2008-02-28

08ドラフト9 打点・得点は型を知るべし

打点・得点というのは、その数字自体よりも背景事情を加味して考えてやる必要があります。


打点と得点の仕組み

現在というか昔から野球というのはクリーンナップに打点がつくように打順を決めることが多いです。「1,2番に出塁率が高い人を置いて、この人に塁に出てもらう、それを、3,4,5番のクリーンナップが長打などを打って返す」、これが典型的な点の取り方です。6,7番以降は、守備の人、打撃がうまくない人、成長株などをおいたりします。

したがって、1,2、3番は得点が多く、3,4,5番は打点が多い仕組みになります。前後が強力になればなるだけ、打点と得点の両方を持っている人が増えてきます。メジャーの記事を読むと前後のprotectionがという話が出てきます。これは前後の打者に気をとられるとか、敬遠するか否かという点もありますが、ファンタジー的には、打点と得点両方取れるかという文脈でよむといいのではないかなと思ったりします。

これに加えて、得点力が高いチームは切れ目のない打線というのは、6,7番以降も結構打てる。これでどこからでも攻撃が始まり、どこからでも点が取れるようになって、全体の得点があがるわけです。

4番を取ってくると、守備の重複などで、結局6番くらいの人が抜けて、旧4番、5番がひとつづつずれるという形になることが多いです。本塁打は新4番と旧6番の差くらい増えたりするのですが、4番が本塁打で返した後はランナーがいないなどの事情もあり、新4番と旧6番の差ほどはチーム得点が増えないのではないかなと思っています。裏づけは取っていませんので単なる感想ですが。

これを踏まえると、チーム得点というのはトレードの要素を考えずに、数字だけ見て決めていいのかなと思っています。

打順について

そう考えると、当然打順というのが重要になってくるわけです。クリーンナップそれも3番か4番が望ましい。例えば、ソリアーノを例にとって見て見ましょう。ちょっと終盤のログを見ただけで怪しいのが難点ですが。彼は、05年にテキサスで5番を、06年にワシントンで3番を、07年にシカゴで1番を打っています。いずれもチームも違って、出場試合数も違うのですが、毎年、ホームランと盗塁を安定して量産しているという点では一致します。

この、得点と打点の比率は、05年が5番で得点102対打点104、06年が3番で119対95、07年が1番で97対70となっています。チームの得点力が違うので総合値についてはあまり傾向を取ることが出来ませんが、得点と打点の比率は明らかです。1番になると得点に偏り、打線があとになればなるほど打点に偏るのです。下位打線に多いキャッチャーが打点しか取れなくなっているのはこの理由によります。

したがって、普通は3番打者が1番いいですね。多少走れたりすることも多いですから。5番というのはえてして打点重視になってしまい、超強力打線のチーム以外、ホームラン・打率とそろっていても以外に得点が苦しかったりします。無論6番以降は打点・得点ともに苦しくなってきます。

監督の好みというのもあります。日替わり打線が好きな監督の4番より、打線固定の監督の4番の方が打点・得点はよくなります。一方日替わり打線の8番というのはクリーンナップを打つ可能性がある一方、打線固定の8番というのはどんなに活躍しても8番で、打点・得点というのはそんなに伸びません。ここは、結構要注意なのですが、所詮、本国ではないので情報の取り方、入り方が子供のころから育って英語ぺらぺらのアメリカ人に劣ります。ほどほどでいいと思います。

気をつけるべきは売り出し中の打者の打順です。大概は最初の1月くらいはどんなに打っても下位打線かせいぜい2番とかです。クリーンナップにはかなかならない。そのため本塁打・盗塁というのを相当稼いでいても、打点・得点というのは低くなりがちです。売り出し中の打者というのが何名かいる場合は、猫の目打線のチームを選べるといいのは言うまでもありませんがね。昨年売り出し中だった打者で今年クリーンナップに入っている人は、打点・得点の増加が見込まれます。06年新人だったオリオールズのNick Markakisが、07年に打点・得点ともに大きく伸ばした(72, 62から97, 112)のは昨年はクリーンナップに完全に固定されたというのが大きいと思います。その他の成績はそんなには変わってませんから。したがって昨年HRと盗塁をいい感じで伸ばしていて今年クリーンナップが見えている打者というのは打点得点で大きく伸びる可能性があるのかなと思います。

長打力について

打点というのは、読んで字のごとく打って取る点です。打てないと取れない。何を打つか。走者というのはランナーなしというのが一番多く、ついで1塁、その後2塁、3塁とだんだん減っていきます。2塁以降にいる可能性というのは結構極端に少ないはずです。

ヒットしか打てない打者というのは、3塁に走者がいる場合と、よくて2塁に走者がいる場合しか打点を稼げません。一方ホームランが打てる打者というのは、どこの塁に走者がいても、または走者がいなくても打点を稼ぐことが出来ます。本当は2塁だとかも関係するのですが、めんどくさいのと、パブリックの数字として出てこないので、カットです。

この違いは、非常に大きく、ホームランが1桁の先頭打者、2番打者は、特にチーム得点が少ない場合、極端に得点力のみあって打点がないという形になってしまいます。

ちょっと古いデータで恐縮ですが、比べやすいので、イチローの05年と06年の成績をみてみます。

05年 111得点、15本塁打、68打点、打率303
06年 110得点、9本塁打、49打点、打率322

得点はほぼ同じ。打率は06年のほうがいいのに、本塁打の違いが影響して打点が大きく違います。打点だけいうと06年は正直使いたくない。31点のマイナスというのは結構きついです。ま、率と盗塁を超重視(ここで絶対トップ!)というなら別ですが。

このように本塁打の少ない打者は極端に打点が少ない場合があり、この選手の盗塁や打率を取りに行くと、気がついたら打点がものすごく苦しくなっていたという事態になりがちです。よって、HRの稿でも述べますがやはりpotential20HRはどんな打者にも求めたいところです。

チーム得点力について

チーム全体が得点しているときというのは打線に切れ目がありません。下位打者でも相当打点得点を取りますし、上位打者でもしかりです。

例えば、07年優勝のレッドソックスのショート、Julio Lugo。彼は昨年個人的には最悪の出来で、打率237、ホームラン8本ですし、打順も前半は1番、後半は8番か9番という形でクリーンナップではありません。そのため、現在FAとなっているリーグも結構あるはずです。

しかし、チーム全体が得点したために、70打点、70得点を達成しており、Rafael FurcalというLAD(ドジャーズ)のショート(打率270, 6HR)の打点(47)・得点(87)の合計を軽く上回ります。後で書くように打率というのは結構影響するので、この両者の差というのはひとえにチーム力によるといわざるを得ません。

チーム得点力は当然ですが、優勝するチームというのは若干バブルがあります。その年だけってのが。専門家はリスクをとりたくないので右に倣えで、前年度1位というのを悪く評価する可能性はほとんどありませんが、実際の世界では結構違ったりします。それは力が落ちたというより、単にバブルが終わったというだけとみた方がいいのかな、と思う場合も多数あります。

とはいうものの、前述の4番をトレードで引っ張ってくる例によるまでもなく、結構チームの得点の傾向というのはあります。選手は日本より移籍しますが、そう入っても長年の傾向というのもあります。球場の大きさとかにも影響されますしね。

というわけで、チーム総打点です(得点のほうが多少は高くなりますが、無視できる値です)。これをみて、高いチームの選手はクリーンナップ以外でも取っていいのかなと思います。ジーターとかカノとかいうNYY勢は当然に指名されますしね。

チーム名

07打点

順位

06打点

順位

New York Yankees

929

1

902

1

Detroit Tigers

857

2

785

9

Philadelphia Phillies

850

3

823

4

Boston Red Sox

829

4

777

11

Colorado Rockies

823

5

761

12

Cleveland Indians

784

6

839

2

Atlanta Braves

781

7

818

5

Los Angeles Angels

776

8

737

16

Milwaukee Brewers

774

9

695

26

Texas Rangers

768

10

799

7

New York Mets

761

11

800

6

Seattle Mariners

754

12

703

24

Tampa Bay Devil Rays

750

13

650

30

Florida Marlins

749

14

713

21

Cincinnati Reds

747

15

718

20

Toronto Blue Jays

719

16

778

10

Baltimore Orioles

718

17

727

18

Oakland Athletics

711

18

735

17

Chicago Cubs

711

19

677

28

Los Angeles Dodgers

706

20

787

8

San Diego Padres

704

21

698

25

Houston Astros

700

22

708

23

Pittsburgh Pirates

694

23

656

29

St. Louis Cardinals

690

24

745

14

Arizona Diamondbacks

687

25

743

15

Minnesota Twins

671

26

754

13

Chicago White Sox

667

27

839

3

Kansas City Royals

660

28

718

19

Washington Nationals

646

29

695

27

San Francisco Giants

641

30

711

22



Chicago White Soxのように急激にチーム全体が不振に陥ることもありますが、大体は安定しているのかなと思います。2年連続800点近くにいっているチームというのはやはり得点力はあるのでしょう。逆に2年連続750に行っていないチームは打点が少なくなるような気がします。

ま、ご参考という程度でしょうね。見るとしても。というのも、きっちりしたレギュラーで同じポジション(例えば1塁)で同じ4番で同じような成績でも打点・得点が違う例というのはたくさん示せるのですが、それはすでにランキングで考慮されており、こちらで考慮する必要はないからです。売り出し中の選手のときには下位のランキングが適当であることからすると、考えてやるのがいいのだと思いますが。

トレード選手のいるチーム

個人的にはトレードされた選手はどんなにいいトレード先だといわれていても、指名には後ろ向きです。特に上位では。環境が変わる結果がどう出るかが見えないからです。

ただ、ある程度の成績を残す実績選手である場合、前後は恩恵を被る可能性がたかい。特に5番打者で得点が少なかった人の後ろに長打力と打率のある6番打者が入ったりした場合。今年では、福留がシカゴでそういった働きが出来るといいなと期待して(期待は薄いのですが、思い入れがあったほうが楽しいので)、いつもよりシカゴのクリーンナップを取ってみたりしています。テハダが入ったアストロズもいいかもしれませんね。デトロイトは良くわかりません。前からよかったから、いじって本当にさらによくなるものなのか、昨年が爆発だったとしたら、地力には結構加点でも結果としてはそんなに加点でもないかもしれないなと。

爆発モード

気をつけたいのは爆発モードというのがあること。選手が、打率または本塁打で例年をはるかに上回る個人成績を残した場合は、問答無用で得点・打点が増えます。逆もしかり。この差というのは、打率が3割2分から3割3分に伸びた場合、得点・打点は1割以上変わりかねないもののような気がします。ここら辺もデータの蓄積がないので、怪しい推測ですが。

05年のチッパージョーンズと06年の彼を比べてみます。05年は、109試合、打率296、打点72、得点66です。06年は110試合、打率324、打点86、得点87です。ABが違うので、チームの勢いも違ったのかもしれませんが、大きく違うところです。

また、本塁打は20本くらいの人が40本打つと当然増えますし、逆もしかり。本塁打の稿で述べますが、この20後半と40ってのはその年のノリの部分で簡単に乗り越えちゃう選手ってのがいます。40以上打っている人は全員そうだし、安定して20後半の人も40の可能性はあると思います。去年は、ハフナー、Dyeなどその前の年40本以上打った人が20本台に落ち込むケースが目立ちましたが、これは別に昨年だけの傾向ではないと思っています。ま、いずれにせよ、1年見た限りの感想に過ぎません。

ドラフトとの関係では、20本後半、3割を打てるクリーンナップ打者というのをとっていれば、評論家の批評とは関係なく、いつでも爆発の可能性はある、位に思っておいていいのかなと思います。また、昨年3割3分とか、HR40とかを打っていて、今年怪しいかもという人は、その前年の底まで爆発していない時代まで打点・得点まで下がる可能性があると覚悟する必要があるのかなと思います。

ドラフト上位・下位指名

何度もいうようにクリーンアップは100名以上います。また、強豪チームのクリーンアップ以外も大量に指名されています。したがって、下位指名でも当然打点得点というのはありますし、爆発ってのも期待できます。そのため、上位でどうしても他のチームより確保しないとというのはありません。

ただ、比較的大きな数字ですので、目安として、ドラフト3順野手でいく場合、3順目終了時点で300打点、300得点が期待できるというのはあったほうがいいと思います。そうするとあとそれぞれ500点取るだけでよくなりますからね。したがって、上のいくつかのルールを覚えて、昨年の成績より多少upsideがあるな、安定して高いなというのを上位で選べるといいのだと思います。なお、バランス的には一芸選手の場合と一緒で、得点選手と打点選手を組み合わせるより、総合点が一緒なら、両方そこそこ高い選手を組み合わせるほうがチームが安定すると思います。

下位指名でも80,80は取れますが、後で本塁打・走塁をadd/dropでとりにいった場合、こういう打者は打点・得点とも活躍ほどは取れていないという場合が多いので気をつける必要はあります。やっぱりクリーンナップに固定されているおっちゃんというのが強い分野です。ドラフト上位は若者が多いので、おっちゃんは後からでも拾えます。あまりドラフト指名時に下位で打点・得点をしっかりと思う必要はないのかなと思っています。

ま、ここら辺はっきりしない部分もおおいので、また何か気がついたら書きます。


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