2008-02-26

08ドラフト5 たかが盗塁、されど盗塁

盗塁は、一番小さな数字ですが、最初にある程度確保する必要があります。


小さな数字

何度もいいますが、盗塁は一番小さい数字で、チーム合計で120で十分に争え、150あれば普通トップに立ちます。一人当たりにすると、12から15。

何かの間違いでみな年間2回くらい盗塁に成功するとする(ファンタジー的には絶対盗塁しないというタイプより間違って走るタイプを一応取っておく)と、必要となるのはわずかに100。一人10です。160試合ですから16試合に1回、月2回程度確実に盗塁してくれればいいことになります。ファンタジーで取られるような選手の出塁率は、350を下回ることはまれなので、誰でも1試合1.5回くらいは出塁します。月間25試合程度で、35-40回は出塁です。そのうち、2,3回盗塁(成功)していただけば、チームとして十分ということです。

どれくらい短期間で稼げるかというと、例えば昨年の盗塁王レイエスは、4月24試合で17盗塁しています。動きが雑になり常に突進していた8月では、25試合で23!

12チームくらいで争う場合、FAの選手でもレギュラーは大量におり、誰でも1試合で猛打賞のチャンス、3盗塁のチャンスくらいはあります。要は走る気です。日本で確か昔盗塁王争いをしている人が最後2試合くらいで7だか8だか盗塁して盗塁王(たしか20か30程度の低調な争いだったような。。。)になったように記憶しておりますが、盗塁は要はやる気です。

したがって、よーく選手の調子の波を見ておいて、レギュラースポットのうち1つくらい空きを作っておけば、結構こういう小さい数字というのは、後からでもなんとかなります。

ただ、120必要なうち、120全てをそれでそろえるのは神ならぬ身では無理な話で、ある程度、継続的に稼いでくれる人の確保というが必要となってきます。

継続して稼いでくれる人

「どういう人を継続的に稼いでくれる人として当てにするか」ですが、20盗塁が目安になるかと思います。

盗塁について人を分類すると、①絶対にしないタイプ(常に0か3以下)、②間違ってするタイプ(5から10)、③むらがあるタイプ(10台)、④期待できるタイプ(20以上)、⑤毎日期待しちゃうぞ(40以上)に分かれるかと思います。本塁打が目立つタイプでも②間違ってするタイプは結構いたりします。Adam Dunn、Lance Berkman、Ken Griffey Jr.、Aaron Rowand、Jermaine Dyeなど。これらがちょっとその気でその年8-10盗塁とかしてくれると、相当楽になります。ただ、無論、1くらいに終わる可能性もあり、そういうのを3、4人重ねるとそれだけでMAXと最小の差は20くらいにもなっちゃいます。

そこで、④期待できるタイプ(20以上)、⑤毎日期待しちゃうぞ(40以上)に注目せざるを得ないわけです。

希少価値

クローザーについては、良くその希少価値が言われますが、実は盗塁も希少価値であり、上位指名が必要なのではないか、と思います。

盗塁数について07年、06年の結果を見てみましょう。現在契約済みの人のみなので、盗塁王ロフトンとかは含まれていませんが、全体の傾向を見るにはいいと思います。


20以上

40以上

07

31

8

06

23

9



20以上全員でもおおよそ35名程度。各チーム3名計算です。

ちなみに、HRでいうと、


20以上

40以上

07

79

5

06

73

11



人数は倍です。盗塁の場合と違い、20というのはすでにボリュームゾーンですね。誰でも期待できます。この検討は本塁打の稿で。

人数でいっても、盗塁20と本塁打20というのは希少価値が違うことは一目瞭然かと思います。

ただ、もっと恐ろしい点は、12チームで行う場合、この35名のうち、相当の人数が使えないということです。

何度もいうように、選手一人の平均期待値は、80得点、20本塁打、80打点、10盗塁、打率280程度です。今、20盗塁というのを見ていますので、理想的な期待値は、80得点、20本塁打、80打点、20盗塁、打率280となります。

これを達成できる人が何名いるかわかりますか?

07年では、以下の8名。このうち上位4名は通常1順目指名、3順目が終わるまでには6名ほど消えているはずです。(下2名は要求する打率を290にすると消えます。)

Alex Rodriguez
Hanley Ramirez
David Wright
Jimmy Rollins
Brandon Phillips
B.J. Upton
Eric Byrnes
Corey Hart

なお、この8名のうち、06年も同じことが出来たのは、David Wrightただ1名です。無論Wrightを一番に指名するべきという趣旨ではないですけど。また、Upton, Hartは昨年始めのドラフトでは指名すらされていないのが通常です。それだけ、盗塁をこれくらい盗塁を「追加で」もっている人は少なく、最上位近くで指名するか、宝探しをするしかない。

なぜこんなに難しいか?それは簡単です。個人的な才能(長打力+走力)+中軸を打たせてもらえる信頼感(R/RBI)、走る気力・チーム方針(走れても中軸で次も長距離砲ならアウトになること、怪我をすることを考えて走らせないというのはもっともな戦略です)の全てが必要だからです。

盗塁を持った選手は何名か必要なので、この追加で盗塁を持っている選手だけを最初から選んで指名するのは不能です。

それだけに、何を失うか、どの程度失ってもいいのかという検討をすることになります。

ここで12名でやるパブリックリーグの特性が出てくるのですが、なんといっても30程度もチームもあるところを12チームで争うので、いいスーパースターしか使わないんですね。なんせ、クリーンナップとか中軸とか呼ばれる選手だけで100名おり、それで全員のほぼ全部の枠を使えるわけですから。とすると、選手には、一芸とか盗塁とかだけではなく、できれば他のも稼いでほしい。

一般に一芸選手として、HRだけ稼ぐ(率も低い大型扇風機と呼ばれることも多いです)と、盗塁だけでHRのない選手というのが比較されます。これはファンタジー的には圧倒的に前者が有利なのですが、それをちょっと考えてみます。

ホームランというのは、1回打てば、1R, 1HR, 1R, (と打率の上昇)が最低手に入り、うまく行けば、R/RBIはもっともらえます。球団もこれを期待してHRを打てる打者には中軸を任せることが多く、R/RBIはほぼ自動的についてきます。R/RBIと打順・チームについてはあとからまた検討しますが、この中軸ってのにならないと、R/RBIの両方を稼ぐのは結構難しい。

一方、盗塁です。一度走っても1SBを稼ぐだけ。ちょっとRを入手する可能性が増えるかな?という程度。したがって、SBを稼いでも他のポイントを相乗的に稼ぐことが出来ず、これだけ単独で稼ぐという行為が必要になってきます。このため、盗塁の方が数が少ないにもかかわらず、20盗塁しているひとと、20本塁打打つ人を比べると、他が全て一緒の状態からスタートすると、20本塁打の人がバランスよくなると考える理由です。

実際、走るだけで、HR/RBIが少ない選手は大量にいますし、AVGまで少ない選手ってのも結構います。いずれもレギュラー。ただ、ファンタジー的に使うのは難しいですね。

80得点、20本塁打、80打点、20盗塁、打率280という基準から大きく下落する許容値として、仮に50得点、10本塁打、50打点、20盗塁、打率260というのを立ててみます。

昨年の成績で言うと、20盗塁している人(39名)のうち、これらの数値を満たさないのはそれぞれ、以下のとおり。

50得点未満

2

10本塁打未満

16

50打点未満

13

打率260未満

5



一応この各最低基準を満たすのはわずかに19名(先のエリート8名を含む)。一人25盗塁平均とすると、各チーム40SBくらいしかこの層から取ることが出来ません。実際は、本気でプレーしていない人の方が多いので、この層からだけとるということも可能であり、それを目指すべきですが。

一応、この最低ラインを割り込んでいる人をどう考えるかについても書いておきます。

使いたくないのは数字の大きい順。打率、得点・打点、本塁打の順でこれに足りないのを使いたくないのが原則。むろん、乖離の幅にもよりますし、チーム事情にもよりますが。

得点と打点の関係は、上記のとおり、SBは得点くらいにしか響かないところ、得点すら低いのでは、、、と思われ、現にこれに該当する2名は、本塁打、打点ともに基準を満たさないので、まずなしです。

こう書いてくると、いかに盗塁を120取りたい選手から取ってくるのが難しいかということがわかるかと思います。逆にそれが出来れば、本塁打はじめ、後のパラメータの難易度を考えると、結構野手のパラメータは上位にいけます。

指名すべき人数

何度もいっているように盗塁は小さな数字であるため、一見一人か二人のものすごく稼ぐ盗塁王タイプを指名すればそれで必要な数字が達成できるような気がします。

ただ、これはものすごく危険な考え。一人に頼るということはその一人が怪我をしたら基本的にはおしまい。また、その一人はいかなる事情があってもトレード不能(同等かもっといいSBを取得するためは除く)となります。よって、盗塁は出来るだけ多い人間で稼ぐ形にしたほうがいい、ということになります。これは盗塁だけではなく、ホームランとかその他のパラメータも同じなのですが、盗塁が一番小さな数字であり、現に07年だと、Jose ReyesとJuan Pierreで必要な盗塁数を上回ることができる(144盗塁になります)ため、誘惑が強く、より注意が必要となるのです。長いレギュラーシーズン、もっというならどのチームで着実に順位を稼ぐには安定が大切です。

では、何人に割り振るか、また、⑤40盗塁以上を取得するという意味はどこにあるのか、というのが次に問題になります。

昨年遊んだ感じからすると、シーズン終了時に20盗塁できる人が最低5名、できれば6名ほしいところです。また、40盗塁できる人は2名とカウントするのではなく、あくまで1名とカウントし、目標盗塁数に達する確実性があがった、よりアップサイドがあるというような感じで理解すべきかと思います。

昨年SB20以上だったのは39名で、ある程度他のパラメータを考慮して積極的にとりたい人は、機械的に見て19名(機械的にとしたのはこの中にはイチローは入ってこないのです。本塁打が足りないため。ただ、打率のよさを考えると当然順位によっては指名していい選手になるので、機械的にと書きました)なので、これから5名ないし6名指名するのはほとんど不可能に近いです。ピッチャーはじめ指名しないといけないポジションはたくさんありますので。

では、どうするか。

あくまで必要となるのは最終的に20盗塁に達する人をきっちり取れていること。そのためには、39又は19と言っている母集団をもう少し柔軟に考えてやることが大事です。08年に20盗塁に行きそうな人、行く可能性のある人をきっちり指名してやることが大事になってくるのです。

ひとつは新規に20盗塁クラブに入りそうな人。これについては後ほど書きます。

もうひとつは復活組。例えば、昨年怪我で泣いたSorianoは19盗塁であり上記類型に入っていません。彼なんかは過去7年中5年で30盗塁、うち3年で40盗塁しており、今年1番を期待されていることからしても(年齢を考慮しても)、20盗塁計算できる1名だと思います。復活組みの元のいい成績のハードルは当然20より高く設定すべきで、30盗塁を少なくとも2年程度やっていることくらいがいいのではないかなと思っています。

こういった人を含めて、5、6名は20盗塁近く行きそうという人をドラフトで指名できていれば、ま、ドラフト時としてはそれでいいんじゃないでしょうか。何せちいさな数字ですから、あとから補強が可能です。

どのポジションで走塁を確保するか

問題は、では「ドラフト選択時にどのポジションで盗塁を取りに行くか」です。ポジションは全部で10個このうち5、6個となってくると結構な数です。

ちょっと先ほどの39名のポジション分布を見てみます。なお、複数のポジションを守れる人がいるので、合計は39名を上回っています。


8名中

19名中

39名中

OF

3

10

23

2B

2

4

8

SS

3

3

8

3B

2

2

3

C

0

1

1

1B

0

0

0



結果は明白ですね。外野が狙いどころ。次に2B/SS。外野はいつの世も5ツールプレーヤーが多いところです。守備の負担が軽いというのが主な理由です。2B/SSは、小技が出来る人が昔から守るところで、足は速かったりします。ただ、日本と違い、運動神経の塊みたいなひとが守っていたりもするので、そういう場合は、本塁打も打てたりします。サード、キャッチャーはあくまで例外。今年をみても、19名にはいっているのは、かのAロッド、ライト、マーチンの3名のみです。去年はシェフィールドが1塁を守れたので、故障までは重宝したのですが、今年はいません(OFしか守れなくなっています)。これも例外事例の1つ。

一般的に20盗塁が期待できる人は、OF/2B/SSにいるということになります。

1つ注意すべき点は、OFと2B/SSは若干39名ワクの内訳が異なるということです。OFは攻撃力がある選手というのが定着しているので、39名またはそれ以上のpotential 20Bのなかでも、打率と盗塁はあったり、単に試合数が少ないだけという選手がいたりしますが、2B/SSの場合、ベテランでフルに試合に出ている人が、19名には入らずに39名にはいるというラインに多いということです。すなわち、2B/SSでも走塁に加えて攻撃力というのまで求めだすと、その他のポジションと同様に相当トップでないと取れないことになります。

ドラフト戦略への反映

では、これを踏まえて、ファンタジーの戦略的に、どのポジションでpotential 20SBを確保するか。

人により戦略は違うでしょうが、私の一般的な戦略としては、①「OF3つ、Util1つは絶対」、②「あと2つを2B/SSの攻撃力がある人又はその他のポジションからとる」というものです。potential20SBなので、10ちょっとで終わってしまうこと、全く活躍できないことも考慮に入れると6名狙いたいところです。

先ほどの記載のとおり、①は後からでも取れますが、②は、結局ドラフト上位で取るということに他なりません。一般化できないほど数が少ないですからね。

こういう選手を上位で取るインパクトは、結構あります。他のチームが同じ盗塁の合計値にいたるために盗塁の専門家を取ることになり、その分RBI・HRのチーム合計がこちらに有利になるのです。

例えば、CでMartinをとり、もし、今年も20盗塁したとします。他のチームのCは多いところでも10程度で、通常は0です。したがって、このポジションで20ほど盗塁が有利になります。

その後、他のポジションで同じ盗塁数の選手を取ると、走塁の総合値でこちらが勝ちますし、走塁でこちらを上回ろうと、無理に走塁をとりに行くと、その他のパラメータでこちらが容易に上回れるということになります。

したがって、OF以外で攻撃力のあるpotential 20SBというのは、たとえプレミアを払っても相応の価値がある場合が多いといえると思います。で、得られる価値は、一般に盗塁する人がいない「2B/SS以外」の方が2B/SSよりも高くなります。

こういうインパクトを考えて上位指名でSBを取るとすると、そのポジションで他のプレーヤーに比べて「+20SBのインパクト」というのがひとつの目安になるかと思っています。本当はOF/2B/SS以外でpotential20SBのある人を上位指名というのが理想ですが、結構難しいので、若干OF/2B/SSでとることも妥協、その代わりに+20SBを求めることにしたというところです。OF/2B/SSの人はpotential40SBということで、今年「⑤40以上盗塁」を期待できる人ということですね。

具体的には、OF/2B/SSでpotential40SB、その他のポジションでpotential20SB。これがあって攻撃力がそこそこあれば、上位指名のプレミアを払ってもいいと思えてくるのです。

今年の指名では、その他の要素も考え合わせてAlex Rodriguez, Hanley Ramirez, Jose Reyes, David Wright, Jimmy Rollins, Alfonso Soriano, Ryan Braun (3B), Carl Crawford, B.J. Upton, Brandon Phillips, Russell Martinがこの候補で、このうち2名指名できるといいなと思っています。それぞれ不安要素はありますし、その場のノリで実際は違う指名になってしまうことも多数ですが。

07年を踏まえた、新規20盗塁クラブの取り方は、OFについて書くときに書きます。

若干中途半端ですが、つかれたので結論。

12名のリーグでは出来る限り最初のあたりの攻撃力がある人で盗塁を確保してしまい、後の盗塁はOFに期待、どうしても足りなければ2B/SSで補うということでしょうか。

いかがでしょうか。

表がうまくいかないが、ご愛嬌ということで。


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