2007-02-19

米国law school出願 (効率的なApplication作成 3 EmEditor)

EmEditorというのは、昔から著名なtext editorである。Text editorというのは、その名の通り、text fileを、閲覧、編集するソフトである。Windowsには最初からメモ帳というのが入っているがその高機能版であると思っていただければいい。マクロ(記録・再生)が使いやすいこと、URL, email アドレスが強調表示され、クリックできること、動作が速いことなどを主たる理由として昔から愛用させていただいている。

1 Text Editorの効用

前文みたいなものであるので、適宜とばしていただいても結構。

Text fileはご存じの通り、書式情報(フォント、インデント等)を一切排除した、文字情報(「あ」「分」等、どの文字かという情報)のみからなるファイルである。メールが文字化けした場合に、テキストで送ってくれなどといって送り直してもらうが、用は、一番シンプルな情報に特化したファイルである。

これの閲覧・編集をするソフトである Text editorは何に使えるか。

(1)文字入力に使用→現在は不要では?

ワードや、HTML(web site)の場合、表示する内容であるtextに、どう表示するかという情報(それを修飾するフォント等の書式情報)を加えて表示する。情報の使い回しは、同じ情報を違う環境で用いることである。従って、原則的にそのまま使えるText部分(文字情報)と、原則的にそのまま使えない書式情報とでは、使い回しできる確率が格段に違う。

そのため、とりあえず、表示したい内容であるText部分を入力し、後でまとめて修飾作業(書式情報の追加)をするのが効率的であるという考えがある。この考えにたつと、Text editorを利用して入力し、後でワード等を用いて修飾していくというのが効率的な入力方法ということになる。現に、パソコンが非力であった時代は、ワードが重たかったため相当の説得力があった。ただし、個人的には、2004年頃以降は、パソコンの高速化によりワードで直接作業しても特にデメリットは感じなくなる一方、スペルチェックをすぐに指摘してくれる点などは相当便利であると思い、ワードでしか原則的に作業をしなくなった。なお、その他ワードの動きがおかしい(自動で訂正されてしまう)、フリーズする、余白が多く無駄が多いなどの指摘は、ワードの動作・表示の設定を変えればいい話(自動訂正の停止、web表示での入力、etc)であり、決定的ではない。最初からどのパソコンにも入力されていること、テキスト入力の習慣がないひととも共同作業が必要であることなどを考え合わせると、ワードに統一してしまった方が効率的である気がしている。

(2)Text情報のみを抜き取るために使用→はたくりの方が使いやすい

ワードのデータを他のソフトで活用する際にText部分だけほしい事がある。その場合に、Text editorを使うことが考えられる。具体的には、たとえばワードで必要箇所をコピーし、text editorでペースト、再度ペースとした全文を選択し、その他のソフトに貼り付けるという感じになろう。この使い方は、個人的にはあまり必要としていない。はたくりを使えばいいからである。

(3)プログラミング言語の入力→私のレベルだとワード付属のものが使いやすい

プログラミング言語の入力というのも、text editorが昔から特異とする領域である。EmEditorもプログラミング言語の予約語を強調するなど一定の補助をしてくれるようになっているほか、複数にわたるtextの加工が素早くできるように工夫されている。

しかし、私のような素人がたまにワード付属のマクロを作るという程度のことをする場合、行数も少ないし、付属のVisual Basic Editor (ツール→マクロ→Visual Basic Editorで起動)の補助機能の方が使いやすい気がする。よってこの目的に使うこともあまりない。

また、ネットワークのスクリプトを書かなければいけない羽目に陥ったこともないので、その用途でも使用する必要はない。

(4)ファイルの閲覧(viewer)→使いやすい

その他の目的としては、(主にテキスト)ファイルの閲覧のために使うことが考えられる。EmEditorは、巨大なファイルでも比較的スムーズに開けること、起動が早いこと、開いたファイルにURL, emailがあれば、クリックできる文字列として認識してくれることといういくつもの優れた特徴がある。これらを生かして、メモ帳のかわりにファイルを見るために使うことが考えられる。これは完全にお薦めである。特にデメリットはない。

パソコンのハード・ソフトの説明書等がテキストで提供されることはまだまだあるが、それらを閲覧したり、web page (html)のソースを表示したりする場合に、EmEditorがメモ帳に劣る場面は全くないと思う。また、アルクの英語辞書のテキスト集のように巨大な辞書ファイルを開く(そもそも開く必要があるかという問題はある)とき、拡張子がわからないファイルをとりあえず開いてみる場合(開いてみると一番最初に何のソフトのためのファイルかテキストで書いてあることも多い)、などにも使っている。

また、表示方法として、1段落(論理行)を1行に表示する機能がある。無論長い段落はスクロールしないと全文を読むことができないことになるが、全体を整理する場合には大変使いやすい。

(5)マクロを利用した編集作業 →今回の主眼

これが今回の主眼である。EmEditorには、キーボードでの入力作業を記憶し、再現してくれる機能(マクロの記録、再生機能)がついている。

たとえば、すべての段落の頭に不要に○が一つ、ついている場合に、これを取る事を想定しよう。もちろん置き換えで作業をすることもできるが、ここでは、マクロの記録・再生で作業をする。

想定文字列
○A●b●●●●●●
○●●●でいげお
○tじぇwklrうぇい

この場合、まず、1段落を1行に表示するようにする。EmEditorで、アイコン(わからなければ、表示→折り返さない、またはctrl +1)を選択。
そのつぎに、最初の冒頭 (例でいうとAの左の○の左側でカーソルが点滅している状態) にカーソルがあることを確認し、マクロの記録の赤四角アイコン(わからなければ、マクロ→記録/停止、またはShift + f4)を選択する。これで、以降のキーボード操作が記憶される。
そして、DelでAの左の○を削除し、下(↓)で次の行にカーソルを移動する。

A●b●●●●●●
○●●●でいげお
○tじぇwklrうぇい

こんな状態で、カーソルは2行目の○の左にあるはずである。
ここで、マクロの記録を停止する。作業は、マクロの記録停止の赤四角アイコン(わからなければ、マクロ→記録/停止、またはShift + f4)の選択。

2行目の○をマクロを実行することにより消す。マクロ実行の緑の矢印アイコン(わからなければ、マクロ→実行、または f4)を選択。すると、○が消され、カーソルは3行目の○の左に行くはず。

A●b●●●●●●
●●●でいげお
○tじぇwklrうぇい

もう一度マクロを実行(F4)すると、最後の○も消える。

A●b●●●●●●
●●●でいげお
tじぇwklrうぇい

おわかりの通り、Del、↓という2つのキー操作をひとまとめにして何度も繰り返させたのである。これがF4だけでできるのがEmEditorのマクロのメリットである。

2 ハタクリとの連携

(1)基本

はたくりは、EmEditorでコピーした文字列も記憶する。従って、大量のデータをマクロを使って繰り返しcutすることで、容易にはたくりにデータを送り込むことができる。

具体的には、私の年の出願校の住所で作業しながら説明をしてみる。以下の2校の住所が記載されたtext fileがあるとする。これをEmEditorで開き、各行ごとにcutし、はたくりに送り混む。はたくりを起動しておくのをお忘れなく。

LL.M. Program Coordinator
The University of Texas School of Law
727 East Dean Keeton Street
Austin, TX 78705
U.S.A.

The LL.M. Admissions Office
University of Chicago Law School
1111 East 60th Street
Chicago, IL 60637
U.S.A.

まず、先頭行のLL.Mの左にカーソルを持って行き、記録の開始(shift + f4)。最初の行1行を選択(shift + end)。それをcutする(ctrl + x)。記録の停止(shift + f4)。この状態で下記のようになり、新たな先頭行のThe University…の左端にカーソルがあるはずである。

The University of Texas School of Law
727 East Dean Keeton Street
Austin, TX 78705
U.S.A.

The LL.M. Admissions Office
University of Chicago Law School
1111 East 60th Street
Chicago, IL 60637
U.S.A.

このあと、f4を10回押す(というか押し続けるだけでOK)。すると、10行それぞれcutされ、何もデータが残らないはず。

(2)注意

ここで、はたくりのデータ一覧を起動(Ctrl + 7)。すると、先ほどcutしたものが、その順に並んでいることと思う。そうなっていれば成功。必要のなくなったEmEditorを閉じる。その際に最新の白紙の状態を保存してもしょうがないので注意。Ctrl+zを押し続けてデータを戻すか、alt + f4を押した上、データをセーブしない(いいえ)を選ぶ方法により、元のデータを保存する。

ここで、初めからcopyをしていれば、最後のctrl+zの作業が不要となる。しかし、cutの方がはたくりにどのデータまで遅れているか明らかなので、cutとすることをお薦めしたい。

また、上記のような住所の場合、コピーの範囲は1行ごとにはたくりのコピー1つとするのが効率的である。住所を一挙に入力することが求められることも、1行ずつ入力することを求められることもあるからである。以前にも説明したとおり、はたくりは、複数のコピーをまとめて貼り付けられるので、各行分けて記載することを求められることを考えて、小さな範囲とするのが効率的なのである。

最後に、志望動機など長文を1つのはたくりデータとして保存するばあいは、上記の通り、ctrl+1で、EmEditorの表示を1行1論理行(段落)とするとうまくいく。このことから、全部のデータを一挙に作業するときには、最初にctrl+1をするといいことになる。

(3)発展

このようにマクロを使うとかなり大量のデータでも一瞬ではたくりに送り込むことができるようになる。これを利用して、もとのテキストファイルを必要に応じて随時アップデートして、そのたびにはたくりのデータをからにして、全データを再度送り込むというのがもっとも効率的であった。

送り込むデータは、自分の本籍地、住所、電話番号、LSAC、TOEFL、職場情報、大学情報、研修所情報、推薦者の情報等多岐にわたった。最初の入力はタイポを防ぐ意味でもワードで入力し、それをtextで保存して活用していた。

3 最後に

このソフトは、はたくりと違い、インストールに管理者権限を必要としたように思う。インストールできる環境かのチェックは必要となろう。バージョンはいろいろあるが、professionalをかってしまうのが楽かなと思う。

次回は、ワードでのラベル印刷を若干説明できればと思う。

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