add/dropな日々(6) 不調レギュラーはベンチにおく?
以前、調子の波だけ見て好調選手の「好調」期間をとらえるのは困難であり、効率が良くないと書きました。では、レギュラーの「不調」期間を避けることは可能でしょうか。
レギュラーの不調は何が痛いか?
基本的に、生の選手と接する機会がきわめて乏しいファンタジープレイヤーには、故仰木監督のようなその日その日の調子を見ての起用(日替わり起用)というのはきわめて難しく、特に、それまでの調子の波を重視した好調時期をとらえる戦略というのは、実は効率的ではない、と思っています。
従って、この考えに従う限り、レギュラーはずっと使うべきということになります。
ただ、このレギュラーが不調の時期というのは、それだけにダメージは甚大です。野手で言うと20打席連続して無安打とか、週間打率で1割を切るなどというような場合、その間のチーム全体の成績を押し下げます。特に率は、0割打者というのが出てしまうと、他に6割打者というのが必要となり、1割なら5割が必要と、いずれもきわめて厳しいです。これは、先日記載した成績は下方向により振れやすいという理屈によります。
ちょっと数字で見てみましょう。ねらう打率は3割!
ファンタジーで使う選手の場合、だいたい1試合4打席くらいは楽に回ってきます。で、1週間あたり6から7試合。とすると、1週間でだいたい25打席です。打率0割なら0本、1割なら2.5本、2割なら5本、目指す3割なら7.5本くらいのヒットが必要。
もし、1週間で0-2本しかヒットを打たない人がいれば、これを他の一人でカバーするためには、その活躍者は、5-7本余分にヒットを打つ必要があります。その人分のノルマも3割とすると、1試合あたり、4打席のうち1.2打席はヒットということになりますので、1試合上がりの余分は2.8打席。毎打席ヒットを打っても、カバーには2,3試合必要になります。10-15打席ですね。この間全部ヒット。野球ニュースを見る人であれば、10-15打席連続ヒットというのがどれくらいニュースになることかおわかりかと思います。
一方、特に野手の率以外については、実はそれほど影響を感じない場合も多いかと思います。
たとえば、レギュラーには全体の平均より若干厳しい数字を求めることにして、ちょっと数字を見てみます。800R/200HR/800RBI/120SBを9人でということですので、単純に割り、レギュラーということで、それより若干上を基準値としてみます。
たとえば以下の数字。
96R/24HR/96RBI/15SB
これを、4月から9月までの6ヶ月で達成するわけです。24週。1週間あたりに直すと、それぞれノルマは、以下の通り。
4R/1HR/4RBI/0.8SB
野球を見たことがある一般的な日本人なら、HR/SBについては、「1打席」でカバーできる数字であり、R/RBIについても、「1試合」大活躍すれば1名でカバーできる範囲であることがわかります。
また、不調の人も大砲タイプのであれば、気がつけばその週の1本のヒットが本塁打なんてこともままあったり、、、何せ50本塁打打つ人はヒットのうち1/3くらいが本塁打ですからね。
数の小さなこれらの数字は、常に起こる偶然性により(別名volatility)打ち消される可能性が大きいのですね。
よって、これらは、実はそこまで痛くない。
具体的なイメージで言うと、たとえ1名不調の人が出た場合でも、自分のチームの1週間の成績を見た場合、打率以外は案外不調選手がいるということすら気がつかないということになっているのではないかと思われます。とくに1名でも週間MVP級の働きをする人がいれば、他の点は全て帳消しです。で、ファンタジーの場合、結構な確率で保有する誰かは爆発しています。
特に神経質にプレーする人以外、レギュラー野手の不調は、
● 打率については、結構痛いが、
● 得点・打点は爆発している人がいれば特に感じない
● 本塁打・盗塁については基本的には影響を感じない
という感じでしょうか。
要は、影響は部門によるということですね。
レギュラーの不調は、add/dropで回避可能か
先日FA選手の好調期は、調子の波をとらえるadd/dropではつかみにくく、不効率であると書きました。では、レギュラー選手の不調を避けるというのはどうでしょうか。
今回は不調と言うことで、前回のXZさん(いずれもレギュラー)のマルとバツを入れ替えたパターンで検討してみましょう。
| X | Z |
1 | × | × |
2 | × | ○ |
3 | × | × |
4 | ○ | ○ |
5 | ○ | × |
6 | ○ | ○ |
7 | × | × |
長期型が×が2度続いたらFA選手の活用を考える、短期型が×が1度続いたら、です。ただ、レギュラーは基本的にずっと使うべきという方針はすでに出ているので、戻すときは、いずれもレギュラーが一度○が出たらという行動パターンをとることとします。基本的にはレギュラーにしがみついて、どうしてもというときだけFAを使うイメージですね。
この結果は、下記。分母がFAを使う日数、分子がうち、レギュラーが○である日数。括弧がFAを使う日です。
| X | Z |
長期 | 1/2 (3,4) | 0/0 (なし) |
短期 | 1/3 (2,3,4) | 3/3 (2,4,6) |
ぱっと見てわかるのが、Zタイプのレギュラーの場合、短期型でやるとことごとく失敗する可能性があると言うことです。
短期型のadd/dropにすると、Xの場合比較的いい成績となる。レギュラーが3単位の間で○を1個稼ぐというのは、レギュラーの平均(7単位で○3つ)よりも効率の悪い期間であり、うまく平均より下の期間に使用しないという選択ができていることになります。
ただ、ある選手の不調がZタイプかXタイプかの見極めはきわめて困難であること、基本的にはレギュラーを使う方が成績が出やすいことなどを加味すると、絶不調であることが明らかなときに、回復の兆しが出るまでの期間限定でスタメンを外すという戦略(長期型)が無難な選択ということになります。
長期型であっても、上の例で言うと、レギュラーを使っていた場合1/2で結果が出るのであるから、それを上回るFAを探すことになり、コンセプトほど簡単なことではないと思われます。
具体的な運用としては、枠の問題もあるので、先発のイニング消費、けが人の代替の確保、レギュラーの確保など他のadd/dropの目的との均衡を考えた上で、絶不調の人1名分について、数日限定でadd/dropで勝負を賭けてみてもいいかも、という仮説が成り立つでしょうか。あくまでFAとレギュラーの差が小さいフォーマットでですけどね。
仮説が正しいとすると・・・?
(1) 活用場面は少ない?
まずいえることは、これでねらうadd/dropはあまりないということです。レギュラーの長期の深刻な不調の時に回復の兆しが見えるまで、ですから。
ただ、レギュラーは9名いるので、1名あたり年間合計10試合(1ヶ月25試合中1.5試合程度)としても全体で90試合。枠をこれように1つしか準備しないとすると、要は半分くらいの期間誰かについてはやりたくなると言うことですので、そういう意味で、検討する時期自体は多そうですね。
(2) 内野複数ポジション選手の価値の増加
また、これを活用することを考えると複数ポジション選手は有効性が高くなってくるということです。FAのレベルが高い場合、複数ポジション選手の必要性というのはどんどん少なくなります。一方FA選手の層が薄い場合、複数ポジション選手の必要性というのは高まります。代替選手が見つかりにくいからですね。
どういう事かというと、ポジションAの選手Xが不調となった場合、ポジションA,Bの両方を守れ、通常Bを守っている選手Yがいれば、FAの好調選手を探す場合に、ポジションAの好調選手のみならず、ポジションBの好調選手も候補に入れて選択できるようになるのです。
有力選手が圧倒的に(ほぼ半数)外野から出てくるという現状においては、内野の別ポジションを守れるレギュラー級の選手の価値というのはとても高いことになります。
上の例で具体的に言うと、
1 Aが内野、Bが外野であるとすると、Aが不調である場合、通常はAのFAプールから人を選ばないといけないところ、外野という最強のプールを一緒に加味できることになるのです。
従って、内野というオプションを持っているYが、競争の激しい外野でもレギュラーをはれる位の選手であれば、Yの価値というのは一般の外野、一般の内野よりも高くなります。
今年で言うと、Braun, BJ Upton, Berkmanあたりはこの扱いがされるのかもしれません。
2 Aが外野、Bが内野とすると、Zが外野を守れるというメリットはあまりありません。確かに考慮するFAプールはA, Bの両方となるのですが、通常はAの外野から選ぶ可能性が相当高くなるからです。
とすると、Bを守る内野手としてのレギュラーの実力があるZが外野も守れるというのは、あまりメリットがないということになろうかと思われます。
異論承知で言うと、もし、2B/3Bのいずれかと外野しか守れなかったとすると、個人的には今年のFigginsはこの類型ですね。
3 Aが内野、Bも内野とすると、これもメリット大です。この場合、内野というFAの層が薄いところを2つ考慮できるので、実際上のメリットが高いのです。
今年で言うと、1B/3Bを守れるA. Gordon、2B/3B/SSを守れるエスコバーには、この「型からくる高評価」ということで、ランク以上に重宝するという評価をしています。特に一番層が薄いと感じるSSを守れる後者は。
以上からすると、レギュラー級の選手が、もう一つ内野の別のポジションを守れる場合、その選手の価値は高いということになります。特に選手の故障(野手は投手に比べてさほど多くない)以外に、不調(結構ある)でもレギュラーをベンチに置いておくという戦略をとる場合、この価値はさらに増大するということになります。
(3) レギュラー不調時は毎日入れ替えを検討すべき
過去の調子だけでFA選手をとっても調子いい時期を確実にとらえるのは難しいというのが、以前の結論でした。ただ、調子の波だけではなく、対戦相手を見る先発のスポットについては、調子の波の悪影響部分を受ける可能性が減るのではないのか、というのが次なる仮説でした。
レギュラー不調時のスポットでの代替野手を捜すときも同様に、毎日変更を検討すべきかなと思われます。
具体的には・・・
パブリックの場合、レギュラー不調時の代わりの要員候補というのは、だいたい複数人いることが多く、この中から人を選んで使用することになります。
その場合、一番最初に確認すべきは率。打ちまくっているか。毎試合安打で週間の打率4割越えとかがいいです。率が一番大きな数字で、ここでリスクは犯したくないからです。自分が打っていればよく、相手投手の要素は少ないのではないか、というのが以前書いた内容です。
一方、R/RBIは、ねらって取りに行きたいところです。ポイントは2つ。まずはその選手のチームが最近調子がよく大量得点をしているかです。続いて相手投手。相手投手は、調子もさることながら、過去の実績をみたいです。実績派投手から大量点というのはやはり結構難しいと思うので。ここは、合わせて1点は取れないと、実は期待値からマイナスです。従って、しっかりチェックしたいところ。
HR/SBが出るか否かは選手のタイプなので、過去を見てあるかないかをチェックする程度でいいと思います。30HR/30SBを期待できるドラフト1,2巡目ですら、1つの試合に限ると、それぞれ10数パーセント出る確率があるだけで、特にHR/SBタイプでなくてもいい場合もあると思います。所詮出たらラッキーというていどなので。もし、最近数試合連続して盗塁しているなど、例外的な事情があれば、ねらってみてもいいかもしれません。
こうやって選手を探すとすると、最新の成績と相手投手というのの重要度が高くなるので、毎日の情報のアップデートをした上、それを加味してもう一度今の代替要員でいいかを検討してやるのが合理的かと思われます。
(4) 先発投手の不調は無視?
最後に、レギュラーの先発にも調子の波はあるように思われます。良かったり悪かったり。ただ、これに合わせて、使用を回避するのはあまり合理的とは思われません。
レギュラーの先発投手を5,6名そろえるのであれば、そのうち調子のいいもの、対戦相手の打線からみて有利な対戦相手である投手のみを使用するというのは一つの戦略であるように思われます。ただ、私のように先発投手の数を少なめに抑え、しかもその少ないレギュラー先発投手をランク2桁などの上位からとる場合、この戦略は有効ではないと思われます。根拠は以下の通り。
まず、第一に、先発は使用される間隔が長く、5日に1回しか試合に登場しません。その間どのように調子を整えてきたのか、直前の球の切れはどうか、など、一般には報道されません。従って、本当に調子の波があるのか、単に数回悪い試合が続いているのかの判断が非常に難しいというのがあります。間断なく試合が続く野手とはこの点大いに違うと思います。
次に、率の恐怖というのが先発投手と打者では違うというのがあります。そして上位の先発であれば悪くても年間成績で見れば一定の成績を期待できる場合が多い以上、そこでリスクをとるのが怖いというのがあります。
最後に、たぶんこれが一番大きいと思うのですが、先発の登場回数が非常に少ないというのがあります。1年間に30回程度しか登場しない。1度登板を回避させるとそれだけで3%もその人の年間成績を利用しないことになります。野手の場合1試合代わりの人を使ったとしても所詮0.5%弱です。ギャンブルのステークスは小さい方がいいと思われるので、ここで3%をギャンブルするという習慣は危険ではないかと思われるのです。特に調子、相手方をみての登板回避というのはやり出すとどんどんやりたくなるので(自ら実験済み・・・)。
従って、先発については、よほどの事態でない限り、レギュラーだと決めた人については、調子に関わりなく使用し続けるというのが正解ではないかと思っています。
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