2007-02-16

米国law school出願 (効率的なApplication作成 2 はたくり)

はたくり (フリーソフト)

はたくりというのは、クリップボードの履歴をテキストで保存してくれるソフトである。古く既に継続的な開発は放棄されている模様であるが、使い勝手は一番いい気がする。Applicationに留まらず、契約書内、契約書間での表現の整合性を確認する目的や、ID/passwordの入力(セキュリティ上はとうていお薦めできないが・・)等、パソコンを使う上で相当幅広く利用できる。

Windowsにおけるcopy/pasteのしくみ
Windowsを使う際には日常的にcopy/cut and pasteをしていると思うが、これはクリップボードというソフト(windowsに自動的についてくる)を利用することで実現されているようである。クリップボードでは、copy/cutが実行された場合、コピー元のソフトから当該データのさまざまな要素を保存し、pasteに備える。Pasteされた場合、このクリップボードに保存されているデータを貼り付け先のソフトウェアに渡すのである。データの要素はコピーする内容により異なり、画像であることも、ファイルであることも(エクスプローラなど)、書式付き文字列であることも(ワード、Web site)ある。

クリップボードは、様々な情報を保存してくれるのであるが、いかんせん直近の1つのcopy/cutに対応したデータしか保存してくれない。そのため、クリップボードの履歴を保存し、活用するソフトが様々に開発されている。Officeにも標準で用意されている(Word 2003 の場合、編集→office クリップボードで表示できる。)。

クリップボード履歴を用いる場合の優位性
3つのデータ(A,B,C)を1つめのフォーマットにA1, B1, C1の順で入力し、2つめのフォーマットにB2 A2, C2の順に、3つめのフォーマットにC3, B3, A3の順に入力する必要があるとする。この場合、3つとも入力するのではなく、フォーマット1に入力し、フォーマット2・3入力の時はフォーマット1のデータをcopy and pasteすればいい。

特別のソフトを使わないで、クリップボードのみで作業する場合、フォーマット2を入力する際に、B→A→Cの順番であることを確認して、Bのところでフォーマット1にウィンドウを切り替えて、(必要な場合は、B1を検索して)B1の箇所をコピーし、フォーマット2にwindowを切り替え、B2として貼り付ける。A, C,についても同様の作業をすることになる。またフォーマット3の時も同様の作業が発生する。Window の切り替え(3回*2(行きと戻り)*2(フォーマット2/3)で12回)と検索(6回)は結構めんどくさい。また、選択範囲をうまく選択するのも結構やっかいだ。フォーマット2の時はちゃんとコピー範囲を選択できたのにフォーマット3の時だけ間違ってしまうということも発生する。そのため、確認にも相当時間を取る必要がある。

クリップボードの履歴を取ってくれる場合、フォーマット1で、A1, B1, C1を全部一度にcopyし、windowをフォーマット2に切り替えて、必要に応じてB2, A2, C2として貼り付けることができる。フォーマット3も同様である。Windowの切り替えはフォーマットごとに1度でいい(計2回)し、検索を何度もするという手間からも解放される。また、その都度コピーするわけではなく既に仕込んである情報を使用するので、コピー範囲の選択ミス等も最小限に抑えることができる。

Applicationは、対象となる情報が(A-Cの3つではなく)数十個の単位である。やってみるとわかるが、作業効率はかなり違う。

はたくりを選ぶ理由
では、なぜOffice クリップボードはじめ、いろいろソフトがある中からはたくりという既に開発が放棄されているようなソフトを使うのかを以下に記載する。

(1)Officeクリップボード
まず、Officeクリップボードであるが、知る限りこれはofficeでしか利用できず、Acrobatを出力先に検討している以上不適切である。また、書式情報(フォントの種類、大きさ、bold, italic等)も記憶されてしまうので、そのまま貼り付けた場合、貼り付けた後に毎回書式を修正する必要がある。また、保存できる情報の数に限界がある(少なくとも私のところでは24個と表示されている)。そのため、これをメインで使用するのは適切ではない。

(2)はたくり
Officeクリップボード以外にもクリップボードの履歴を取ってくれるソフトは大量に存在する。むしろ、はたくりは今現在、相当マイナーな存在というべきであろう。他に使い慣れている他のソフトがあるのであればそれを利用すればいいと思う。とくにどれも使用していない場合は、(上記にもかかわらず)はたくりをお薦めしたい。理由は以下の通りである。

テキストに特化していること
ほかのソフトは、上述のように画像等にも対応していたり様々な追加機能がついている。一方、はたくりはクリップボードの情報のうちテキスト情報のみを保存する。そのため、文字以外の情報はそもそも保存できないし、文字についても書式等の情報は失われる。実際使ってみるとわかるのであるが、(出願のみならず仕事でも)テキストでの貼り付けというのが一番使用頻度が高く、それ以外は、とくに履歴等を利用する必要もないと思われるので不都合はない。

操作が単純であること
立ち上げると自動的に履歴を保存し始めてくれる。コピーする際には特に追加の操作はなく、順次コピーするだけである。はたくりが動いていることが必要であるので、はたくりがフリーズしてしまっていないか、ctrl + 8をおして、一時履歴保存を中止するという操作をしていないかという点を気をつければいいだけである。
一度終了しても、覚え続けてくれるので、データの選択は基本的に1度でいい。
貼り付け時は、マウスでも操作可能であるが、キーボードが楽である。初期設定のままであれば、ctrl + 7 で履歴の一覧を表示し、その中から、上下キー, page up/downキー、home/endキーを利用して貼り付けたい文字列を選択し、enterを押すだけである。複数個を一挙に貼り付ける場合は、Shiftを押しながら上下キー等で選択する。

設定の変更
設定により、データの末尾に改行記号を入れるか否か設定できる。お好みであるが、フォームに入力する願書のような場合は、改行記号なしの方がいいかもしれない。

インストールの問題
最近、世の中が世知辛くなって(というかみんながセキュリティに気を遣うようになって)、私的パソコン以外でadministrator権限をもらえる場合が少なくなってきた。権限を十分にもらえない場合、フリーソフトのインストールもままならない。こんな場合でも、はたくりはインストール作業はなく、展開したファイルをダブルクリックするのみであるので、ある程度セキュリティが強固な環境でも利用可能である。
もっとも、一切のexeファイルのコピーを禁じているような環境もあるので、その場合は、あきらめて個人のパソコンで作業する必要がある。

リスク
既述のとおり欠点もある。もともとwindows 95用のソフトとして開発されたが、その後アップデートがなく放置されている。Windows XPまでは特に支障なく使えているが、だれが保証してくれるというものでもない。また、officeとの相性が必ずしも良くなく(officeのバージョンアップごとにフリーズなどは減っているが・・・)、うまく動作していないと感じる際は、はたくりを再起動してやる必要がある。たまにofficeもフリーズ。昔はパソコン自体がフリーズしたりもしていたが、最近は(なぜかわからないが)フリーズ自体の回数も減っている。

結語
長く書いたので、難しいと感じるかもしれないが、きわめて簡単に使えるソフトである。要は、習うより慣れろである。仕事でも日付・金額・固有名詞・定義語等で使うとタイポが減って大変便利である。これを機会に、ぜひダウンロードして一度試してみてもらいたい。

はたくり (作成者のweb site)
http://www.geocities.jp/hatamo/hclip.htm

次回は、Emeditorをつかって、はたくりに効率的にデータを送り込む方法をご紹介する。

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