2008-05-10

トレード (10)Orankの有効性

Yahoo!では誰でも気軽に選手の価値を計れるようにOrankというものが提供されています。これは非常に良くできていて、使い勝手がいいものです。


Orankの必要性・有効性

Original Rankの略でしょうか、ちょっと定かではないのですが、Yahoo!のファンタジーベースボールでは、選手をそのファンタジーにおける価値に応じてランク付けしています。それがOrank。

はじめて遊ぶプレイヤーは、実際の選手を知っていようと知っていまいと、ファンタジーにおける選手の価値というのは基本的に知りません。従って、これを測る物差しが欲しい。また、ある程度経験を積んだプレイヤーでも選手全員の価値を覚えておくなどと言うことは不可能で、なにか基準になる指標がほしい。それに答えてくれるのがOrankです。

Orankは実際にドラフトで選手を獲得する際の指名順位の検討、トレードの際の価値の検討、add/dropの際の将来性の目安など、さまざまな面で活用されます。とにかくわからないことがあったら、自信がなければないほど、頼るべきはOrankなのです。

Orankの優れた点は、全選手を1つのランキングで現していることです。一般の人間にはポジションの違う先発・抑え・打者のファンタジーにおける価値というのがわからないところ、これすべてOrank1つでとりあえずの指標が出るのです。たとえば、日本のプロ野球で言うと、神様仏様といわれた稲生と、世界の王、どちらがファンタジー的に価値があるのか、また、名勝負といわれた江川と掛布、今の阪神で言うと金本と藤川、どっちがファンタジー的に価値があるのか、さっぱりわからないわけです。同じファーストとかであればまだ比べられるものの、ポジションが違うと相当難しい。そういったものを1つのランキングであらわすというのは大変難しく、それだけに精度が高くそれをしてくれるとすれば、その価値は著しく高いのです。

Orankの精度については、いろいろ議論もあるところですが、少なくとも野手で50番以内、先発で言うと100番以内位をとって、1年間どうしようもなく失敗しているという確率は驚くほど少ないです。メジャー全体での選手の数から考えて、これだけ確率の高い選手をちゃんと選び出す眼力というのは本当に驚くばかりです。さすがファンタジー大国アメリカというのを感じることができます。

実際のゲームに当たっても、とりあえずOrankに従って選手を集めるようにすれば大やけどをする可能性はきわめて少なく、Orank集めということをするだけで、ふつうのパブリックのカジュアルリーグであれば勝つことができるのではないか、そんな風にすら思います。それくらいできがいいです。

実際に数十万リーグを運営して傾向をはかっているYahooだから精度が高いというのもあるのかもしれません。実証データが多いので。

はじめてファンタジーをする際は、是非このOrankというのを重視してプレイすべきではないかと思っていますし、実際そう進めています。

Orankの限界(フォーマットに応じた修正)

不思議なことにOrankを皆が重視してゲームをしていても、なぜか毎回勝つ人は勝ち、負ける人は負ける、そういう結論に至りがちです。

これは1つには、無論超大物新人を発掘する目というのがあります。たとえば野球であれば、やはりメジャー通という感じの人は強いです。特にマイナー情報にまで通じている方は。

ただ、友人連中といくつかのスポーツを一緒にプレーしていて思うのは、やはりフォーマットや、点数の付き方、稼ぎ方という型は結構あるのかなということです。Orankだけを重視していると毎回勝つとかいいところで競うというのは難しいのではないかと。

そりゃそうなんです、考えてみれば。

オートドラフトの時は基本的にOrankに従ってチームが作られます。そんなにリスト作りには時間をかけない人がオートであることが多いので。で、そのまま誰もadd/dropしなければ非常に競るか、というとそうでもないのかなと思います。やっているリーグは余り見ませんが、結構差がつくのではないかと。

これは神ならぬ身で結果を完全に見通せない以上、当然ですね。

従って、Orankは重視すべきであるが、リーグのみんなが同じくらい重視しても同じ成績(似た成績)とならず、結構差がつきます。そのときにできてくる各statsのポイントの格差を調整するバランス感覚が問われてきます。

Rotisserieでは、パブリックの場合その部門1位になると12ポイントが最下位になると1ポイントが与えられ、10部門の合計点をポイントとして競うという話は以前記載したとおりです。

各stats、ポジションといったいくつもの要素を乗り越えて一列に実力評価してくれているOrankですが、無論チームによる調整は必要になります。選手の調子が全く不変であって、プロジェクション通りの実力が出るとしても、実力のある同ポジションの選手2名より他のポジションの選手の方が合計点は高くなりますし、盗塁をやたらするタイプ2名で盗塁部門ぶっちぎるより、その位のOrankの人でホームランを打てる人をとっておいた方が全体のポイントは高くなるのです。

要は、1部門ぶっちぎりで1位(12点)で、もう1部門最下位(1点、合計13点)より、2部門ぎりぎり4位くらい(各9点、合計18点)の方がよっぽど点数が稼げます。

実際は誰にも読み切れない調子の波があり、しかも終盤はトレードができません。

そうすると、戦略としては、とりあえず全体が競うくらいのレベルに各Statsのプロジェクションを持って行っておくという調整が必要となります。

これができるか、というのがOrank重視の中でチームを作りながらも一番重要になる変更点です。これがいつもできる人は、結構いろんなフォーマットでファンタジーに強いということになりますし、それを意識しないで遊ぶとたぶん詳しいスポーツだけ強いということになると思います。

この集団がどのくらいの数字を出すか、そのためにはOrankに従った選手の選択からどの程度修正が必要か、そういうことを考えられるかですね。特にみんながOrankを重視する場合、これが重要になってきます。フォーマットに応じてOrank以外の価値軸を持って修正してやるということです。

Orankのその他の限界

Orankにはその他にも内在的な限界があるように思われます。

1 期待値を使用せざるを得ない

以前も書きましたが、ランクを作るというつもりになると、選手の結果の期待値順に並べるしかないというのがあります。故障者、期待の新人が活躍するか、何試合くらい活躍するかはある程度率で考えてやるしかないのです。どうやっているのか詳細は不明ですが、10の力のある人が7割くらいの確率でレギュラーかなという場合に、10を前提にランキングを作っていくのは難しく、割合的に7とするか、せいぜい8か9くらいとせざるを得ないのです。たとえば7にした場合、本来的にフルに実力を発揮して7の人とランキング上は並びます。ただ、割合的に7となっている人は実際は(理論上)0か10で7と並ぶことはないのです。期待値が一緒と言うだけで。

ここら辺の発想はドラフト時点でどの順位でどういう評価のタイプの人をとるのかという判断の時に結構影響する発想です。

2 各ポジションを1つの数列で表している

Orankは基本的なポジションプレミアムを考慮していますが、そのリーグのフォーマット、FAの需給状況は当然加味していません。

ポジションプレミアムでいうと、キャッチャー2名というYahoo以外のファンタジーの伝統的なスタイルだともっとキャッチャーのプレミアムはつくのかもしれませんし、1B/3Bを表すIF、2B/SS用のポジションであるMFを入れるとポジションごとのプレミアムは変わりますし、Utilの数、BNの数、投手のポジションの数などによってもプレミアムは変わり得ます。

また、何名が積極的にadd/dropをしているかということによってもFAの調子のいい人のうちavailableな人の人数は変わってきますが、これでもプレミアは代わり得ます。

従って、ポジションの一般的になプレミアムは加味されているものの、フォーマット、リーグの状況を加味した、「自分のチームにとってのプレミアム」は基本的に考慮されていないのです。Orankを重視したければ、Orankが想定する状況に自分を合致させるほかなく、それは結構難しいです。大概はOrankを修正して自分に適用する方が手軽ですから。

野手と野手・投手と野手・抑えとそれ以外、などOrankを修正して考える場面は多々あります。

4 各スタッツを合わせて1つのリストにしている

盗塁のできる人の次に、大砲が、次に先発が、抑えがと一見ランダムに並ぶのがOrankです。しかし自分のチームにはどのタイプもまんべんなく必要なのです。したがって、盗塁タイプのみ、先発のみと指名を重ねてしまわずに、どのタイプもバランスよく取りそろえたチームというのを常に念頭に置いてやる必要があり、その場合にもOrankというのは修正して適用されるべきです。

プレミアムという文脈で言うと、フォーマット、FA状況、自分のチーム状況等、具体的状況に応じた必要なスタッツのプレミアムは示されておらず、あくまで一般的なプレミアムがついているに過ぎないと言うことですね。

5 調子、怪我、起用方法、ポジションの変更が逐一反映されない

どのスポーツでも毎年新人王はおり、毎年どのチームも血の入れ替えというのはなされます。ただ、Orankというのは基本的には動かず、これらの情報の反映というのは後手後手に回らざるを得ない状況になります。

最終的なチームの強さは、これらの要素を加味したチームの方が強いのは明らかで(突然出現した怪物級の新人王がいるチームは強いです)、Orankが反映されていないうちからこういった選手を使いたいのは無論です。

それと同様に絶不調であることなども選手価値の下落要素のはずですが、Orankにはほぼ全く反映されません。従って、Orankをベースにしつつも自分で反映してあげないといけない情報の一つとなります。

この点でもOrankだけにとらわれない(他の情報で修正してあげる)チームの方が強くなります。

6 ゲームであること

Orankというのは価値の指標となっていると同時に、ドラフトで何も指示をしない人のチーム作成に大きな役割を果たします。特にプレイヤーが指示をしない場合、コンピューターがOrankに従ってチームを作るのです。

一部の人がライブドラフトで指示をしない場合はともかく、オートドラフトとか、全員が何もしない場合になるべく平等なチームになるように、毎年ある一定のランクのところにある一定の役割の選手を入れている場合があります。

フットボールを経験するとポイント的にはあまり稼がないもののその数の限定性からRBが上位に相当並びます。また、野球でも抑え、1Bの上位、先発の実績派、期待の新人など、少なくともここ2年くらいは、だいたい同じくらいの順位のところに特定のポジションの同じくらいの活躍が期待されている人が並びます。

本当に活躍度だけで判断するならば、毎年ランクは大きく変わるはずなのですが、この方がゲーム開催者の運営方法としてまとまりがいいのではないかと思われます。従って、本来は結構差がある同じポジションの人が並んでいたり、逆に結構差が少ないのにランク的には相当差があるように見える人というのが存在します。むろん、Ornakのやり方の「逆を行く」のがおいしいやりかたであることは言うまでもないですね。ま、どれがそれかわからないのがふつうというのはありますが。

7 下位のOrankの信用性が低い

Orank下位の人には毎日のレギュラーではない人(期待の新人で2軍にいる人、ツープラトン作戦の一部になっている人)が大量にいます。これらの人はレギュラーになったとたん価値が上がります。

また、クローザー候補の下位も優秀なセットアッパーより下に位置されていますが、これも確定クローザーになったとたん価値が急増します。

このようにそのチームの作戦次第で価値が急増する人のOrankというのは概して低くなっています。判断のしようがないので並べてあるだけだと思いますし、それはそれでいいのかなと思います。

こういったOrankの低い人のランクはある日突然数百上がることもありますし、ずっと放置されることもあります。ここら辺の感覚は正直よくわからないため、私の中でのOrank(低い部分)への信用性は低いです。

このようにいろいろ限界はあるOrankですが、トレードを戦略の一環として多用する場合、みんながこれを重視する以上、自分のチームも重視すべきです。Orankが高いというのはそれだけで選手の価値を高く見てくれる人が多いと言うことですから。たとえ不調の人であっても好調の兆しを見せるだけでトレードの材料にできたりします。一方、Orankの低い人だとそうはいきませんから。



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