トレード (9) トレードにおける価値観の重要性
トレードにあたっては、選手の価値を把握することが重要になります。
(何度も書きますが、経済の専門家ではなく、ひまな門外漢がゲームしながらふと思ったことを書いているに過ぎませんので、、、)
取引の対象にに今より高い値段がつくとtradingが起こります
相手が合理的な人間である場合、基本的に相手の持っているものに相手より高い値段をつければ相手からそのものを買うことができます。相手の持っている選手を相手よりも有効活用できるなら、また、価値を見いだすことができるなら高い値段をつけることができることは、これまで示したとおりです。これで全体の富も増える(資産の有効活用度合いが上がる)のですね。
これが多数取引当事者がお互いを知ることができるマーケットの仕組みの場合、誰よりも高い値段をつけた場合のみそのものを買うことができます。売る人の立場に立つと、一番高い値段をつけてくれた人に売るのが合理的ですからね。合理的な人であるためには、会社の経営を株主から委託されている取締役が会社を売る場合同様、マーケット参加者全体と交渉して、より高い値段をつけられる人を探すというのが重要になってくるというのもこれまで書いたとおりです。
個人個人しか知らない場合、何度か取引を繰り返さないとその物」について一番高い価値をつけている人のところに行かないところ、多数当事者が参加するマーケットでは、一度の取引で一番値段が高い人のところに物が売却されるところに、マーケットの優位性があります。マーケット参加者が合理的である限り、物の有効活用がなされる可能性が格段に高く、それだけ全体の富が増えるという理屈です。アメリカが規制のないマーケットに(少なくとも建前上)固執するのは、こういった理論的なバックグラウンドがあるのかな、と思います。
値段は価値観を変えてつける
MAや不動産をオークション方式で売るときのオークション運営者をしてみるとわかるのですが、bidしてくる人たちの値段は本当に様々です。全く違うレンジの価格をつけてくる人もいるのです。だいたいは、どのようにその部門とか不動産を活用するかというプランもつけてbidさせるので、なぜ人と全く違う値段をつけることができたか、というのをかいま見る事ができます。
例えば、もともと旅館経営をしていたA社が事業をどんどん拡張した結果、今は本業は全く別の例えば自動車産業になったとします。古くからの旅館は本業だと思って続けていたものの、大変投資効率が悪くなって、そのうち閉じちゃいました。で、今は社員の保養所。しかし、保養所として使うにも汚くなって、立て直すほかない。立て直してまで、保養所を維持する必要がなく、ほかに福祉厚生の手段は確保されていますので、単に支出のみかさむこの不動産を売りたい。
こんな案件で広くオークション方式で売りに出した場合、それはそれはいろいろな値段がつきます。保養所としてオーバーホールして使う人も、旅館として使う人もいるでしょうし、建物自体壊して住宅を建てるという人も、レジャーランドを立てる人もいるかもしれません。それぞれの使い方と、収益予想から見たときの現在価値(DCF等から見たcurrent value)を計算してそれでbidしてきます。実際に体験するととその価格が数倍から十倍くらい違うのに本当に驚きますし、価値の付け方というのは本当に人よりけりだと感じるものです。
もっと、卑近な例で見ましょうか。たとえば、機種変更で使わなくなった携帯。どんな値段の付け方があるでしょう?新たなSIMカードを挿して携帯として使用しますか?カメラとして?それとも子供のおもちゃ用のモックとして?あるいはリサイクルと称して中の純金を採取しますか?あるいは、(いれば)自分のファン(ストーカー?)にコレクターズアイテムとして売りますか?
携帯として使うなら、新品の性能・価格との比較になるでしょうし、カメラならカメラとの性能・価格の比較になるでしょうし、純金なら金の量から取り出すコストを引いた価格が問題になると思われます。自分の子供のおもちゃなら、おもちゃにかけることができるコストの問題(富豪の方が我々一般庶民より高いでしょう)でしょうし、コレクターズアイテムなら、純粋主観的な価値か希少価値が問題になるのだと思います。逆に全く使わない場合は廃棄コストだけかかる存在。
ちょっと考えただけでも値段の付け方は本当様々です。こういった例を見ても、同じ価値観で値段を1円単位で競うより、まったく違う価値観で、ドンと全く違う価格をつけられる人がマーケットで勝っていくのだなということはわかるかと思います。
よって、物を買うときは、自分の価値観を構築することが何よりも大事です。
どんな価値観を持っているかわからない人の価格にだけつられて1円ずつ上回る価格をつけるというのは本来あまり効率的ではない。上限を持ってその範囲ならいいのですがね。その意味で、私のヤフオクでの買い物はポリシーに欠けるかもしれません(笑)。ま、あれは出品が多く、マーケットの効率性が高いので、たまにしか起こらないトレードとは違うんですけどね。
取引コスト
ファンタジーのトレードでは、ヤフオクと違い取引が少ないので、きっちり人より高い価格をつける必要があります。経済的にいうと、取引の機会コストが高いために、取引がなかなかおこりにくい状況です。基本的に全部カスタムメイドで、一度しか起こらない取引。
普通の取引でいうと、繰り返し起こる取引が、例えばコンビニでお茶を買う取引。一方、一度しか起こらないのが、例えば日本の会社がアメリカに初の海外支店を建てるというような取引。
前者(お茶)は、日常的に起こっており、みんな特に内容を気にしないし、気軽に行う。具体的にはレジに持って行って買うんですね。でも、PL法の適用その他適用される複雑な規定が裏にないわけではないのです。でも、みなそれを気にしない。余分なコストはかけないわけです。
後者(初の海外支店)は、とてもカスタムメイド。しっかり下見もするでしょうし、弁護士に契約書も頼むでしょう。かかる費用も多いのですが、単に東京の会社が横浜支店を建てるのに比べて、周辺のコストをいっぱいかけます。
その結果、どっちが起こりやすいかというと、前者。
前者は、売値より1円でも価値を認めればそれで買っちゃいます。後者は、儲けがあるとわかっても、その儲けから周辺の余分なコストを引いてもさらにメリットがあると思わないと取引に至らないのです。ま、この2つだと無論単価の問題もありますけどね。単価の低い方が人はリスクをとれるし、簡単な決済で行えますから。
これを経済学っぽく(笑)表現すると、Xがx円で売り出したAをYが買うかは、Y1がAをx+1円以上に評価すれば取引成立するのが、前者の世界。後者は、x+取引コスト+1円で評価できるY2のみがこれを購入するという決断に至ります。
言い換えると、
x<x+1<x+取引コスト+1
なので、真ん中で足りるY1の方が右端であるY2より母集団が多く、簡単に売り先が見つかって売れるということですね。標準約款みたいなものはY2が必要な取引をY1で良くすることにより、取引を促進するために作られるんですね。
ファンタジーの世界において、誰でもすぐにできるadd/dropは前者(Y1でたりる)、取引にすごく時間がかかりカスタムメイドであるトレードは後者(Y2が必要)なのです。実際に起こる回数も何十倍も違いますが、それは取引コスト(合う組み合わせが見つかるかというコストと相手がトレード好きかというコスト。add/dropとの顕著な違いは特に後者)が違うからですね。
したがって、ファンタジーのトレードにおいては、トレードしたければ、トレードの機会というのはしっかり逃さずにとる必要があり、そのために価値観をしっかりと構築する必要があるのです。
次回は、その価値観のベースとなるOrankをちょっと検討してみます。
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