トレード (12)価値軸を増やすとトレードは増加する
価値軸を増やすと、探し得る案件の数は増加します。
他のチームは何を考えているかわからない
ある選手を出す場合の、トレード案件の潜在的な数(マーケット)は、トレードの容易さに非常に密接に関連します。
FA以外の選手について、ある選手(以前からの例を使い、たとえば2B2(5))で取得できる3Bのマーケットの広さというのは、他のチームの状況に左右されます。
他のチーム(たとえばA)の3B(たとえば3B1(10))について、Aが、2B2(5)と交換するかというのは、Aにとって2B2(5)が何らかの面で、3B1(10)を上回る価値を有すると考えたときのみになります。
ここでポイントになるのは、実際のゲームでは他のプレイヤーが何を考えているかわからないということです。
もし、Aが2B2(5)の方が3B1(10)よりも価値があると思えば、2B2(5)を対価とするマーケットに3B1(10)は存在することになり、そうでなければ3B1(10)は存在しないということになります。
そして、Aが2B2(5)と3B1(10)をどちらが価値があると考えるかは、Aの価値軸の数や価値観によって変わってくるので、これをBが想定するのは非常に難しい。Orankという便利な物差しで説得されてくれる相手であれば楽ですが、大概100%Orankに従って動いている人などいないので、大概、手探りでマーケットを確認していくことになります。
このように2B2(5)をベースにした場合に、他のチームに所属する選手について、マーケットがどのくらいあるのか、それを画する作業自体非常に困難を伴います。
式で考えてみる
以下の状況設定で式にしてみます。
選手 | 所属 | 客観的価値 | Aの認めるプレミアム | Bの認めるプレミアム |
X | A | oX | pAX | pBX |
Y | B | oY | pAY | pBY |
なお、以前から書いているように何を客観的価値とみるかは人それぞれで、客観的な価値とプレミアムの境界は非常に曖昧ですが、ここは両者が区別可能との前提で考えることにします。で、この客観的な価値(oY、oX)はAB両方がわかるものとします。
最初XはAに所属し、YはBに所属します。従って、最初のお互いの満足度はこんなかんじ。
A X(oX+ pAX)
B Y(oY+ pBY)
AがBにオファーをするのは、Aにとって、XよりYの方が価値がある場合ですから、以下の式が満たされる場合です。
oX+ pAX < oY+ pAY
式で書くと難しそうですが、言っていることは単純です。AがXよりYが欲しいと思ったらオファーする、それだけですね。
逆に、Bがアクセプトする条件は、BにとってYよりXの方が価値がある場合です。
oY+ pBY < oX+ pBX
この両方の式を満たす場合のみトレードが成立します。
Aにとっての「Xを対価として得られる選手」のマーケット
じゃ、AがXを持っていた場合、対価となり得るYはどうはかればいいでしょうか。いずれの式もoYでまとめてみます。
oX+ pAX – pAY < oY < oX+ pBX- pBY
これを満たすYがマーケットにいる選手ということになります。
なんのこっちゃ、という感じですが、要は、自分がXを出して相手もYを出してくれる、こんな関係にあるYはこの式を満たすことになります。
ABいずれもXYにプレミアを認めないと取引成立することはありません。上の式で言うと、pがついているのが全て0である状態です。
唯一oX=oYのときに成立し得ますが、そもそも取引をする必要がありませんからね。
価値軸を増やすとオファーの範囲が広がる
設定上、Aがわかる数値は、oX、oY、pAX、pAYの4つです。
価値軸を増やすというのは、pAY、pBYの値の取り得る幅を増やすということですね。プレミアムというのは要は自分の持っている価値軸のうちどれかを使って得られる値ですから。これにより、上の式で見る場合、oX、oYに比べたプレミアムの部分が相対的に大きくなり、オファーできる案件が増えます。
具体感のある数字で言うと、たとえば、oXが100であるとします。でプレミアのありえる値の範囲が-10から10(以下表記は[10]とします。)とします。たとえば嫌いとか、同じポジションの上位がいるとすると、マイナスのプレミアがつくわけですね。
オファーできるかは、oX(100)+ pAX[10] – pAY[10] < oY、を満たすYですから、取り得るoYの値は、80-120。
一方、あり得るかどうかはともかく、極端な例としてプレミアが[50]だとすると、
oX(100)+ pAX[50] – pAY[50] < oY
オファーできるYのoYは0-200と広がるのです。
プレミアはいろんな価値軸ではかったときの値ですので、その最大値は、価値軸を増やせば増やすほどプレミアの比重が大きくなります(上の設定の仕方だと[10]とかなっているうちの、10の数が増加する感じです)。従って、オファーできる案件も増えるのです。
価値軸とアクセプトの範囲
一方、アクセプトするか否かは、以下の式。
oY < oX+ pBX- pBY
Bのプレミアの付け方がわからないAとしては、これを予測するしかないのです。なので以下の範囲はAの予測ベースの話ということですね。この場合も、価値軸が増えて、上記のように[10]が[50]になると受諾(予測)の範囲は増加します。
これは何を意味するかというと、一見誰も受けそうにないオファーでも、実は受けるかもというオファーを見つけるのに役立ちます。
トレードは交換が基本なので、相手が極端なプレミアムを払ってくれたり、こちらが極端な形の崩れをなおしたりするのでなければ、直接大幅なチームの増強はありません。したがって、このように価値軸を増やして、相手が受ける「かも」という案件をたくさん見つけることができるというのは、トレードでチームを継続的に強くしていく上では重要な能力となります。
なお、相手がその価値観をもっていることが確定できる(たとえばバランス重視、Orank重視、大砲好き、先発軽視・重視、盗塁重視とか)のであれば、相手が受ける「かも」という具体的な案件を見つけ、取引にこぎ着けることができる可能性・こちらが最大限の利益を受ける点を探す容易さが増大します。これはpBX、pBYの値を[10]から8とかに確定していく作業ができるからです。敵を知り己を知らば百戦危うからずといいますが、敵を知りの部分ですね。
まとめ・雑感
価値軸を増やすとトレードでオファーできる案件が増え、また見つけることのできる、受けてもらえる「かも」という案件の数も増えます。
これは実際の感想とも合致する感じです。
何度も書くように、野球は他のスポーツに比べて制約がきついので、いろいろな価値観というのは比較的容易に見つけることができます。これを増やすだけで、トレード成立件数というのは結構増える感じですね。無論リーグのメンバーの性向にもよりますが。
実際の社会でも、ま、門外漢雑感ですが、再生案件とかはまさにこんな感じなんでしょうかね。再生対象が決まっている場合は金集め(投資家探し)で、お金・投資家がすでにいるファンドでは案件探しで、こういった、受ける「かも」の層をより広く見つけることができるというのは、結構重要視されるのかもなと。
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