2008-02-28

08ドラフト8 打率のとり方

打率についていうと、ドラフト上位者で今後の方向性を固め、下位者にはそこまで厳しく打率を求めないというのがいいのではないでしょうか。


大きいけど安定しない数字?

何度もいうとおり、打率というのは一番大きな数字であり、チーム打率というのは、非常に小さな幅(volatility)の中で争われます。この意味では非常に安定した数字です。

ただ、前にあげたイチローの個人成績を見るまでもなく、個人個人では年間500打席(AB)以上あるにもかかわらず、毎年毎年1割近く(3割打者でいうと3分)近く変動する可能性を秘めている人がほとんどです。日本で紐解いても、03年首位打者の今岡は05年には2割半ばまで打率が落ちています。

要はその年良くボールが見えるぞ!っていう確変モード(逆の確変もしかり)に入っている人もいれば、毎年毎年、全く安定しない人もおり、その結果、率ってのは数のわりに安定しないのです。

また別の要因として、いい率を上げるのは至難の業だが、悪い率というのには簡単になれるというのがあります。簡単な例で言うと、毎スイング空振りは可能だが、毎スイングヒットは無理なんですね。だから3割の人でも0割になる可能性と6割になる可能性は、前者が圧倒的に高い。これが率が悪くなり出した時に底が見えない怖さ。私なんかは不振の選手がいるとどんなに昨年の成績がよくとも出したくなる。逆に他のチームの不振者はトレードでほしくなるので非常に矛盾しているんですけどね。

ファンタジーで安定しがちなのは、みんなある程度add/dropすることが大きな要因です。これにより、悪い人はFAプールに落ちていき、ある程度FAプールの上澄みのみ使用されることになるのです。野手はレギュラーだけでも300名おり、FAプールにこのうち150名くらい落ちている計算です。このプールを使えばさすがに分母が巨大になり、毎年毎年(飛ぶボールとか、ステロイドとか若干の毎年の要因もありますが)ある程度安定した値になるのです。

また、add/dropしない場合でも、10名での安定どというのは1名とはずいぶん違います。ぱっと式が出てこないのが高校時代統計の授業をほとんど受けなかった文系の悲しさですが、昨年のMAの教科書とかを見る限り、1名あたり1割の変動幅を10名そろえると、ほとんど平均から抜けない形になるはずです。授業ではコインを投げるという50%の例で、回数を重ねると50%に近づくことを示していました。今手元にないのですが資料が出てくれば示します。

こうやって全体で見れば毎年毎年同じような数値になるものであるとしても、個人個人で結構動く数値、それが打率ということになりましょう。率系全般でしょうけどね。

そのため、率というのはある程度幅のあるボックスという方法で捕らえてやるのがいいのではないでしょうか。打率というと、実績のある選手は過去3年くらい見て、320計算できる人、300計算できる人、280計算できる人、260計算できる人、それ以下という感じで。で、それぞれ変動幅の面積でいうところの8割くらいが320・300・280・260を上回っていれば、それぞれ、320・300・280・260と計算する。それで、チームの加重平均で300あれば率のいいチーム、280なら普通に争えるチーム(なんせボックスのしたあたりをとってるので、ここで280ということは実際は280以上を期待できるということになるので)。

無論例外もあり、率が極めて小さい幅で安定している選手というのもいます。こういう選手は「計算できる選手」として取れることになります。高打率ということであれば、それぞれ不安はありますが、プホルス(怪我がなければ・・・)、Miguel Cabrera(トレードはどう出るか・・・)など、低打率でいえば、Adam Dunn、Andruw Jonesなどでしょうか。この人たちは、ボックスは小さめでよいという特徴があります。

無論とりたいのは高い率の人ですね。

率の分布

では、全体に貢献してくれるような高い率の人は、ランクで言うとどの辺にいるのでしょうか。

率について、記載した公式を使って、野手のOrank上位120名について、10名ごとの平均値を取ってみました。想定AVGを300, 290,280、一人当たり550AB平均という想定上の数値を使って、全体への貢献度を出したほか、肥大化理論の検討のために、平均ABも出すことにしました。

なお、本当は200名とかしてもいいのですが、100名目くらいになってくると、単にランキング担当者の趣味の次元になってきており、110名目と120名目は人により評価が違うのが当然(検討の時間をそんなにかけていないというのもあると思います)で、実際に活躍する可能性というのは大差がないというのが、1年遊んでみた感想だったため、120名としました。

なお、このようにOrank上位120とすると、キャッチャーがあまり入ってこないのですが、ま、ご愛嬌ということで。全体の方針を見るには大きな影響はないでしょう。Orank200くらいまでの人となりました。

Orank上位120

AB平均

打率加重平均

1-10

611.5

0.315

11-20

577.6

0.306

21-30

577.9

0.301

31-40

545.8

0.297

41-50

557.0

0.291

51-60

535.5

0.281

61-70

576.0

0.279

71-80

532.6

0.279

81-90

453.2

0.294

91-100

459.8

0.290

101-110

484.4

0.289

111-120

403.1

0.272



これを使って、インパクトの計算です。①、②、③がインパクト。

Orank上位120

①チーム打率0.280

1-10に対する割合

②チーム打率0.290

1-10に対する割合

③チーム打率0.300

1-10に対する割合

AB

1-10

3.856%

100.0%

2.744%

100.0%

1.632%

100.0%

100.00%

11-20

2.691%

69.8%

1.640%

59.8%

0.590%

36.2%

94.50%

21-30

2.220%

57.6%

1.169%

42.6%

0.119%

7.3%

94.50%

31-40

1.680%

43.6%

0.687%

25.0%

-0.305%

-18.7%

89.30%

41-50

1.080%

28.0%

0.067%

2.5%

-0.945%

-57.9%

91.10%

51-60

0.050%

1.3%

-0.924%

-33.7%

-1.897%

-116.3%

87.60%

61-70

-0.110%

-2.9%

-1.158%

-42.2%

-2.205%

-135.1%

94.20%

71-80

-0.072%

-1.9%

-1.040%

-37.9%

-2.008%

-123.1%

87.10%

81-90

1.131%

29.3%

0.307%

11.2%

-0.517%

-31.7%

74.10%

91-100

0.823%

21.4%

-0.013%

-0.5%

-0.849%

-52.0%

75.20%

101-110

0.826%

21.4%

-0.055%

-2.0%

-0.936%

-57.3%

79.20%

111-120

-0.567%

-14.7%

-1.300%

-47.4%

-2.033%

-124.6%

65.90%



まず、想定チーム打率を③300とか高めに見積もると、ほとんど上位しか平均して寄与することができません。一般に目指すチーム打率が高ければ高いほど上位で高打率を打てる人を確保する必要が高くなってきます。3割打者はいい打者で上位にランクされている当たり前の結論を裏付けるだけですが、「打率で点を稼ぐには上位でいい打率の人をとる必要がある」ということです。

次に、①280とかをみてみましょう。これだと結構下でもプラスのところはありますね。これは、レギュラーで高かった人のほかに、打席数が少なく高かった人が含まれるからです。その人たちのインパクトは打席が少ないためプラスのインパクトは少ないのですが、プラスがマイナスに転じることはありませんので、全体としてプラスとなりえるのです。

野手10名をこのうち、1-10, 11-20, 21-30という風にそれぞれのところから1名ずつとったとすると、チーム打率①280で1.392%、②290で0.388%、③300で-0.615%となります。そのため、野手を普通で使うと280とか290とかっていうチーム打率になるんですね。

上記表の下位でも280に対しては貢献できる選手が結構いるので、率が下にふれすぎる可能性というのは少なく、これが率を無視しても結構勝てる原因です。「打率を無視しても、打率で結構点を稼げる可能性は残されている」ということですね。

あと、これはYahoo!のランキングの特質だと思いますが、50-100くらいに昨年まぁまぁの選手が集まりがちなんですね。で、100くらいから有望選手がいる。昨年だけかもしれませんが、50-100より100以降に使いたい選手がいっぱいいました。使う率は50-100のほうが高いんでしょうが、例のレギュラー理論からしたレギュラーの数というのはもしかしたら100以下のほうが高いのかもしれません。

Add/dropの際に出るチーム方針の差

ただ、ファンタジーはadd/dropを繰り返したほうが一般的には順位がよくなる。先日の率はスポットで取れないから逆説的に言うと、盗塁・本塁打はある程度スポットで取りに行きたいところです。

ここで、ア:上位打者で率を稼いでいるチームとイ:下位打者で率を稼いでいるチームの差が出てくるのです。

add/dropでdropするのは、下位の選手。

アの場合、下位選手に率を依存していない結果、盗塁・本塁打を増やし、率にそう悪影響を与えないということが可能となります。
イの場合、add/dropで率を取れない結果、盗塁・本塁打は増えるものの、率は減少するということになります。

シーズン中はadd/dropによりチームを強くする回数というのが一番多いので、毎度毎度この差がでるというのは大変大きいのです。むろん、バスケの率ほどの致命的な差ではないので、野球では十分その他のパラメータで回復可能ですが、留意しておくに足りる方針かと思います。バスケでは要注意。そこでは上位をトレードで入れ替えない限り、厳しいリーグで勝つのは相当難しいです。

Drop前の中・下位選手には何を求めるか

では、ドラフトで指名してその後Dropかもって選手については、率はどう考えればいいんでしょう。

結論から言うと、ここも率重視です。特に捨てる可能性が少ない中位指名の選手ほど。FAの中でどの選手の調子が上がってくるか、その選手をうまく取れるかというのは未知数です。とすると、最初の設計時点においては、いつ選手を捨てられるかわからないという前提で動くことになります。

そうすると、これはなかなか捨てられないかもという前提で動くということです。チームに長い間いる選手で大きな数字を稼ぎたいところですので、下位の選手であっても、率は重視したいところです。逆に小さい数字(HR/SB)というのは最悪なくてもいいかと思っています。まさにこれをとりにadd/dropするわけですからね。真ん中の打点・得点については、後日言うように合計値が重要だとおもっており、合計値が一定値に達する可能性(この可能性でOKとしないとドラフトでは指名する選手がいなくなります)があればそれでいいと思っています。この合計値ってのをある程度考えると中位下位指名では一応280に至る可能性が高いと思える選手であればいいのかなと思っています。

したがって、全体のファンタジーレースでの得点のイメージでは、最初から率系はいい位置につけて、その後に、add/dropにより積み重ねる小さな値での得点を伸ばすというのが、合理的な戦略となり、これは、最初のドラフトの設計で可能となるのです。

逆に積み重ねるのが良く、「後で率を」と思っても後半に順位を伸ばすというのは大変厳しくなります。スポットじゃなく、本当に来年はランキング上位になるようなEmergingな人をとる必要が出てきますから。こういう人は厳しいリーグほどとりにくいので、そういう人じゃなくとも、スポットでちょっと調子のいい人の上澄みをもらいながらなんとかというのを出来るようにしておいたほうが、安定して成績が出るように思います。

具体的には?

具体的には、後ほど言いますが、先発投手に重きをおく理由があまり見出せないので、3順目まで野手とし、その3人で確実に平均3割を超える、または3割に行く可能性って結構あって、290は固いよねっていう状況を作り上げるのが大事かと思っています。

で、下位で280とかは行くかな?と思える人を集める。

とはいいつつも、2順目でノリで率が不安な1塁手を取っちゃったりするんですけどね。。。これは厳しいリーグでは避けたほうが理屈上は無難ですが、簡単なリーグでは良く、むしろ爆発したとき毎日ホームランが出るから、純粋に楽しいというのはあります。テレビ見ててもでかいなぁとか思いながら。筋肉ボンバー万歳!!

最後に、これは確たる裏づけはなく、若干妄想なのですが、率がいい人のほうが成績がコンスタントな気がしています。率が良く大量のヒットを打つためには、ある程度の調子を持続しないといけないのに対して、悪い人は一瞬爆発するだけでよい。爆発するタイプは不調期間が長いので、先発をはずされたりする。昨年の、Andruw Jonesとかはそうかもしれません。確たる理由がないとするのは、昨年でもイチロー、ソリアーノ、フィギンス、ローウェルなど打率が突然爆発して、その結果、それまで不調だったのに年間打率もいつもよりよくなっちゃったという例も結構あるからです。ですから、これは今後の検討課題ということで、妄想扱い。


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