2007-03-28

米国law school出願 (効率的なApplication作成 8 Acrobat-3)

最後はPDFによるデータの取り込み(主にスキャン)について若干の人柱的経験について。

今回の記載は、出願の効率化とは若干異なる方向に脱線しているともいえるが、留学生活ではスキャナが大活躍する。その割に持っている人は少ないし、OCRを活用している人はもっと少ない。留学に関係するということで別項をたてずに引き続き3として記載する。


スキャナによるPDF化

ほとんどパソコンにふれない人でも、スキャナというやつを使えば紙をパソコンにデータで取り込めるという話は聞いたことがあるのではないだろうか。ちまたの本屋でも、スキャナを使った机の上の整理術みたいなものが特集されることが多いので、これを見たことがある人もいるかもしれない。

そんなスキャナ作業であるが、私のような勤務弁護士が仕事で使う分には、仕事場に据え置きのスキャナ付きプリンタを使う(またはアシスタントの人に使ってもらう)事による場合が多く、自分で、家庭にスキャナを置くということはあまり必要としていない。ただ、留学に来るとそうもいっていられないので、効率的にスキャンするにはどうしたらいいか、いろいろ試行錯誤した。

機種の選定

日本にいるときに、個人で購入・使用したスキャナは2つ。1つはPFUのScanSnap(結構昔の機種)およびブラザーの電話付きプリンタ・スキャナ一体型複合機MyMio(2006年頃の製品)。ScanSnapは、スキャナが早いこと、Acrobatがついていることを理由として、MyMioは電話がついていること(子機付き。あまりない)、LANにつながること、ADFがついていることを理由として購入した。いずれも安いというのも大きなincentive になっていたのはいうまでもない。

いずれも製品としてはおもしろく、前者は小さいことメリットを享受できた一方、前者は品質・本のスキャンができないこと・コピーができないこと(当然だが)のがあまり気に入らなかった。後者は電話がついていることという他機種にはないメリットがあり、有線LANを無線化(無線LANコンバーターというカテゴリの製品を使用)してもなお、スキャナ・ファックスを含めたすべての機能が使えることというメリットを享受できたが、何せ遅く、プリントの品質が悪いこと、ドライバのためかシステムとしてあまり安定していなかった事などのデメリットも感じていた。

そんな状態であったので、Amazonでアメリカの値段(同じ製品は日本より若干上、日本にない格安ラインナップもある)を確認の上、複合機をアメリカで買うことにした。アメリカで購入するときに考慮した点は以下の通り。

●値段(何せNYでの生活のセットアップは先立つものの出費が大きい)
●プリンタが早いこと
●スキャナ付き一体機種(ファックスも使えること)、電話がついていれば最高
●ADF(コピー等の時に流すためについているもの。Auto Document Feeder)で比較的多くの紙を流せること
●少なくとも普段使うノートパソコンと接続せずとも家族中が使えること。無線LAN対応なら最高
●日本語の説明書が手にはいること
●紙を本体全面から供給できること(全面給紙。HP以外は最近)

最後の要件のために、とりあえず、日本のメーカーまたはHP(日本で使っていて好印象)とすることが早々に決まる。次に、スピードと、代替インク(エプソンはほぼない)を考えて、キャノン・HPに絞る。結局、対応機種が日本で発売されており、価格.comで評判が良かった機種を買った。性能的にはいいのであるが、インクの消費が早く、またインク代が高い。プリペイド電話みたいな損を感じざるを得なかった。

ただ、当初の目的は、ほぼ果たせた。日本語については、ドライバ、本体の表示とも対応(機械に印刷してあるstopとかは英語のままだが特に問題なし)。ADF・ファックスも問題なし。無線LANについては、予備で持ってきていたノートを一台電源つけっぱなしにすることにして、USB接続のものを購入。費用の問題が大きい。

スキャナーからの取り込みによるPDFの作り方

複合機自体にもソフトが入っており、それでPDFを作ることもできるのであるが、後述のOCRとの相性がよろしくない。現状ではAcrobatから作るのが一番である。

私の場合、無線LANネットワークが家庭にあり、その端末の一つであるノートパソコン1台をUSBで複合機と接続している。そのノートパソコンに複合機のソフト(とくにスキャナ関係)と、Acrobatをインストールする。その上で、紙をセットし、Acrobatから読み込む。具体的には、Acrobatのファイル→PDFの作成→スキャナでスキャナ付属のソフトを立ち上げ、そこで読み取りを行う。

テキストだけなら、白黒がいい。解像度は贅沢に600dpiとしている。これが一番OCRの読み取りがいい。

読み込んだ後に行うのは、サイズの圧縮(ファイル→ファイルサイズを縮小)。Acrobatの過去のバージョンに対応しなくすることによりサイズの圧縮をするそうな。素人目には画像が劣化せずにサイズが小さくなる便利な機能である。

また、授業で配られるプリント(hand out)等英語が書かれているものは、OCR(optical character reader)により、文字情報も抽出している。ノートに貼り付けるためだ。Acrobat 6に付属のもの(文書→Paper capture)で十分に英語には対応できる。その後OCRの読み取り精度が上がったという話も聞くので最新版では日本語も実用的になっているのかもしれない。

なお、OCRで読み取ったテキストは、Emeditor やWordを使って、置き換え・整形するのであるが、それについては割愛する。将来、機会があれば別項で。

このように、OCRが非常に使えるのが英語社会のいいところ。また、圧縮の結果、1ページ100Kくらいの容量にしかならないので、メールで本全体を送るなどというのではない限り、非常に実用的である。

もし、留学して、授業を受けようと思っているならば、是非複合機(家でコピーができるだけでも便利)を購入してOCRにチャレンジしていただきたい。

出願データの保存

これとは全く別の観点から、出願データを保存するという意味でもAcrobatは使いやすい。

オンラインによる出願をする大学が増えているが、データの保存という観点からは、1つの画面ごとに入力例があると後輩としては助かる。

私の場合、先輩から紙で画面ごとにプリントアウトした例を見せてもらうことができ、司法研修所の名前が入りきらないときにどのように記載するか(結論としては、適宜省くか、頭文字だけ取るか人により異なる)、学歴をどの順番で記載するか、事務所の住所をどのように記載するかなど基本的でどうでも良さそうだが気になるというような情報について貴重な先例を見せていただいた。

従って私も何らかの形で次に伝えたかったのであるが、それを実現するにはAcrobatが一番使いやすかった。画面の入力シーンでAdobe PDFを使って印刷すればいいだけであるから。

今であればIE7.0を使うことにより右端が切れることもないので、さらにいいのではないだろうか([別項]参照)。

なお、WordやIEを使っている場合、Acrobatのプラグイン機能を使ってPDFを作る方法と、プリンタとしてAcrobatを指定することによりPDFを作成する方法がある。前者の方が本来は筋が良く、書式構造をきちんと保持したPDF、動画付きのPDF等を作ることができる。

しかし、現在までそれらを保存する要請に迫られたことはない。そのような純文系の人間にとっては、サイズが一番小さくなり、かつ、汎用性が高く(どのソフトでも同じ手順でできる)、途中で失敗する危険性のきわめて少ない「プリントアウト手順を利用し、プリンタでAdobe PDFを指定」というのが一番使いやすい。こちらの使用をお薦めする。

最後に若干ではあるが出願関係の話に戻って若干ほっとした。タイトルに偽りなしとさせていただく。


No comments: