2008-04-10

ドラフト・開幕の注意 1 ドラフト一般

Fantasy baseballが開幕しました。とりあえず今年のドラフト戦略、開幕直前直後に思ったことなどをメモ的にまとめてみます。

今回はドラフトの注意事項一般。


パブリックに限らずドラフト全般に共通することは、できるだけ後から捨てたくない選手を取るということです。

1 後から捨てない選手

Add/dropで何度でもリセットできるから投資の失敗はないと書きましたが、ただ、枠だけは使用します。

レギュラーが好調であれば、BN(ベンチ)の枠の価値は非常に低いのですが、野球のようにレギュラーが多い場合、全員が好調というのはまずあり得ませんので、BNの枠の価値というのはそれなりにあります。それを投資しているので、できるだけ投資あたりのリターンが高い方がいい。こういった観点からシーズン開始後add/dropするのですが、add/dropはリスクも高く、ややもすると投機ともなります。

こういった投機リスクを避けるためにも、ドラフトではできるだけ、リーグの標準から考えて枠の投資価値が確実にある選手を手元に置きたいもので、これがadd/dropの対象にならない選手です。どんなに不調でも、よっぽどの大怪我以外、怪我をしても捨てない選手。これをとるのです。ま、当たり前ですね。要は手元に置いておく価値のある選手。

なお、ここで「リーグ標準では」と書いたのは2つ意味があり、一つは、フォーマットによりこういった捨てない選手というのは当然変わってくること、あと、自分のチームだけ極端に弱くなった場合は、add/dropの対象を増やす必要があるということを明らかにしておきたかったということです。

Add/dropは通常1,2枠を使い繰り返します。add/dropの回数(Move)が多くても、必ずしもどんどん選手を替えていくわけではなく、やはりトレードがなければ、根幹選手は残こる傾向にあります。野球はバスケ・フットボールほどは残りませんが、ホッケーよりは残ります。数字の大きさ、結果を残すポジションにいられる選手の数などが影響します。自分のチームが弱い場合、このadd/dropの枠の数を増やすというのが、上位にはい上がっていく方法となります。

2 おいしい指名をめざす

ファンタジーをはじめて間もない人が多くいるリーグほど、野手・抑えの指名が速いように思います。そういう場合は、後半で一斉に皆が先発を指名しはじめます。一方、ベテランが多いと逆に先発の指名が先行します。

ファンタジーベースボールののポイントは、基本的に指名する選手の数は、実際のレギュラーに比べて限られていることです。特にパブリックの場合FAの層がかなり厚いので、どこの指名がいくら指名が先行しても全ての選手が指定されてしまう心配はないと言うことです。クローザーですら一挙に全部指名とはなりません。安心して、指名が先行していないポジションの指名漏れの選手を「おいしい指名」として指名していけばいいと思います。

この基本方針はいいのですが、困るのは、自分が指名したポジション以外の指名が先行し、自分の指名したポジションだけが選手が残ってしまっているときです。

これは相当つらいです。今年で言えば2塁手、1塁手。これを上位で指名してその後誰も指名しなかったために、お得な指名はポジションがかぶるこれらの選手しか残っていない場合というのは相当つらいです。

これを避け、おいしい指名をある程度確実にする方法はいくつかあると思います。

① 情報収集・検討

まずは情報収集と、ドラフトの傾向の確認。

パブリックの場合、特に各ポジション12名から15名指名したときにどういう感じになっているのかというのを確認するのは大事です。特にそのポジションで何人くらいまでが、本当にほしい(優勝できるチームにいるような選手なのか)というのを確認したいところです。

たとえば、今年で言えば、上位キャッチャー、ショートなどはこの例。この場合、自分が上位で指名してそのポジションの直後の人がなかなか指名されずに、ああ、ちょっと早まったか?と思うことはありますが、思っていた選手が指名できずに全体のチーム構造が変わってしまうのに比べるとましです。その場合、結局1名くらい指名が漏れているだけで、結局は指名したい人が薄いので下位の誰でもいいという風になっていた2Bでの失敗に比べると痛くはないのです。むしろ、リーグの誰か1名が気が変わって思いがけないときに(たいていちょっと早めに)指名したために自分が指名できなかった場合のリスクを考えると無駄に先にとってしまうリスクはしれたものです。

② 枠の大きなポジションの指名を活用する

もう一つの方策として、外野、先発など何名か取るポジションを先に指名するというのがあります。これだと、自分のポジションだけ指名が先行していない場合、もう一人そのポジション(外野・先発)からとることで、全体の戦力を保つことができます。

特にOrank100以内で、どういう配分で選手を指名するかというのを考えることはとても重要だと思います。

③ 複数ポジション選手の活用

最後に、上位で複数ポジションを守ることができる選手をとるというのがあります。以前書いたとおり、ポジションごとのプレミアムは異なり、通常Orankは一番ポジションプレミアムがあるポジションでランクが与えられているように思われ、それ以外のポジションで使うのはあまりメリットがありません。従って、通年使い続ける上位指名の場合、複数ポジションというのはそれほど価値がないのですが、そうはいうものの、ドラフト指名の安定性という観点からはメリットがあると思います。

今年で言えば、Berkman とTeixeira 、BJ UptonとPhillipsでそれぞれ微妙にランクの落ちる前者(プレミアムの低い別のポジションを守ることができる複数ポジション選手)をドラフトのリスク回避のためにとるというものなどはこの例だと思います。後半がどうなるかなんて誰にもわからないですから。

2 おいしい指名がない場合は?

おいしい指名とは、いいと思っている選手が指名漏れになっている場合です。これがなく、むしろこの順位で指名しようと思っている選手まで全て選択されている場合どうするかということです。

今年で言うと、1塁、2塁の指名を先行したところ、全体はこれと異なり、1塁、2塁以外の指名が進んでしまったときです。結構つらいです。特に2塁。

これを回避するために上記おいしい指名を確実にするための方策を講じるのですが、完全にはまる場合はそう多くはありません。

こういう場合は、肉を切らせて骨を断つくらいな回避方法しかないように思います。ま、いずれもねらっていた選手のおいしい選択に比べると、リスクをとることになりますが、どれをとるのがまだましか、という話になるかと思います。

理論的には3つ考えられるでしょうか。

① あくまで「おいしい指名」優先

自分の予定していない人をおいしい指名として取りに行く、おいしい指名優先戦略。これは、(1)そもそも全く指名しないタイプの選手でも指名しに行く考えと、(2)ポジションの重複のため指名したくはないが、本来的には指名の対象に入っている人だけおいしい指名として指名する考えに分かれると思います。

(1)の「誰でもいいからランクの高い人」を取りに行くというのは、明らかにおすすめしません。好きじゃない人をとっても重荷になるだけで楽しくないからです。

(2)の「ポジションが重複しているだけ」というときは迷います。

今年でいうと、Konerko, Tejada, Chipper Jonesについて見られました。ポジションと選手の能力からみてUtilを埋めてもいい、また、トレードが絶対誰かとは成立すると思っている場合はいいと思います。実際、Chipper JonesをSSとのトレードを前提にとりましたがあながち失敗とは思っていません。

ただ、やはりあまり形としてはきれいではなく、場合によっては、この選択をするということもある程度だと思います。トレードは成立するか、いつ成立するかわからないので、SSがいないと精神衛生上よくなかったですし、トレードでも足下を見られている感じがしました。基本的にドラフトでは、他に指名しなければいけないポジションはたくさんあり、トレード前提のドラフトは基本的にしている余裕がないはずですから。

② この順位でとる必要あるのか?

次にくるのが、この順位ではとりたくないんだが、と思いながらも、Orank的には損がない選手をとるというもの。

これは似た選手が下位にいるので、この順位ではとりたくないとおもっているものの、その選手が嫌いではない、おいしい選択ならうれしがってとるというような場合に発生します。Yahoo!がつけるOrankや平均指名順位と自分の価値観、またはフォーマットの状況を加味したそのリーグでの指名順位にずれがある場合ですね。

たとえば、今年では、Aaron HillがいるときのKelly Johnson、Nick MarkakisがいるときのAlex Rios、Corey HartがいるときのHunter Penceなどが迷うところでした。(いずれもランク上位の後者を選択するかという問題)クローザー、先発も頻発します。

ここで、この順位でとりたくないけど、世間一般はとっているしと思ってとって、もう一人の方がずーっと残った場合の、精神的なショックは結構大きいです。もう一人も指名したくなっちゃうくらい。

ただ、少なくとも最初の指名の方のリスクは実はそれほど大きくはない。そのポジションの指名をそこで、自分の見込んだ選手で行うということになり、しかもそれは自分は賛同していないとしても、客観的・世間的な評価には一致しており、実はリスクをとっていないという場合が多いと思います。従って、まぁ、心理的なリスクはあるものの、実害は少ないリスク回避策といえると思います。

なお、比較対象選手がずーっと残った場合は、これを指名するか否かというのは、上記①のポジション重複選手として、処理することになります。つまりOF・投手等の複数指名ポジション以外はかなりおいしい指名となっても、相当能力的に買いの選手ではない限り無視ということになるとおもいます。

③ 次の巡用のお気に入り選手をとる

気に入った選手だけで固めるという観点からすると、次の巡で指名しようと思っていた選手を先に指名してしまうというのがあります。

これが心理的なリスクは一番少ないと思います。ゲームは楽しいですし、しかもその選択があたりだったときの心理的なリターンも多い。ただ、世間ではその順位で選択する選手とは評価されていないところが怖いところ。②の場合と逆に世間の評価に逆らっていることになります。

この選択をするか否かというのは自分の思い入れと、自分への自信、対象選手の唯一性などの要素によると思います。私がドラフトの振り返りで、お約束として指名していたMartin, A. Gordonはこの唯一性があるという判断の下、若干高い順位で指名することにしていました。ま、結果は結果ですが、考え方としてはあるのかなと思います。

3 DHの影響

DHについては、個人的には相手投手の防御率への影響より、周囲を打つ選手の打点、得点への影響の方が大きいと見ています。先発ではDHがあるからというのは特に理由とする必要がないと思っています。

どういうことかというと、相手投手にとってはDHは1/9にすぎませんが、打者にとっては自分が得点・打点を稼ぐときに関係してくるのは前後2,3名です。単純に考えても20%位の影響度です。打点・得点には打率よりも長打力が影響すると考えられますが、投手枠は1割の打率(通常より15%減にすぎない)があったとしても、長打力の差はもっと多いと思われます。

なお、クリーンナップであれば投手が打点・得点の対象となる可能性はほとんどないので、DHの有無については考える必要はないと思います。あくまで上位・下位を打つ脇役と呼ばれる人たちを長期保有する場合に影響してくるという話です。

4 唯一性・希少性

先ほど出た言葉に唯一性というのがあります。これは、そのポジションで、その選手しかもっていない性格をいうこととしたいと思います。また、同様の観点から希少性という言葉も使います。

これは、どういうことかというと、そのポジションで一般に稼げるstats以外のstatsを稼げる選手ということになろうかと思います。一般には、超優秀な選手か、出てきたばかりで一流の成績を残せそうにもかかわらず、ほかのポジションも守ることができる設定になっている選手です。

超一流は簡単ですね。50本塁打、30盗塁できそうな三塁手はAロッドくらいしかいませんし、打率330、HR50が目指せそうな一塁手もプホルスくらいしかいません。こういう傍目にも明らかな唯一性は、当然高いOrankが与えられ、高い順位で指名されます。ま、それでも健康なら低打率になりがちな一塁で330を期待できるプホルスというのはもっと評価されるべきと思いますが。

それ以外の、マイナーな希少性というのは、それをいかせる布陣にすれば、予想された成績が出る限り、相当全体のポイントを稼いでくれる存在となります。

今年着目した唯一性・希少性は以下のとおり。
● 本塁打・potential +20SBがある内野手として、 上位3名のSS、Arod、Wright
● 盗塁ができるCとして、マーチン,
● 盗塁のできる一塁手として Aゴードン、Berkman, Lee、(Guillenは1塁としては本塁打の問題があり、1塁手としてはみていませんでした。一方ショートとしては盗塁の問題があり、結局Atkins同様、いずれも今一歩との判断でした。)
● 四番となりうる二塁手として BJ Upton, Phillips
● 内野の複数のポジションを守れる人として、Aゴードン、エスコバー

逆にいいのだが、ポジションに求められるものがないな、と感じ、ほかでのカバーを求めるために指名が難しいと感じたものもあります。
● 盗塁のついていない2B,SSとして Tejada, Hardy, Uggla, Kent。微妙なものとしてJeter, Tulowitzki,
● 本塁打のついていない1Bとして Atkins, Helton, Loney
● 盗塁のついていない外野(1,2名は大丈夫だが、全員だとつらいです)

複数ポジションでも、Cに1Bがついたり、内野にOFがついたりするような、プレミアの高いポジションに低いポジションが追加されるのは、思ったほどのメリットはありません。無論こういう選手が多いことで、怪我、定期的な休みに強いチームとはなりますが、プレミアのついたOrankにしたがって指名する以上、プレミアポジションで使用するのが理にかなっているわけですから。無論、add/dropが禁止されていたり、FA層が極端に薄いリーグでは事情が異なり、何でもいいから複数ポジションがついているということ自体が価値となります。

また、外野が分かれているフォーマットでは、ファーストと外野のプレミアが入れ替わります。そこでは、パブリックでは通常重視されないファーストに外野特性がついていることや、外野全部を守れることなどが突如重要となってきます。これらの選手はOrankの前提と異なりますので、当然Orank以上の価値を持ちます。

また、巨大リーグのようにFAが極端に少なく、イニング数が多いフォーマットでは、先発の価値が急上昇します。先発というのは極端にプレミアが少ない場合が多いのですが、これくらい特殊なフォーマットになると、後からローテーション投手を探すというのは至難となり、当然価値は上昇します。

これらのリーグで希少性を見出したのは下記の選手です。

● 外野特性がついている一塁手として Berkman, Teahan (外野2つ守れること、盗塁もできることというほかのメリットもあり)
● 外野全部を守れる選手として Byrnes(現在のOrankで、外野全部を守れる最上位選手です。盗塁ができるクリーンナップという観点からもきわめて価値は高いです), Damon Young(同2番目)、McLouth(同4番目、オープン戦好調との話が入っていた)、Nady(同5番目)、Milledge(同7番)

これらの複数ポジション選手を最初に指名するというのは、上記おいしい指名に失敗するリスクというのも軽減してくれ、20名もチームがあるリーグでは相当有効な選択となります。

逆に指名を避けた選手として、1Bだけしか守れない人、外野の1部門だけしか守れないひとというのがあります。



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