば全部拾ってくれる。

これでとりあえず判例を見つける。

(2)はたくり

見つけた判例をとりあえず全部取り出したい。

こういったときに便利なのが、クリップボードの遍歴をとってくれるソフト。以前紹介のはたくりを使用。

過去のはたくりの紹介

こいつを起動しておき、先ほどの検索でサイテーションのところにきたら、判例とサイテーション部分に分けてコピー。これで記録をとってくれる。

(3)一覧表の作成

判例とサイテーションの一覧を作る。

さきほどの遍歴をはき出す。はたくりからWordかEmEditorに貼り付ける。その際、はたくりの設定で行末に改行がない場合に「改行する」としておくと便利。

これで、

判例名
サイテーション
判例名
サイテーション




という一覧ができるはず。

数が多くなければ、これを手作業で
判例名<タブ>サイテーション
判例名<タブ>サイテーション
判例名<タブ>サイテーション




という並びに変えて、エクセルに貼り付ける。多ければEmeditorのクイックマクロなどを使用。

過去のEmEditorの紹介

これで一覧表の完成。何の本かばれそうだな。


Cheff v. Mathes

199 A.2d 548 (Del. 1964)

Unocal Corp. v. Mesa Petroleum Co.

493 A.2d 946 (Del. 1985)

Unitrin, Inc. v. American Gen. Corp.

651 A.2d 1361 (Del. 1995)

Moran v. Household International, Inc.

500 A.2d 1346 (Del. 1985)

Carmody v. Toll Brothers, Inc.,

723 A.2d 1180 (Del. Ch. 1998)

Quickturn Design Systems v. Mentor Graphics

721 A.2d 1281 (Del. 1998)

Revlon, Inc. v. MacAndrews & Forbes Holdings, Inc.

506 A.2d 173 (Del. 1986)

Paramount Communications, Inc. v. Time, Inc.

571 A.2d 1140 (Del. 1990)

Paramount Communications, Inc. v. QVC Network, Inc.

637 A.2d 34 (Del. 1994)

Blasius Indus., Inc. v. Atlas Corp.

564 A.2d 651 (Del. Ch. 1988)

MM Companies, Inc. v. Liquid Audio, Inc.

813 A.2d 1118 (Del. 2003)

Unitrin, Inc. v. American Gen. Corp.

651 A.2d 1361 (Del. 1995)

Omnicare, Inc. v. NCS Healthcare, Inc.

818 A.2d 914 (Del. 2003)

In re Toys "R" Us, Inc.

877 A.2d 975 (Del.Ch. 2005)




ま、一覧表である方が人とも情報を共有しやすいですしね。

(4)チェック
これをプリントアウトして、手元に置いてチェック

レキシスかウェストローあたりで、先ほどコピーしたはたくりをペースとしてチェックしていく。

こんな感じでやったら多少楽でした。




2008-05-20

トレード (13)トレードかadd/dropか

トレードとFAでのadd/dropというのは背反関係にあり、プレイヤーは適宜いずれが効率的か選択して動くことになります。FAが厚ければadd/drop、薄ければトレードが有効となる場合が多いです。


FAからのadd/dropの特徴(利点)として、相手方が常に受諾すること、取引コストが不要であること、マーケットが大きいことがあります。

FAは相手のプレミアの予測が不要(必ず受諾)

Xとのトレードが成立するYの範囲は以下の式でした。

oX+pAX - pAY < oY < oX+ pBX- pBY

FAの場合、受諾行為は自動なので、式の右半分が不要です。したがって

oX+pAX - pAY < oY

だけ考えればいいと言うことになります。これで実際上はとても時間と見極め能力のかかるBにとってのプレミア(pBY、pBX)の予測という作業が不要になり、自分の側だけで確定的に考える事ができるようになります。

取引コスト不要

上記、pBX, pBYを推測する作業も取引コストの一環ととらえることができますが、これ以外にもトレードは実際上やりとりに時間がかかるほか、受諾後ペンディング期間があるために、最終的にロースターに反映されるタイミングも非常に遅くなります。従って機動的に動くこともできないし、不確定の要素が多くなります。還元すると不確定であることという意味でのリスクが非常に高い。

このような追加コストがかからないというのはadd/dropの魅力の1つとなります。

マーケットが大きいこと

フォーマット、リーグの面子にもよりますが、大概は、トレードのマーケットに比べてFAのマーケットは大きいです。野球のパブリックの場合、実際にFAにいる人数が相当多く、毎日FAでその日活躍する人を(神業的に)とることができれば、最初のドラフトがどんなに失敗でも通常は1位になれるくらいの厚みがあります。これはアメフトとかとは大きく違いますね。

FAのデメリット(トレードのメリット)

FAからadd/dropすることと、トレードを比べた場合、FAのデメリットはそう数多くはありません。ただ、トレードの利点のうち一番大きなものとして、FAにはいない大物を狙えるというのはあります。

枠に限りがある中で日々のロースターを選択していく以上、最終的に問題になるのは選手の質です。神業的add/dropには大きくは期待できませんしね。この枠を継続的に与えてもいいなと思える質がある選手というのはやはりFAではなく各チームに属しているのです。従って、これを獲得するには基本的にはトレードしかないわけです。

FAとトレードの交錯

以上からすると、FAにいるような選手については、簡単にadd/dropをするのが効率的で、手間のかかるトレードは、FAにはいないような大物をねらう場合に使うのが合理的ということになります。

これをAの視点から場合を分けて考えてみます。

プレミアが一般的に選手の客観的な価値に比べて十分に小さい限り、トレードが成立するのは以下の範囲となります。

oY ≒oX

一方、add/dropが成立するのは、

oX<oY

従って、Xを持っているAの発想としては、当該プレイヤーを捨てるかトレードに出すかというのを考える場合、客観的により価値があるプレイヤー(Y)がFAにいればまずはFAをあたり、Xがそれがどうしてもいないような大物である場合(oXが大きい場合)のみトレードすべきということになります。

一方Xに(のみ)プレミアが発生している場合、トレードが成立するのは、

oX+pAX< oY < oX+ pBX

プレミアが人により変わらないとすると、

oY ≒oX+pX

が成立します。

一方同様の作業で、add/dropの式は、

oX+pX< oY

よってこの場合、Xについてadd/dropにするかトレードにするかの基準はoXではなくoX+pXで決定すべきということになります。

で、このpXがあるか否か決定するために必要なのが価値軸を増やすこと、ですね。

実際のプレーでは、パブリックのカジュアルでやる限り、ほとんどの選手には意識すべきほどのプレミアはつきません。従って単純にoXとFA層だけ見比べてadd/dropをするか決めればいいし、FA層より実力が高い選手についてはトレードに出す、という単純な戦略で大丈夫となります。これが一般的な価値とされるOrankが重視される理由ですね。

ただ、competitiveなリーグや、プライベートのリーグではときに一部の選手に相当のプレミアが発生している場合(pX, pBXが大きい)もあります。その場合は、単に自分にとって不要な選手である(oXが小さい、pAXがマイナスなど)というだけでdropせずに、トレードに出す方が効率的であるということになります。

FA層の価値評価に与える影響

選手の価値を計るのに、次に存在する同じ条件(ポジション)の選手よりどの程度優れているのかという手法があることは前に述べたとおりです。

この評価手法は典型的にFA層との比較感で選手の評価をする場合に役に立ちます。

たとえばFA層に本来的に8の成績の選手がいる場合、9の成績の選手をoX=1と評価するわけです。

式にすると、成績をrX、FA層の同等選手(一般)の成績をfrXとすると、

oX=rX-frX

ですね。

従って、FA層が厚くなれば、frXの値が増えるので、その選手の価値(oX)は減り、逆にFA層が薄くなればその選手の価値が増えることになります。

選手の価値をこのように計った場合、FAが薄いとdropしない方がいい選手の層(X)が増えます。逆にFA層が厚ければadd/dropでいい。その結果、以前書いたようにカジュアルなリーグほどトレードよりadd/dropを繰り返すべきことになり、このようなリーグではトレードするほどの価値のある選手(X)というのは非常に少数になります。

なお、余談ですが、先ほどの式との関係では、rY=frYとなるのが一般なので、oY=0となり、

rX<frX

の関係が認められるときは、dropすべきという表現になります。FAに自分の手持ちの選手より優れた選手がいればdropすべきということを表しているに過ぎない、とするのはちょっと寂しいので、「FAが厚くfrXが大きい場合、dropすべきXの範囲も大きくなる」と表現しておきます。FA層が厚いならトレードよりadd/dropですね。

また、このfrを考えるやり方はそもそもoXの算定ではなく、プレミアの算定の場面の話では?という批判も考えられますが、以前記載したように客観的な価値が何でなにがプレミアかの分類は考え出すと結構難しく、ここはとりあえず客観に分類したということですね。

これをプレミアに分類する(FA層の厚さがpXに影響すると考える)と、「FA層が薄いと普段プレミアの発生しない選手にまでプレミアが発生する場合がある」ということになろうかと思います。結論は一緒ですね。FAが薄ければ薄いほどdropするまえにトレードを検討すべき、となる選手が多いということになります。

編集後記

このように、ある選手についてどう取引すべきか(add/dropかトレードか)というのは、場合により異なります。2つしか選択肢がないので、片方が有利な状況であればもう片方はとるべきではない道ということになる、まぁ、あまりに当然のことで、書いてみてちょっとがっかりなエントリでした。FA層の厚さを書くときからからわざわざ数回に分けて相当検討を重ねたのに・・・ま、浅はかさ故なんでしょうね。

何となく自分で整理できた気がするからよしとしましょう。



トレード (12)価値軸を増やすとトレードは増加する

価値軸を増やすと、探し得る案件の数は増加します。


他のチームは何を考えているかわからない

ある選手を出す場合の、トレード案件の潜在的な数(マーケット)は、トレードの容易さに非常に密接に関連します。

FA以外の選手について、ある選手(以前からの例を使い、たとえば2B2(5))で取得できる3Bのマーケットの広さというのは、他のチームの状況に左右されます。

他のチーム(たとえばA)の3B(たとえば3B1(10))について、Aが、2B2(5)と交換するかというのは、Aにとって2B2(5)が何らかの面で、3B1(10)を上回る価値を有すると考えたときのみになります。

ここでポイントになるのは、実際のゲームでは他のプレイヤーが何を考えているかわからないということです。

もし、Aが2B2(5)の方が3B1(10)よりも価値があると思えば、2B2(5)を対価とするマーケットに3B1(10)は存在することになり、そうでなければ3B1(10)は存在しないということになります。

そして、Aが2B2(5)と3B1(10)をどちらが価値があると考えるかは、Aの価値軸の数や価値観によって変わってくるので、これをBが想定するのは非常に難しい。Orankという便利な物差しで説得されてくれる相手であれば楽ですが、大概100%Orankに従って動いている人などいないので、大概、手探りでマーケットを確認していくことになります。

このように2B2(5)をベースにした場合に、他のチームに所属する選手について、マーケットがどのくらいあるのか、それを画する作業自体非常に困難を伴います。

式で考えてみる

以下の状況設定で式にしてみます。

選手

所属

客観的価値

Aの認めるプレミアム

Bの認めるプレミアム

X

A

oX

pAX

pBX

Y

B

oY

pAY

pBY



なお、以前から書いているように何を客観的価値とみるかは人それぞれで、客観的な価値とプレミアムの境界は非常に曖昧ですが、ここは両者が区別可能との前提で考えることにします。で、この客観的な価値(oY、oX)はAB両方がわかるものとします。

最初XはAに所属し、YはBに所属します。従って、最初のお互いの満足度はこんなかんじ。

A X(oX+ pAX)
B Y(oY+ pBY)

AがBにオファーをするのは、Aにとって、XよりYの方が価値がある場合ですから、以下の式が満たされる場合です。

oX+ pAX < oY+ pAY

式で書くと難しそうですが、言っていることは単純です。AがXよりYが欲しいと思ったらオファーする、それだけですね。

逆に、Bがアクセプトする条件は、BにとってYよりXの方が価値がある場合です。

oY+ pBY < oX+ pBX

この両方の式を満たす場合のみトレードが成立します。

Aにとっての「Xを対価として得られる選手」のマーケット

じゃ、AがXを持っていた場合、対価となり得るYはどうはかればいいでしょうか。いずれの式もoYでまとめてみます。

oX+ pAX – pAY < oY < oX+ pBX- pBY

これを満たすYがマーケットにいる選手ということになります。

なんのこっちゃ、という感じですが、要は、自分がXを出して相手もYを出してくれる、こんな関係にあるYはこの式を満たすことになります。

ABいずれもXYにプレミアを認めないと取引成立することはありません。上の式で言うと、pがついているのが全て0である状態です。

唯一oX=oYのときに成立し得ますが、そもそも取引をする必要がありませんからね。

価値軸を増やすとオファーの範囲が広がる

設定上、Aがわかる数値は、oX、oY、pAX、pAYの4つです。

価値軸を増やすというのは、pAY、pBYの値の取り得る幅を増やすということですね。プレミアムというのは要は自分の持っている価値軸のうちどれかを使って得られる値ですから。これにより、上の式で見る場合、oX、oYに比べたプレミアムの部分が相対的に大きくなり、オファーできる案件が増えます。

具体感のある数字で言うと、たとえば、oXが100であるとします。でプレミアのありえる値の範囲が-10から10(以下表記は[10]とします。)とします。たとえば嫌いとか、同じポジションの上位がいるとすると、マイナスのプレミアがつくわけですね。

オファーできるかは、oX(100)+ pAX[10] – pAY[10] < oY、を満たすYですから、取り得るoYの値は、80-120。

一方、あり得るかどうかはともかく、極端な例としてプレミアが[50]だとすると、

oX(100)+ pAX[50] – pAY[50] < oY

オファーできるYのoYは0-200と広がるのです。

プレミアはいろんな価値軸ではかったときの値ですので、その最大値は、価値軸を増やせば増やすほどプレミアの比重が大きくなります(上の設定の仕方だと[10]とかなっているうちの、10の数が増加する感じです)。従って、オファーできる案件も増えるのです。

価値軸とアクセプトの範囲

一方、アクセプトするか否かは、以下の式。

oY < oX+ pBX- pBY

Bのプレミアの付け方がわからないAとしては、これを予測するしかないのです。なので以下の範囲はAの予測ベースの話ということですね。この場合も、価値軸が増えて、上記のように[10]が[50]になると受諾(予測)の範囲は増加します。

これは何を意味するかというと、一見誰も受けそうにないオファーでも、実は受けるかもというオファーを見つけるのに役立ちます。

トレードは交換が基本なので、相手が極端なプレミアムを払ってくれたり、こちらが極端な形の崩れをなおしたりするのでなければ、直接大幅なチームの増強はありません。したがって、このように価値軸を増やして、相手が受ける「かも」という案件をたくさん見つけることができるというのは、トレードでチームを継続的に強くしていく上では重要な能力となります。

なお、相手がその価値観をもっていることが確定できる(たとえばバランス重視、Orank重視、大砲好き、先発軽視・重視、盗塁重視とか)のであれば、相手が受ける「かも」という具体的な案件を見つけ、取引にこぎ着けることができる可能性・こちらが最大限の利益を受ける点を探す容易さが増大します。これはpBX、pBYの値を[10]から8とかに確定していく作業ができるからです。敵を知り己を知らば百戦危うからずといいますが、敵を知りの部分ですね。

まとめ・雑感

価値軸を増やすとトレードでオファーできる案件が増え、また見つけることのできる、受けてもらえる「かも」という案件の数も増えます。

これは実際の感想とも合致する感じです。

何度も書くように、野球は他のスポーツに比べて制約がきついので、いろいろな価値観というのは比較的容易に見つけることができます。これを増やすだけで、トレード成立件数というのは結構増える感じですね。無論リーグのメンバーの性向にもよりますが。

実際の社会でも、ま、門外漢雑感ですが、再生案件とかはまさにこんな感じなんでしょうかね。再生対象が決まっている場合は金集め(投資家探し)で、お金・投資家がすでにいるファンドでは案件探しで、こういった、受ける「かも」の層をより広く見つけることができるというのは、結構重要視されるのかもなと。

2008-05-15

トレード (11)FAの実力を知る

add/dropでもトレードでも、いつでもアクセスする事ができるFAの状況を知るというのは非常に重要になってきます。


FAとは

FA(Free Agent)とは、どのチームにも所属していない選手の一団をいい、この状態の選手については、基本的にどのチームでも即座に自分のチームに加えることができます。

add/dropの対象となるのはFAにいる選手ですので、これらの選手の状況が重要になるのは当然です。一方トレードの場合は、FAという選手を非常に安価で提供してくれる第三者としての役割を果たします。

このFAについて、通常のパブリックのフォーマットで遊ぶ場合、圧倒的に外野手、先発投手に有力な選手が集中するということは従前より書いているとおりです。

FAの実力をはかる

こういった機能を果たすFAについて、多くが語られることはとても少ないです。そこで、ここでは手探り状態ながら、FAの実力をはかってみたいと思います。

そもそもこのFAの実力、人数が多すぎることもあり、どのように把握すべきか、それが悩みとなります。ここでは、ゼロサムゲームであることを利用した計測をしてみたいと思います。

大リーグの1週間の記録は全て、各ファンタジーチームに所属している選手かFAにいる選手により記録されます。で、ファンタジーチームに所属している人数はほぼ一定です。

FA層が薄いと感じる場合、多くの記録が各チームに所属している選手により記録されているということでありましょうし、FA層があついと感じるということは、多くの記録がFA選手により記録されていることになると思います。

add/dropも私の遊び方の場合、多くはそれ専用の枠を用いた短期的な成績を求めるものです。また、トレードで他の人が選手を獲得するかというのを判断する場合、選手のそのときの調子というのはとても大きな役割を果たします。もともとランクの高い人からトレードしているので、皆がランク通りの実力を発揮していればトレード・レギュラー獲得用のadd/dropの必要はないのですが、レギュラーに一定数は不調選手・怪我選手が発生しますし、FA選手にも大化けする選手・絶好調になる選手というのが発生するため、これらが必要となるのです。

こういった遊び方を想定する場合に、一番知りたいのは、今現在のFA市場の状況です。これのはかり方として、野手・先発の場合1週間の成績を考えるということが可能ではないかと思います。

1週間のうちどれくらいの割合の記録(野手の場合本塁打・盗塁・得点・打点・安打数、先発の場合勝星・奪三振・投球回数)が各チームに所属している選手によって記録され、どれくらいの割合の記録がFA選手によって記録されているかをチェックしてみることにしました。率系の数字は把握が難しいこと、クローザーをはじめとするRPは情報により取得する確率がおおいことから、計測の対象とはしていません。

具体例

以下は、私がコミッショナーのリーグ(14名のリーグ。比較的コンペティティブで、FAが薄いと感じます)の今日現在のFAとチーム所属選手について、昨日までの1週間を対象としたデータです。選手欄のall taken players とall available playersを利用しています。イニング数は1回1/3を投げた場合1.1と表示され、1.1と1.2を足すと本来3ですが、この集計では2.3となるので、正確ではありません。


taken

%占有率

FA

%

HR

114

71.7%

45

28.3%

SB

77

66.4%

39

33.6%

R

500

62.7%

298

37.3%

RBI

476

60.6%

310

39.4%

H

998

58.7%

701

41.3%








%占有率



W(SP)

35

49.3%

36

50.7%

K(SP)

433

53.3%

379

46.7%

IP(SP)

543.6

47.1%

609.6

52.9%




これが総合計ですね。FAに残っている割合の少ない順にHRでした。投手はいずれも半数くらい残っている感じですね。この週はどうやらエース級の登板が少なかったようで(おそらくローテーション3-5番手が多かったかと)、チームに保有されている投手の占有率が50%位になっていますが、その前は60%くらい保有されていました。また、その影響からから、攻撃statsの総数は相当違い、この週の方が高いです。ただ、野手に関しては割合は一緒くらいでしょうか。

今週活躍した人(週間Orank100位以内)

Orank100

Taken

(total)

typical

FA

(total)

tipical

Wright 07

per 7 games

人数

49


12


160

7

HR

72

1.5

16

1.3

30

1.3

SB

34

0.7

9

0.8

34

1.5

R

230

4.7

48

4.0

113

4.9

RBI

237

4.8

53

4.4

107

4.7

H

408

8.3

75

6.3

196

8.6















Orank 100

Taken

(total)

typical

FA

(total)

typical

Peavy 07

per 2 game

人数

15


12


34


W(SP)

16

1.1

16

1.3

19

1.1

K(SP)

145

9.7

88

7.3

240

14.1

IP(SP)

152

10.1

137

11.4

223.1

13.1



これを見る限り、野手は、盗塁をのぞいて、1週間限定であれば超一流選手と同様の数字を残すFA選手というのも十分に手当可能ということになります。ちなみにこのFA12名のうち外野を守れるのは6名で、やはり半数でした。その前の週は実にFAの平均盗塁0でしたので、一般に盗塁を活躍するFAから稼ぐというのは結構難しいのかもしれません。add/dropのところで書いたように数字が少ないので、add/dropでねらう対象としたいところですが、なかなか難しそうです。走りまくりのレギュラーをFAからとるということはできてもadd/dropで日々稼ぐというのは難しそうですね。よってレギュラーで盗塁は確保したいかも、と思われます。

投手についてやはり目につくのは、奪三振率の難しさと、勝ち星の容易さでしょうか。SPをadd/dropしてやっていくというのは結構作戦として良さそうですが、その場合、よっぽどレギュラーで奪三振率というのをしっかり確保しておいた方が良さそうですね。そうしないと年間1000奪三振(0.8K/IP)が厳しくなりそうです。少なくともこの週、前週の活躍したFA先発の平均奪三振では足りませんでした。言われているように奪三振率重視で投手をとるのもいいのかもしれません。逆に奪三振のないタイプをドラフトで指名した場合add/dropでイニングを補うというのではなく、しっかり頭数をそろえてローテーションを守る方がいいように思われます。

以上は1週間の成績ですし、成績のいい人はすでにaddされていたり、スポットでのadd/dropの結果、今FAでも成績自体はチームにカウントされている場合もあると思います。またその分析も人それぞれと思います。ただ、全般的なざっくりした傾向は、結構感触とあっているかなという感じです。

自分のチームの選手がどのくらいの成績を残しているのかというのを比較する対象にもなるかもしれません。特に結構活躍しているというためには、ざっくりHが10本、R/RBIが各5点、HRが2本、盗塁1つくらいは欲しいというのは、実際使いやすいデータではないかと思います。ま、不調選手がいても好調選手で補えていればいいんですけどね。

毎週こんな事をしているわけにもいきませんが、たまにはいいのかもしれません。



ネットサービスは夜つかわない

今日はやってしまいました。



Facebookというサービスを利用しているのですが、先日飲んだ友人も使っているというので、友人として紹介しようと思い立ったのが昨日深夜・明け方。

Gmailのアドレス帳から友人を捜すサービスがあるのでこれはいいと、これを利用したところ、、、、アドレス帳に載っている全員に招待状が行っちゃいました(爆)。

前の職場の同僚も、今の職場も、教授も、よく知らない人(笑)も。加入しているMLにも。

皆さんもご注意ください。

こういう危険のある作業はトレードで疲れた頭でやってはいけません。。。。

あー、しかし朝からへこむなぁ。
ま、加入時以来の爆発的な友人の増加だし、いいか。


2008-05-10

トレード (10)Orankの有効性

Yahoo!では誰でも気軽に選手の価値を計れるようにOrankというものが提供されています。これは非常に良くできていて、使い勝手がいいものです。


Orankの必要性・有効性

Original Rankの略でしょうか、ちょっと定かではないのですが、Yahoo!のファンタジーベースボールでは、選手をそのファンタジーにおける価値に応じてランク付けしています。それがOrank。

はじめて遊ぶプレイヤーは、実際の選手を知っていようと知っていまいと、ファンタジーにおける選手の価値というのは基本的に知りません。従って、これを測る物差しが欲しい。また、ある程度経験を積んだプレイヤーでも選手全員の価値を覚えておくなどと言うことは不可能で、なにか基準になる指標がほしい。それに答えてくれるのがOrankです。

Orankは実際にドラフトで選手を獲得する際の指名順位の検討、トレードの際の価値の検討、add/dropの際の将来性の目安など、さまざまな面で活用されます。とにかくわからないことがあったら、自信がなければないほど、頼るべきはOrankなのです。

Orankの優れた点は、全選手を1つのランキングで現していることです。一般の人間にはポジションの違う先発・抑え・打者のファンタジーにおける価値というのがわからないところ、これすべてOrank1つでとりあえずの指標が出るのです。たとえば、日本のプロ野球で言うと、神様仏様といわれた稲生と、世界の王、どちらがファンタジー的に価値があるのか、また、名勝負といわれた江川と掛布、今の阪神で言うと金本と藤川、どっちがファンタジー的に価値があるのか、さっぱりわからないわけです。同じファーストとかであればまだ比べられるものの、ポジションが違うと相当難しい。そういったものを1つのランキングであらわすというのは大変難しく、それだけに精度が高くそれをしてくれるとすれば、その価値は著しく高いのです。

Orankの精度については、いろいろ議論もあるところですが、少なくとも野手で50番以内、先発で言うと100番以内位をとって、1年間どうしようもなく失敗しているという確率は驚くほど少ないです。メジャー全体での選手の数から考えて、これだけ確率の高い選手をちゃんと選び出す眼力というのは本当に驚くばかりです。さすがファンタジー大国アメリカというのを感じることができます。

実際のゲームに当たっても、とりあえずOrankに従って選手を集めるようにすれば大やけどをする可能性はきわめて少なく、Orank集めということをするだけで、ふつうのパブリックのカジュアルリーグであれば勝つことができるのではないか、そんな風にすら思います。それくらいできがいいです。

実際に数十万リーグを運営して傾向をはかっているYahooだから精度が高いというのもあるのかもしれません。実証データが多いので。

はじめてファンタジーをする際は、是非このOrankというのを重視してプレイすべきではないかと思っていますし、実際そう進めています。

Orankの限界(フォーマットに応じた修正)

不思議なことにOrankを皆が重視してゲームをしていても、なぜか毎回勝つ人は勝ち、負ける人は負ける、そういう結論に至りがちです。

これは1つには、無論超大物新人を発掘する目というのがあります。たとえば野球であれば、やはりメジャー通という感じの人は強いです。特にマイナー情報にまで通じている方は。

ただ、友人連中といくつかのスポーツを一緒にプレーしていて思うのは、やはりフォーマットや、点数の付き方、稼ぎ方という型は結構あるのかなということです。Orankだけを重視していると毎回勝つとかいいところで競うというのは難しいのではないかと。

そりゃそうなんです、考えてみれば。

オートドラフトの時は基本的にOrankに従ってチームが作られます。そんなにリスト作りには時間をかけない人がオートであることが多いので。で、そのまま誰もadd/dropしなければ非常に競るか、というとそうでもないのかなと思います。やっているリーグは余り見ませんが、結構差がつくのではないかと。

これは神ならぬ身で結果を完全に見通せない以上、当然ですね。

従って、Orankは重視すべきであるが、リーグのみんなが同じくらい重視しても同じ成績(似た成績)とならず、結構差がつきます。そのときにできてくる各statsのポイントの格差を調整するバランス感覚が問われてきます。

Rotisserieでは、パブリックの場合その部門1位になると12ポイントが最下位になると1ポイントが与えられ、10部門の合計点をポイントとして競うという話は以前記載したとおりです。

各stats、ポジションといったいくつもの要素を乗り越えて一列に実力評価してくれているOrankですが、無論チームによる調整は必要になります。選手の調子が全く不変であって、プロジェクション通りの実力が出るとしても、実力のある同ポジションの選手2名より他のポジションの選手の方が合計点は高くなりますし、盗塁をやたらするタイプ2名で盗塁部門ぶっちぎるより、その位のOrankの人でホームランを打てる人をとっておいた方が全体のポイントは高くなるのです。

要は、1部門ぶっちぎりで1位(12点)で、もう1部門最下位(1点、合計13点)より、2部門ぎりぎり4位くらい(各9点、合計18点)の方がよっぽど点数が稼げます。

実際は誰にも読み切れない調子の波があり、しかも終盤はトレードができません。

そうすると、戦略としては、とりあえず全体が競うくらいのレベルに各Statsのプロジェクションを持って行っておくという調整が必要となります。

これができるか、というのがOrank重視の中でチームを作りながらも一番重要になる変更点です。これがいつもできる人は、結構いろんなフォーマットでファンタジーに強いということになりますし、それを意識しないで遊ぶとたぶん詳しいスポーツだけ強いということになると思います。

この集団がどのくらいの数字を出すか、そのためにはOrankに従った選手の選択からどの程度修正が必要か、そういうことを考えられるかですね。特にみんながOrankを重視する場合、これが重要になってきます。フォーマットに応じてOrank以外の価値軸を持って修正してやるということです。

Orankのその他の限界

Orankにはその他にも内在的な限界があるように思われます。

1 期待値を使用せざるを得ない

以前も書きましたが、ランクを作るというつもりになると、選手の結果の期待値順に並べるしかないというのがあります。故障者、期待の新人が活躍するか、何試合くらい活躍するかはある程度率で考えてやるしかないのです。どうやっているのか詳細は不明ですが、10の力のある人が7割くらいの確率でレギュラーかなという場合に、10を前提にランキングを作っていくのは難しく、割合的に7とするか、せいぜい8か9くらいとせざるを得ないのです。たとえば7にした場合、本来的にフルに実力を発揮して7の人とランキング上は並びます。ただ、割合的に7となっている人は実際は(理論上)0か10で7と並ぶことはないのです。期待値が一緒と言うだけで。

ここら辺の発想はドラフト時点でどの順位でどういう評価のタイプの人をとるのかという判断の時に結構影響する発想です。

2 各ポジションを1つの数列で表している

Orankは基本的なポジションプレミアムを考慮していますが、そのリーグのフォーマット、FAの需給状況は当然加味していません。

ポジションプレミアムでいうと、キャッチャー2名というYahoo以外のファンタジーの伝統的なスタイルだともっとキャッチャーのプレミアムはつくのかもしれませんし、1B/3Bを表すIF、2B/SS用のポジションであるMFを入れるとポジションごとのプレミアムは変わりますし、Utilの数、BNの数、投手のポジションの数などによってもプレミアムは変わり得ます。

また、何名が積極的にadd/dropをしているかということによってもFAの調子のいい人のうちavailableな人の人数は変わってきますが、これでもプレミアは代わり得ます。

従って、ポジションの一般的になプレミアムは加味されているものの、フォーマット、リーグの状況を加味した、「自分のチームにとってのプレミアム」は基本的に考慮されていないのです。Orankを重視したければ、Orankが想定する状況に自分を合致させるほかなく、それは結構難しいです。大概はOrankを修正して自分に適用する方が手軽ですから。

野手と野手・投手と野手・抑えとそれ以外、などOrankを修正して考える場面は多々あります。

4 各スタッツを合わせて1つのリストにしている

盗塁のできる人の次に、大砲が、次に先発が、抑えがと一見ランダムに並ぶのがOrankです。しかし自分のチームにはどのタイプもまんべんなく必要なのです。したがって、盗塁タイプのみ、先発のみと指名を重ねてしまわずに、どのタイプもバランスよく取りそろえたチームというのを常に念頭に置いてやる必要があり、その場合にもOrankというのは修正して適用されるべきです。

プレミアムという文脈で言うと、フォーマット、FA状況、自分のチーム状況等、具体的状況に応じた必要なスタッツのプレミアムは示されておらず、あくまで一般的なプレミアムがついているに過ぎないと言うことですね。

5 調子、怪我、起用方法、ポジションの変更が逐一反映されない

どのスポーツでも毎年新人王はおり、毎年どのチームも血の入れ替えというのはなされます。ただ、Orankというのは基本的には動かず、これらの情報の反映というのは後手後手に回らざるを得ない状況になります。

最終的なチームの強さは、これらの要素を加味したチームの方が強いのは明らかで(突然出現した怪物級の新人王がいるチームは強いです)、Orankが反映されていないうちからこういった選手を使いたいのは無論です。

それと同様に絶不調であることなども選手価値の下落要素のはずですが、Orankにはほぼ全く反映されません。従って、Orankをベースにしつつも自分で反映してあげないといけない情報の一つとなります。

この点でもOrankだけにとらわれない(他の情報で修正してあげる)チームの方が強くなります。

6 ゲームであること

Orankというのは価値の指標となっていると同時に、ドラフトで何も指示をしない人のチーム作成に大きな役割を果たします。特にプレイヤーが指示をしない場合、コンピューターがOrankに従ってチームを作るのです。

一部の人がライブドラフトで指示をしない場合はともかく、オートドラフトとか、全員が何もしない場合になるべく平等なチームになるように、毎年ある一定のランクのところにある一定の役割の選手を入れている場合があります。

フットボールを経験するとポイント的にはあまり稼がないもののその数の限定性からRBが上位に相当並びます。また、野球でも抑え、1Bの上位、先発の実績派、期待の新人など、少なくともここ2年くらいは、だいたい同じくらいの順位のところに特定のポジションの同じくらいの活躍が期待されている人が並びます。

本当に活躍度だけで判断するならば、毎年ランクは大きく変わるはずなのですが、この方がゲーム開催者の運営方法としてまとまりがいいのではないかと思われます。従って、本来は結構差がある同じポジションの人が並んでいたり、逆に結構差が少ないのにランク的には相当差があるように見える人というのが存在します。むろん、Ornakのやり方の「逆を行く」のがおいしいやりかたであることは言うまでもないですね。ま、どれがそれかわからないのがふつうというのはありますが。

7 下位のOrankの信用性が低い

Orank下位の人には毎日のレギュラーではない人(期待の新人で2軍にいる人、ツープラトン作戦の一部になっている人)が大量にいます。これらの人はレギュラーになったとたん価値が上がります。

また、クローザー候補の下位も優秀なセットアッパーより下に位置されていますが、これも確定クローザーになったとたん価値が急増します。

このようにそのチームの作戦次第で価値が急増する人のOrankというのは概して低くなっています。判断のしようがないので並べてあるだけだと思いますし、それはそれでいいのかなと思います。

こういったOrankの低い人のランクはある日突然数百上がることもありますし、ずっと放置されることもあります。ここら辺の感覚は正直よくわからないため、私の中でのOrank(低い部分)への信用性は低いです。

このようにいろいろ限界はあるOrankですが、トレードを戦略の一環として多用する場合、みんながこれを重視する以上、自分のチームも重視すべきです。Orankが高いというのはそれだけで選手の価値を高く見てくれる人が多いと言うことですから。たとえ不調の人であっても好調の兆しを見せるだけでトレードの材料にできたりします。一方、Orankの低い人だとそうはいきませんから。



2008-05-08

トレード (9) トレードにおける価値観の重要性

トレードにあたっては、選手の価値を把握することが重要になります。


(何度も書きますが、経済の専門家ではなく、ひまな門外漢がゲームしながらふと思ったことを書いているに過ぎませんので、、、)

取引の対象にに今より高い値段がつくとtradingが起こります

相手が合理的な人間である場合、基本的に相手の持っているものに相手より高い値段をつければ相手からそのものを買うことができます。相手の持っている選手を相手よりも有効活用できるなら、また、価値を見いだすことができるなら高い値段をつけることができることは、これまで示したとおりです。これで全体の富も増える(資産の有効活用度合いが上がる)のですね。

これが多数取引当事者がお互いを知ることができるマーケットの仕組みの場合、誰よりも高い値段をつけた場合のみそのものを買うことができます。売る人の立場に立つと、一番高い値段をつけてくれた人に売るのが合理的ですからね。合理的な人であるためには、会社の経営を株主から委託されている取締役が会社を売る場合同様、マーケット参加者全体と交渉して、より高い値段をつけられる人を探すというのが重要になってくるというのもこれまで書いたとおりです。

個人個人しか知らない場合、何度か取引を繰り返さないとその物」について一番高い価値をつけている人のところに行かないところ、多数当事者が参加するマーケットでは、一度の取引で一番値段が高い人のところに物が売却されるところに、マーケットの優位性があります。マーケット参加者が合理的である限り、物の有効活用がなされる可能性が格段に高く、それだけ全体の富が増えるという理屈です。アメリカが規制のないマーケットに(少なくとも建前上)固執するのは、こういった理論的なバックグラウンドがあるのかな、と思います。

値段は価値観を変えてつける

MAや不動産をオークション方式で売るときのオークション運営者をしてみるとわかるのですが、bidしてくる人たちの値段は本当に様々です。全く違うレンジの価格をつけてくる人もいるのです。だいたいは、どのようにその部門とか不動産を活用するかというプランもつけてbidさせるので、なぜ人と全く違う値段をつけることができたか、というのをかいま見る事ができます。

例えば、もともと旅館経営をしていたA社が事業をどんどん拡張した結果、今は本業は全く別の例えば自動車産業になったとします。古くからの旅館は本業だと思って続けていたものの、大変投資効率が悪くなって、そのうち閉じちゃいました。で、今は社員の保養所。しかし、保養所として使うにも汚くなって、立て直すほかない。立て直してまで、保養所を維持する必要がなく、ほかに福祉厚生の手段は確保されていますので、単に支出のみかさむこの不動産を売りたい。

こんな案件で広くオークション方式で売りに出した場合、それはそれはいろいろな値段がつきます。保養所としてオーバーホールして使う人も、旅館として使う人もいるでしょうし、建物自体壊して住宅を建てるという人も、レジャーランドを立てる人もいるかもしれません。それぞれの使い方と、収益予想から見たときの現在価値(DCF等から見たcurrent value)を計算してそれでbidしてきます。実際に体験するととその価格が数倍から十倍くらい違うのに本当に驚きますし、価値の付け方というのは本当に人よりけりだと感じるものです。

もっと、卑近な例で見ましょうか。たとえば、機種変更で使わなくなった携帯。どんな値段の付け方があるでしょう?新たなSIMカードを挿して携帯として使用しますか?カメラとして?それとも子供のおもちゃ用のモックとして?あるいはリサイクルと称して中の純金を採取しますか?あるいは、(いれば)自分のファン(ストーカー?)にコレクターズアイテムとして売りますか?

携帯として使うなら、新品の性能・価格との比較になるでしょうし、カメラならカメラとの性能・価格の比較になるでしょうし、純金なら金の量から取り出すコストを引いた価格が問題になると思われます。自分の子供のおもちゃなら、おもちゃにかけることができるコストの問題(富豪の方が我々一般庶民より高いでしょう)でしょうし、コレクターズアイテムなら、純粋主観的な価値か希少価値が問題になるのだと思います。逆に全く使わない場合は廃棄コストだけかかる存在。

ちょっと考えただけでも値段の付け方は本当様々です。こういった例を見ても、同じ価値観で値段を1円単位で競うより、まったく違う価値観で、ドンと全く違う価格をつけられる人がマーケットで勝っていくのだなということはわかるかと思います。

よって、物を買うときは、自分の価値観を構築することが何よりも大事です。

どんな価値観を持っているかわからない人の価格にだけつられて1円ずつ上回る価格をつけるというのは本来あまり効率的ではない。上限を持ってその範囲ならいいのですがね。その意味で、私のヤフオクでの買い物はポリシーに欠けるかもしれません(笑)。ま、あれは出品が多く、マーケットの効率性が高いので、たまにしか起こらないトレードとは違うんですけどね。

取引コスト

ファンタジーのトレードでは、ヤフオクと違い取引が少ないので、きっちり人より高い価格をつける必要があります。経済的にいうと、取引の機会コストが高いために、取引がなかなかおこりにくい状況です。基本的に全部カスタムメイドで、一度しか起こらない取引。

普通の取引でいうと、繰り返し起こる取引が、例えばコンビニでお茶を買う取引。一方、一度しか起こらないのが、例えば日本の会社がアメリカに初の海外支店を建てるというような取引。

前者(お茶)は、日常的に起こっており、みんな特に内容を気にしないし、気軽に行う。具体的にはレジに持って行って買うんですね。でも、PL法の適用その他適用される複雑な規定が裏にないわけではないのです。でも、みなそれを気にしない。余分なコストはかけないわけです。

後者(初の海外支店)は、とてもカスタムメイド。しっかり下見もするでしょうし、弁護士に契約書も頼むでしょう。かかる費用も多いのですが、単に東京の会社が横浜支店を建てるのに比べて、周辺のコストをいっぱいかけます。

その結果、どっちが起こりやすいかというと、前者。

前者は、売値より1円でも価値を認めればそれで買っちゃいます。後者は、儲けがあるとわかっても、その儲けから周辺の余分なコストを引いてもさらにメリットがあると思わないと取引に至らないのです。ま、この2つだと無論単価の問題もありますけどね。単価の低い方が人はリスクをとれるし、簡単な決済で行えますから。

これを経済学っぽく(笑)表現すると、Xがx円で売り出したAをYが買うかは、Y1がAをx+1円以上に評価すれば取引成立するのが、前者の世界。後者は、x+取引コスト+1円で評価できるY2のみがこれを購入するという決断に至ります。

言い換えると、

x<x+1<x+取引コスト+1

なので、真ん中で足りるY1の方が右端であるY2より母集団が多く、簡単に売り先が見つかって売れるということですね。標準約款みたいなものはY2が必要な取引をY1で良くすることにより、取引を促進するために作られるんですね。

ファンタジーの世界において、誰でもすぐにできるadd/dropは前者(Y1でたりる)、取引にすごく時間がかかりカスタムメイドであるトレードは後者(Y2が必要)なのです。実際に起こる回数も何十倍も違いますが、それは取引コスト(合う組み合わせが見つかるかというコストと相手がトレード好きかというコスト。add/dropとの顕著な違いは特に後者)が違うからですね。

したがって、ファンタジーのトレードにおいては、トレードしたければ、トレードの機会というのはしっかり逃さずにとる必要があり、そのために価値観をしっかりと構築する必要があるのです。

次回は、その価値観のベースとなるOrankをちょっと検討してみます。


2008-05-07

トレード (8) 独占戦略はどこまで有効か

もう少し掘り下げて独占戦略の有効性について考えてみます。


この間のBC間の取引が終了した状態で、世の中ABしかいないとします。

なんかわかりにくいですが、要は以下の状態。

A 3B1(10), 3B2(9), 2B15(1) 合計11点(1位)
B 2B1(8), 2B2(5), 2B3(4) 合計8点(2位)

Bは2Bのみで。Aは両方います。

ここで、実際のゲームに近いようにもう少し因子を足してみましょう。

形のコストα

実際のゲームでは、当該スポットに選手がいないことと(X0)、当該スポットにX1という優秀な選手がいること、X2という普通の選手がいることという3つの状況がある場合、以下のような式になることが多いです。

X1>X2>>>X0

要は、誰もいないというのが極端に痛いという状況ですね。これを表すために、選手の能力に全員下駄を履かせてもいいのですが、めんどくさい(笑)ので誰もいないときにペナルティを課するという因子を入れてみます。依然祭りの構造を検討するときは、誰もとれなければ0を掛けることにしましたが、今回はちょっと趣向を変えて、ポジションにかかわらずαだけマイナスすることにしましょう。

とすると、総合点は以下の通り。

A 11点
B 8-α点

ここで検討したいのは、Bが形を崩してまでその後のトレードによるプレミアのキャッシュアウトを期待して独占を追求した場合、その形をくずしたというコストは交渉にどういう影響を及ぼすか、です。実際にトレードを前提にしたドラフトをやってみた感触と一致するか、興味があったので。

AB間のトレード

A 3B1(10), 3B2(9), 2B15(1) 合計11点(1位)
B 2B1(8), 2B2(5),2B3(4) 合計8-α点(2位)

AB間の1対1トレードで考えられるのは9通りですが、1対1のトレードである限り、Aの2B15(1)をBがもらうメリットはないので、これは除外して考えると、両者のポイントが増加するのは以下の6通り。



Aのトレード後

増加ポイント

Bのトレード後

増加ポイント

ⅰ3B1(10)と2B1(8)

3B2(9)+B1(8)=17

6

B1(10)+2B2(5)=15

7+α

ⅱ3B1(10)2B2(5)

3B2(9)+2B2(5)=14

3

B1(10)+B1(8)=18

10+α

ⅲ3B1(10)と2B3(4)

3B2(9)+B3(4)=13

2

B1(10)+B1(8)=18

10+α

3B2(9)

B1(8)

B1(10)+B1(8)=18

7

3B2(9)+2B2(5)=14

6+α

3B2(9)2B2(5)

B1(10)+2B2(5)=15

4

3B2(9)+B1(8)=17

9+α

3B2(9)

B3(4)

B1(10)+B3(4)=14

3

3B2(9)+B1(8)=17

9+α


Bにとっては2B2(5)を出そうが、2B3(4)を出そうが同じになります。従って、ⅲ、ⅵは除外され、ⅰ、ⅱ、ⅳ、ⅴのみがパレート最適を実現する取引として交渉の対象となります。

残ったのは4つ


Aのトレード後

増加ポイント

Bのトレード後

増加ポイント

ⅰ3B1(10)と2B1(8)

3B2(9)+B1(8)=17

6

B1(10)+2B2(5)=15

7+α

ⅱ3B1(10)2B2(5)

3B2(9)+2B2(5)=14

3

B1(10)+B1(8)=18

10+α

3B2(9)

B1(8)

B1(10)+B1(8)=18

7

3B2(9)+2B2(5)=14

6+α

3B2(9)2B2(5)

B1(10)+2B2(5)=15

4

3B2(9)+B1(8)=17

9+α


このうちどれになってもパレート最適の実現です。

AB間の交渉材料

この場合の交渉はABどちらが強いでしょう?

Aの強い要素
● 元々Aの方が順位、ポイントともに上である。
● 出す選手の客観的な実力が常にAの方が上(3Bの方が2Bより強い)である。
● 増加するポイントがBの方が上である(Bにメリットが多い取引)。これはαが1でもあれば、すべての取引において、真実となります。Aとしては、そちらの方が得るものがそもそも多いのだから、譲歩するべきでしょう、といえるのです。

Bの強い要素
● Aもポイントが上昇する以上、取引に応じたいはず

ま、どちらが強いか、その場の交渉の持って行き方もありますが、通常で見る限り、Aの方に有利な交渉であり、ⅳで妥結する可能性が高いといえます。

具体的にどうコストは響くか

ここでのポイントはαが大きい場合です。例えばαが10である場合、もともとのBの点数は-2点です。

ⅳの取引が行われると、Aが7ポイントメリットを受けるのに対して、Bは16ポイントメリットを受けます。一番Aに有利な取引ですら、Bが莫大な利益を得ることになります。そしてゲーム中では、これがAにもBにも明らかになっているのです。

このため、Aとしては、ⅳの取引ですらBのためにしてやっていると感じ、Bもまた、Aに取引をしてもらった、と感謝してしまう気持ちが生まれるのです。

これからいえることは、Bは形を崩してまで独占をねらいにいったが、形を崩したコストがあるために、どうしても交渉で足元を見られ、強く出ることができない、というのがあると思います。

実際の教訓

実際にも、ショート、キャッチャーといった守備的なポジションについてトレード目的で上位独占をねらった場合、ほかのポジションが弱いためにチームとして弱くなっている場合があります。その場合、プレミアポジションを独占しているにもかかわらず、プレミアを取りきれないという事態に容易になり得るのです。

どこまで形を崩して独占をねらいに行くかというのは、状況次第で、プレミアの量がかえって減らない限度での独占にとどめるべきと思われます。

ま、この意味でドラフトでショートを指名しなかった私の2つのドラフトは失敗ですね。いずれも交渉で強く出られませんでした。

野球の場合、ベンチ要員の少なさ、必要なポジションの多さからみるに、独占をねらうとしても、ちょっとくらいしかねらえなさそうだなというのが印象です。αの値が結構大きい。しかもトレードに応じない人も結構いるので、αが上手く解消しない可能性も大きいのです。

また、実際のパブリックフォーマットの場合、12名いること、FAの充実があることから、そもそも独占は難しいです。しかも、例えばクローザーとかを独占しても各部門順位に応じたポイントしかもらえないので圧倒的な1位になるメリットはないのです。従って独占ができたとしても、独占プレミアムをキャッシュアウトしたいという思いは結構あり(これもαの一部と表現可能かもしれません)、その結果、上手くプレミアムをとれないということは十分にあるのかなと思われます。これが通常プレミアがつくクローザーが安く先発と交換されている場合の典型ですね。

ま、形を崩して独占をねらう場合は、相当覚悟が必要そうです(笑)。私は今までうまくいったことがありませんから。

PS 最後に余談ですが、ともに形を崩したBCのみが存在する場合、αが大きければ大きいほどともにトレードにいたるインセンティブが大きくなり(ともに通常の上昇ポイント+αの改善が見込めるからです)比較的早い段階でトレードが成立する可能性が高まります(現状のデメリット、改善の効果が高いほど最適状態に近づく取引の幅も広く、それだけ契約締結にいたるまでの交渉時間も短くて済む)。これも実際の感覚とにています。