2008-05-02

add/dropな日々(4) 通年使える先発レギュラーをとる

私のやり方の場合、一番add/dropで戦略的に進める必要があるのが先発です。いくつか目的がありますが、まずはレギュラー捜しから。


レギュラーとなる投手を捜す場合、どのようにStatsを見たらいいのでしょうか。

投手Statsのおさらい

パブリックの場合、1250IPという枠の中で、W/K/ERA/WHIPとSVを競います。SVはCL専用なので今回は無関係。よって4つですね。目標数値はだいたい80W/1000K/3.70ERA/1.26WHIP。

クローザーを常時3-5名保有する場合、そのクローザーたちが使用するIPはだいたい200-300です。従って先発陣で使うIPは合計900-1000。900という数字はを使っていきたいと思います。

先発一人健康であれば年間180-220イニング投げます。平均190位でしょうか。けが人を考慮して180との前提で話をします。

イメージとしては、クローザー群を1名の仮想先発と考えると、純粋の先発4-5名と併せて、6名の先発で年間回す感じです。ただ、CLに勝ち星はあまり望めないので、勝ち星だけは5人で回す感じですかね。

先発はだいたい100球をめどに交代するのが今の大リーグの主流です。で中4日で登板する。したがってしっかり試合を作れる場合で7イニング、負けムードで4イニングくらい投げます。平均6として話をしたいと思います。

投手の率は恐ろしい

野手Statsのうち率系は打率のみです。一方投手statsのうち率系はERA/WHIPの2つ、また三振もIP数と奪三振率の連動性の高さから、基本的には率と考えることができます。従って、投手statsを考える場合、3つが率と考えるということになります。

野手の率について、率は非常にとらえどころのない、大きな数で、add/dropで取りに行くのは難しいという趣旨のことを書きました。これは投手の率にもそのまま当てはまります。

さらに、投手の率のうち、ERA/WHIPというのは、打者の率よりもさらに怖い分布を示します。

打者の率は論理的な上限が10割で、下限が0割です。論理的な限界が上限・下限ともにあります。

また、実際上の率は、下方向にぶれやすいと思われますが、それでも限界がある。

たとえば、3割打者のぶれについて考えると、実際上の上限は4割程度、下限は0割としたに広い構造になっています。

つまり、そのプレイヤーが手を抜いた場合一番悪くなり得て0割なのです。手を抜いてというと語弊がありますが、八百長という意味ではなく、たとえば3割という打率が等距離の1割と5割のどちらに振れやすいかというのを考える場合に、1割の方が近いと言うことです。5割にはその選手だけががんばってもなかなか行かないが、1割にはその選手だけががんばらないだけで簡単にいけるということになります。たとえば体調が悪いとかですぐに1割というのは見えてきますし、引退直前等に1割打者として通年過ごしてしまうことはあり得ますが、5割打者になることはまずあり得ないのです。

従って、打率の場合、短期(たとえば3,4試合)でみると実際上の上値である4割程度と論理的な下限値である0割との間で、成績が左右します。しかも3割という率から考えると、上1割、下3割です。1:3の距離感ですね。

ここでポイントは、下方向という振れやすい方向に、期待値から比較的近いところに論理的な限界があるということです。下限に限界がある、いわばセーフティネット付きな構造になっているといえます。

同じような方向性を示すのは奪三振率。奪三振0までしか下限が行きませんからね。これは野手の率と同程度の恐怖にすぎません。

問題は、ERA/WHIP。

ホッケーの振り返りでも振れましたが、こういう防御系の率の怖さは、下方の論理的限界がないことです。

1アウトも取れずに5失点というのはあり得る事態です。投手の側の事情だけで行き得る下限というのが見えない、無限に悪くなり得るという恐怖があります。

一方上限は、論理的にERA/WHIPとも0。下限が無限にあり得る。ERAでいうと、上に3.6、下に無限大。。。3.6:無限という距離感です。

しかも、先発投手の900IPは、150回の先発機会で消費されますから、上下のぶれ幅がおおきいのです。150回の打席というのは、チームの野手9名で言うと、わずか1週間ですからね。これと同じチャンスしかないということですから、分母の小ささからくるぶれの大きさは半端ではありません。

逆CB?

金融商品に当てはめて考えてみるといいかもしれません。

通称転換社債(CB)という商品があります。会社により社債として発行され、社債保有者の意思で、株に転換できるというもの。元本について考えると、株価100万円の時に、100万円分のCBを発行すると、社債権者は、償還時に100万円受け取るか、株式で受け取るかを選択することができます。発行会社の株価が上昇すれば株で、株価が100万円を割り込んでいれば現金で100万円を返してもらえるという商品です。

これは、最低100万円もらえて、最高額は株価の上昇にしたがって無限という商品です。株価と100万円の価値のある方をもらえる。下限が論理的に定まって上限が無限な形。

これと全く逆な形なのです。

いわば、償還時に100万円と株価の「価値のない方」をとらされる商品。株価が下がっていれば、下がった株を、株価が上がっていれば100万円を受け取ることになります。悲惨ですね。経営者が会社を破産寸前に追い込めば無価値の株式を渡されて終わりです。

リスク債券であるEB債の構造です。EB債の場合、通常は安定した会社が選ばれますので、悲惨なことになる可能性はまだましですが。カジュアル投資家・個人投資家向けの商品とはいえません。

以下がwikipediaへのリンクです。なお、Exchange Bondは他社株転換債ですが、日本語だと2つ意味を有することになっちゃいますね。英語ではふつうにreverse convertible bondで、利益曲線を考えると、こちらの方がわかりやすい気がします。

Wikipedia 他社株転換債

でも、この商品でも、下限は決まっています。0円。

先発はこの0円に相当する論理的な限界がないのです。ま、しいていうと最悪、破産状態の会社の無限責任社員にさせられちゃう感じでしょうか。。。

わかる人にしかわからない説明になっちゃいましたが(笑)、とにかくそんな危険な率の分布となるのが先発の率(ERA/WHIP)です。

どう900IPを割り振るか

若干横道にそれてしまいましたが、とにかく、先発投手は4つのStatsに関係し、そのうち3つは率系という大きな数字、しかもそのうち2つは危険な分布、ということはおわかりいただけたかと思います。

で、これをどういう人に割り振るかです。

同じく危険な率系を2つ持っていたホッケーのGの場合、超一流をねらうべき、という結論になりました。ただ、これは各チームGが基本1名であることが大きく影響していました。野球で言うCLみたいな希少性があったんですね。

野球の先発投手はローテーション投手だけで球界に5*30=150名おり、その周りを含めると優に200名以上先発機会を与えられます。そのうちファンタジーのチームが各5名とったとしても、パブリックでは所詮60名、半分以上はFAです。したがって、ホッケーのG同様、トップをねらえとはこれだけではいえません。

上の選手を本当にとる必要があるかは、別の根拠が必要となってきます。

これの参考になるデータを示すにあたり、やっかいなのはちょうど06年と07年の間にYahooが投手ポイントのランクの付け方を変えた事です。はっきり見てわかるのは、06年の投手成績のランクは、概して07年のランクよりよく、野手との比較で、どちらも大事だということがわかるようなランク付けになっていました。これが07年からは、打者の方が大事だと感じるようなランクになっています。また、変更内容は開示されていませんので、投手のポイント間の重みの変更がどうなされたのかも不明です。

というわけで、考慮はざっくりといきます。

上位20名程度の成績の安定性

上位30名くらいが次の年もいい年間成績を収める率について、ランクを基に検討してみました。

06年の30名位というと、ランクで100くらいまでです。07年は150。これらと、今日現在のOrankの分布状況について、現在Orank100位以内(18名)、150位以内の人(35名)で、07年150位以内(31名)、06年100位以内(33名)は何名いるか、またこの3つともに当てはまる人は何名いるのかというのを検討してみました。

Orank

07150位以内

31名)

06100位以内

(33)

3つともに当てはまる

100以内(18)

16

15

15

100-150(17)

8

3

0



これを見る限り、Orank100位以内をとりたくなると言う感覚は正しそうです。ただ、一方でOrank100以内は、2年連続いい成績の人をならべ、100-150は、これから伸びそうな若手、復活組を単に並べているだけかもしれず、もう少し検討は必要そうです。

06年・07年成績の連動性

では、06年成績と07年成績はどの程度連動していたのでしょうか。

06年成績

07150位以内

うち07100位以内

31名)

19名)

上位18名

12(66%)

9(50%)

次の17名

4(24%)

1(6%)



率はがくんと落ちますが、やはり、上位20名くらいの安定度は際だっているように感じられます。ま、1年の傾向に過ぎませんし、ランクの方針もわからないので、どの程度優勝に近づくデータかは不明ですが。正確には数えていませんが、怪我・引退をのぞくと、上位18名のほとんどは07年も200位以内(上位45名)で終了しています。先発をパブリックで60名使うとすると、優にこの中に入ってきます。

そう考えると、イメージとしては、上位15-20名については、好不調はともかく1年間無事であれば、十分通年で先発で使っていけるということになります。

その一方で、07年の100位いない、150位以内のいずれも50%程度は、前年度の上位35名程度以外からのランクインです。今年で言うと、Orank150位よりも悪い先発から上位20名、35名に半数程度入ってくることが期待できるということですね。従って、できればこの層からもレギュラーを手に入れたい。

IPの消費と保有先発数の目標

900IPあるとして、200IPくらい投げてくれる先発(チームの先発1,2番手)を持っていることを前提とすると、だいたい4名で回すとイニングのプロジェクションがあまってきて、5名で回すと消化していく感触を受けています。

これをどう分類するかというと、基本的にOrank100以内を3名、それ以外からこれはと思う人を1名固定で持ち、最後の0.5-1名分を瞬間的なadd/dropで補うというのが理想的ということになります。

最初から5名固める必要はありませんし、むしろ、野手の試合数消費、クローザー・候補の確保を考えると、最初から先発を5名固めるよりも他のことに枠を使うべきではないかと思われます。

よって、ここで、レギュラーというのは、4人目の投手ということですね。できれば通年で使いたいです。

レギュラー投手に求めるもの

ドラフトでOrank100以内の投手に求めるものとも共通しますが、とにかく率系が多いのがくせ者。

チーム全体で、率系3つで、1000K/3.70ERA/1.26WHIPが必要です。IPは1250なのでKは0.8K/IPが必要な率となります。

率系目標値:0.8K/3.70ERA/1.26WHIP

私の戦略では、CLはそれほど質は問わないことにしているので、先発の柱4名は、この率系3つについて、いずれも平均を上回るプロジェクションを稼いで欲しいと思っています。その代わりWは問わない。

その前提でドラフト・トレードをしてOrank100位以内3名を整えるようにしています。すくなくとも、今年自分がその選手3名に期待できるものとして、これらの目標値をそれぞれの選手が全てにおいて上回ること、があるのです。

ただ、4人目は正直よくわかりません。そこまで求められるのか、がわからないのです。

一般にK率、K/BB率は、マイナーとメジャーに一貫性があるように見受けられます。BBの率というのはそのままWHIPに影響します。また、復活組でもこれらはあまり変わらないことが多いように思われます。

したがって、4人目については、K率、K/BB率を最重視し、ERA/WHIPについては、勝手な期待をし、総合として、この目標値を通年で達成してくれそうな人というのを選ぶようにしています。今年の復活組では、ランディジョンソン、リッチハーデンなどを4人目としておいておく、ということが多かったです。当初は先発3名指名で、3名目というのもありましたが、さすがに若干少なく感じました(笑)。ま、試行錯誤です。

この戦略の合理性は一応あるのかな、と今日はじめてやった分析(笑)を終えても思います。

率系が3つあり、落とし穴がそのうち2つであることからすると、IPを消費させる投手の質というのは、神経質にならざるを得ません。しかも先発はそれぞれが、1/6の影響力を持ちますから。その中で上位20名くらいの例年の成績の安定度を考えると、この部分で過半数の先発を補うと言うことは合理的かと思われます。また、Orank150位以下からも一定数ブレイクがあり、しかも上位に食い込む可能性があることを考えると、Orank150位以下から1名(またはOrank2桁がどうしてもだめなときは2名ないし3名)選ぶというのは無理とはいえないのではないか、と思われます。

ま、うまくいくのかはシーズン終了後のお楽しみです。いくら選手が偏っている(笑)とはいえ、いくつか同じ方針でチームを作れば、全体的な成功感触というのはつかめそうですから。


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