米国law school出願 (推薦状-3 ロジスティクス)
推薦状は、お世話になった恩師・上司に書いてもらうのであるから、当然、推薦者の予定を考慮に入れ負担にならないスケジュールを考える必要がある。また、推薦者はbrochureに目を通しているわけではないので、書式等を知らない。従って、推薦者の作業を少しでも減らし、applyする人自ら作業をすることで間違いを減らす努力をする必要がある。
1 スケジュール
まず最初に行うことは、推薦状を書いていただけるか否かの打診である。主に問題となるのは大学教授・司法研修所教官である。特に遠隔地にいたり、疎遠になっていたりする場合は、とりあえず現在の連絡先を有人等に確認することから始まる。上司については、事実上上司に拒否権がない場合は後回しでいいと思うが、上司が1名分しか推薦状を書かないなど事務所内等で推薦人確保の競争が事実上ある場合はこちらもおろそかにはできない。
いつ打診するかについては、なるべく早く、出願する年の夏頃が望ましい。とはいうものの、一部帰国子女等で英語が得意という人を除いて、たいていはこの時期TOEFLに苦しんでいることが多い。TOEFLを受験していて点数が上がらない場合は、来年にしようかなどと頭をよぎったりする。こういう状況で推薦状を頼むというのも難しいとは思うが、一つ思い切って頼むべきである。どうしてもという場合(私はこちらであった)、TOEFLが250点(CBT)を超えたあたりが一つのタイミングとなる。これを逃すと出願直前となりがちであるので気をつける必要がある。飲み会等があって、そこで会える可能性が高いのであれば、その席で聞いてしまうのも手である。何年かぶり(もしくは年賀状以来)に突然電話・メールするのと、酒の席というのはどっちもどっちであるが、人間酔っぱらっている方がガードは緩いのだから。
推薦状の打診をする場合に聞くべきことは、誰がドラフトするか、ご希望のひな形があるか、日本語訳は必要か、ヘッダ(大学や研修所の名前やマークが印刷されているもの)があるかという点であろう。どれくらいコメントをする予定か、他にどのくらい推薦状を出しているのか、ということも聞ける関係であれば聞くと参考になるかもしれない。同時期に出す昔の友人とのつながりが復活することもあろう。同時期に出願する友人は多い方が何かと作業を忘れないし、悩みも共有できる。
推薦者にドラフトを送る場合、どの程度でコメントしてくれるかは人による。できればせかさずに済むタイミングでお願いしたいものだ。私はせかしまくるタイミングとなっていろいろご迷惑をかけた。
2 推薦状の内容確定後の作業
推薦者にお願いする作業は、典型的な場合、①推薦状へのコメント、②推薦状へのサイン、③大学指定の用紙へのサイン、④封筒へのサイン、⑤applyする人への返信である。これらも、できるだけ作業をこちらでするようにした方がよい。
推薦状へのコメントが一段落し、推薦状が完成したら、こちらで印刷してお送りする(または会いに行ってその場でサインしてもらう)。印刷をお願いする手もあるが、できるだけ作業をこちらの手の内に置いておいた方が安心である。お送りする際は、できる限り全出願校の推薦状を一度にお送りすることが望ましい。私は2回に分かれてしまったが。
推薦状を印刷する際は、ヘッダつきの紙を使うか、ヘッダを作って印刷するのが先例であった。また、印刷する用紙を推薦者ごとに変えているものもあった。用紙はレターサイズ(アメリカのA4)の厚紙が多かった。推薦状を入れる封筒まで全部別のものを用意しているものもあった。私は先例に従ったが、全員分、通常のA4のコピー用紙・同一の封筒でも全然問題ないように思う。多分こちらの大学はそこまで見ていない。あればという感じか。ヘッダはないと言われた場合、適当にフォントを選択してそれらしく作った(むろん推薦者の了解は得てある)。
お送りする書類は通常、推薦状、大学指定の用紙(あれば)、推薦状を入れる封筒である。封筒に封をする作業はこちらでしたい。間違って入れられた場合に取り返しがつかないので後悔しないようにこちらで作業するといえば通常は問題なく了解してもらえる。内容は既につまっているから。
ただし、封筒に割サインをするように指示をしている学校が多いので封筒に割サインだけはしてもらう。特に出願校が多い場合、付箋ですべてのサインの位置を指示すると間違いが減るだろう。返送してもらった後、封筒を閉じるのは力作業になる。厚紙を折りたたむと結構な厚さになるが、割サインが不自然にならないように閉じないといけないので。
推薦者からの返送を受け取ったら、大学には、推薦者発送という形で送るか、特に指示がなければ願書と一緒に送る。どちらでもいいと言われている場合は、願書と一緒に送った。郵便が一部なくなるのが怖かったため。書類が一部書けているとかの通知は、大学にもよるがはっきり言って適当である。何も言ってくれない場合も多い。また、問い合わせる場合はすべて英語である。できるだけ簡単に説明できる状況が望ましい。
3 その他
推薦状の通数を厳格に指定している場合、それ以上送るか否か先例は分かれている。個人的には強く書いている場合は、通数制限を守った。なお、この場合も、推薦者全員に全校分サインしてもらうことが望ましい。私は、推薦者の作業を減らすという観点から、通数制限をしてない学校について推薦状をお願いしていない推薦者にはサインをお願いしていなかったのであるが、合格報告のときに、「あれ?サインしてない学校だな。」とからかわれ冷や汗が出た。全推薦者に、一番大事な推薦状ですという顔をしておくのが無難である。
推薦状以外に、事実上の推薦状を送るという手を使っている先例がある。内容は推薦状のまま何も変えないのであるが、推薦者が自発的についつい送っちゃいましたという形で送ってもらうものである。大学関係者に強いコネがある人が推薦人から漏れてしまった場合、後から関係者を知った場合などに当てはまろう。
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