トレード (13)トレードかadd/dropか
トレードとFAでのadd/dropというのは背反関係にあり、プレイヤーは適宜いずれが効率的か選択して動くことになります。FAが厚ければadd/drop、薄ければトレードが有効となる場合が多いです。
FAからのadd/dropの特徴(利点)として、相手方が常に受諾すること、取引コストが不要であること、マーケットが大きいことがあります。
FAは相手のプレミアの予測が不要(必ず受諾)
Xとのトレードが成立するYの範囲は以下の式でした。
oX+pAX - pAY < oY < oX+ pBX- pBY
FAの場合、受諾行為は自動なので、式の右半分が不要です。したがって
oX+pAX - pAY < oY
だけ考えればいいと言うことになります。これで実際上はとても時間と見極め能力のかかるBにとってのプレミア(pBY、pBX)の予測という作業が不要になり、自分の側だけで確定的に考える事ができるようになります。
取引コスト不要
上記、pBX, pBYを推測する作業も取引コストの一環ととらえることができますが、これ以外にもトレードは実際上やりとりに時間がかかるほか、受諾後ペンディング期間があるために、最終的にロースターに反映されるタイミングも非常に遅くなります。従って機動的に動くこともできないし、不確定の要素が多くなります。還元すると不確定であることという意味でのリスクが非常に高い。
このような追加コストがかからないというのはadd/dropの魅力の1つとなります。
マーケットが大きいこと
フォーマット、リーグの面子にもよりますが、大概は、トレードのマーケットに比べてFAのマーケットは大きいです。野球のパブリックの場合、実際にFAにいる人数が相当多く、毎日FAでその日活躍する人を(神業的に)とることができれば、最初のドラフトがどんなに失敗でも通常は1位になれるくらいの厚みがあります。これはアメフトとかとは大きく違いますね。
FAのデメリット(トレードのメリット)
FAからadd/dropすることと、トレードを比べた場合、FAのデメリットはそう数多くはありません。ただ、トレードの利点のうち一番大きなものとして、FAにはいない大物を狙えるというのはあります。
枠に限りがある中で日々のロースターを選択していく以上、最終的に問題になるのは選手の質です。神業的add/dropには大きくは期待できませんしね。この枠を継続的に与えてもいいなと思える質がある選手というのはやはりFAではなく各チームに属しているのです。従って、これを獲得するには基本的にはトレードしかないわけです。
FAとトレードの交錯
以上からすると、FAにいるような選手については、簡単にadd/dropをするのが効率的で、手間のかかるトレードは、FAにはいないような大物をねらう場合に使うのが合理的ということになります。
これをAの視点から場合を分けて考えてみます。
プレミアが一般的に選手の客観的な価値に比べて十分に小さい限り、トレードが成立するのは以下の範囲となります。
oY ≒oX
一方、add/dropが成立するのは、
oX<oY
従って、Xを持っているAの発想としては、当該プレイヤーを捨てるかトレードに出すかというのを考える場合、客観的により価値があるプレイヤー(Y)がFAにいればまずはFAをあたり、Xがそれがどうしてもいないような大物である場合(oXが大きい場合)のみトレードすべきということになります。
一方Xに(のみ)プレミアが発生している場合、トレードが成立するのは、
oX+pAX< oY < oX+ pBX
プレミアが人により変わらないとすると、
oY ≒oX+pX
が成立します。
一方同様の作業で、add/dropの式は、
oX+pX< oY
よってこの場合、Xについてadd/dropにするかトレードにするかの基準はoXではなくoX+pXで決定すべきということになります。
で、このpXがあるか否か決定するために必要なのが価値軸を増やすこと、ですね。
実際のプレーでは、パブリックのカジュアルでやる限り、ほとんどの選手には意識すべきほどのプレミアはつきません。従って単純にoXとFA層だけ見比べてadd/dropをするか決めればいいし、FA層より実力が高い選手についてはトレードに出す、という単純な戦略で大丈夫となります。これが一般的な価値とされるOrankが重視される理由ですね。
ただ、competitiveなリーグや、プライベートのリーグではときに一部の選手に相当のプレミアが発生している場合(pX, pBXが大きい)もあります。その場合は、単に自分にとって不要な選手である(oXが小さい、pAXがマイナスなど)というだけでdropせずに、トレードに出す方が効率的であるということになります。
FA層の価値評価に与える影響
選手の価値を計るのに、次に存在する同じ条件(ポジション)の選手よりどの程度優れているのかという手法があることは前に述べたとおりです。
この評価手法は典型的にFA層との比較感で選手の評価をする場合に役に立ちます。
たとえばFA層に本来的に8の成績の選手がいる場合、9の成績の選手をoX=1と評価するわけです。
式にすると、成績をrX、FA層の同等選手(一般)の成績をfrXとすると、
oX=rX-frX
ですね。
従って、FA層が厚くなれば、frXの値が増えるので、その選手の価値(oX)は減り、逆にFA層が薄くなればその選手の価値が増えることになります。
選手の価値をこのように計った場合、FAが薄いとdropしない方がいい選手の層(X)が増えます。逆にFA層が厚ければadd/dropでいい。その結果、以前書いたようにカジュアルなリーグほどトレードよりadd/dropを繰り返すべきことになり、このようなリーグではトレードするほどの価値のある選手(X)というのは非常に少数になります。
なお、余談ですが、先ほどの式との関係では、rY=frYとなるのが一般なので、oY=0となり、
rX<frX
の関係が認められるときは、dropすべきという表現になります。FAに自分の手持ちの選手より優れた選手がいればdropすべきということを表しているに過ぎない、とするのはちょっと寂しいので、「FAが厚くfrXが大きい場合、dropすべきXの範囲も大きくなる」と表現しておきます。FA層が厚いならトレードよりadd/dropですね。
また、このfrを考えるやり方はそもそもoXの算定ではなく、プレミアの算定の場面の話では?という批判も考えられますが、以前記載したように客観的な価値が何でなにがプレミアかの分類は考え出すと結構難しく、ここはとりあえず客観に分類したということですね。
これをプレミアに分類する(FA層の厚さがpXに影響すると考える)と、「FA層が薄いと普段プレミアの発生しない選手にまでプレミアが発生する場合がある」ということになろうかと思います。結論は一緒ですね。FAが薄ければ薄いほどdropするまえにトレードを検討すべき、となる選手が多いということになります。
編集後記
このように、ある選手についてどう取引すべきか(add/dropかトレードか)というのは、場合により異なります。2つしか選択肢がないので、片方が有利な状況であればもう片方はとるべきではない道ということになる、まぁ、あまりに当然のことで、書いてみてちょっとがっかりなエントリでした。FA層の厚さを書くときからからわざわざ数回に分けて相当検討を重ねたのに・・・ま、浅はかさ故なんでしょうね。
何となく自分で整理できた気がするからよしとしましょう。
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