米国law school出願 (Personal Statement-2 内容面)
Personal Statementに特にこれを書けという要求がなされることは少ない。ただ、一般にこれを書くというのは大体決まっている。日本の弁護士の場合、大学、修習、実務での活動を書く事が多い。JD希望のアメリカの大学生の場合、それこそ様々らしく、小さい頃のエピソード(のみ!)を書いたりもするらしい。
いくつか、前年度以前に留学した事務所の先輩、友人等からサンプルを集めると、大体の傾向と対策が見えてくる。イメージで恐縮であるが、Personal Statement以外の客観的な書類(成績、推薦)を証拠とした最終弁論という感じか。なお、書面の趣旨、米国の風習からして日本人には全般的に赤面ものの書面になることうけあいである(そのために書いていていやになり筆が鈍ったりもする)が、当然のこととして書き進める必要がある。
具体的には以下の流れが多かった。
1 大学時代
どのような大学時代を過ごしたか。成績、学業外活動。大学入学から書き始めることが多いが、それ以前にふれているものもあった。成績は上位5%だの、10%だの書いているみたい。むろん事実のことが多いと理解。なお、本人達の事情聴取によると、真相不明(というか自信はない)そうだが、とりあえず成績証明書に明白に嘘となるような事柄が書いていなければ、とりあえずいいと判断している模様。謙遜であろうか。
2 修習
受験回数から始めるものもあるが、それほど多数ではない。修習時代の成績にふれ、実務のエピソードにもふれることが多いようだ。裁判官・検察官に熱心に誘われたということを、ふれているものも多数。教官から成績を教えてもらったところずば抜けていた、5%に入っていたなどの記載をしているものも散見される。その場合には、当該教官からの推薦書には熱心に誘った等の記載があるというようにつじつまは合わせてある。むろん事実のことが多いと理解している。当人達は謙遜をすることが多いようであるが。
3 実務
どのような仕事をしたか、分野ごとに記載。Due Diligence のみしていた、流動化漬けになっていやだった、この事務所から逃げ出すことが留学の主目的で戻るつもりはないというような記載はむろんない。大体は、どの分野でも多くの仕事をした。クライアント・取引先からとりわけ高い評価を得たなどと書いてあった。すばらしいことだ。
また、著作、講演、プロボノ活動等についても記載してあるものが多い。
4 留学後の展望
なぜ、留学するか、何を学びたいか、クラスにはどのような貢献ができるか、2年目はどうするかなどを書く。2年目の事務所が決まっている人はまれであろうが、3と絡めて書けるならば望ましいことであろう。
特に成績・経歴・推薦者などでハンデを背負っていない人は、この通り書くのが一番無難なのではないだろうか。大学にも一部、仕事のことを書けという指定があるところもあるので、この通り書くことのリスクは少ないと思われる。私も流れはこのままである。ただ、一発逆転をねらっていた私は、以下の点に気をつけて書くこととした。
1 読み物としておもしろい
成績等書けるものは少なかったので、とにかくエピソード重視。特にあぁ、いい人だな、積極的だな、等と思ってもらえるようなものを中心にピックアップ。必然、推薦書もエピソード重視で、推薦者に負担が少ないものとなった。
また、エピソード等もできるだけ具体的に記載した。多数のPersonal Statementを読んでいる人に少しでも記憶に残してもらおうという作戦である。
2 人と違う
人と同じフィールドで勝負したら負けると思ったので、とにかく、自分は人とこんなに違うんだということを書いた。米国Law Schoolは、多様性を重視するというようなことを聞いたことがあったので、それにかけることにしたのである。合い言葉は、「欠点は多様性」。
3 視点を設定
意外に視点を設定している人は少ない。私の場合は、企業の活動・渉外(米国)に興味があったという、非常にべたな視点を設定した。真実であるだけに一定程度の説得力を持つと思った。大学の学部選択・ゼミ選択、米国滞在経験、簿記の資格取得、渉外就職、クライアントとのつきあい、出向などをこの観点から整理した。
4 長すぎず、短すぎず
Personal Statementに限らず、必要書類全般であるが、とりあえず最初にひな形になるような、全部てんこ盛りの物を作って、その後大学に応じて削って使うという作戦が一般に使われている。その原版の長さは、人により様々で、長い場合、10ページを超えている人もいた。
一般的に長すぎない方がいいといわれているのと、短い人の分は、かなり無理をしてはしょっている印象が出てしまうので、中間を取ることとした。原版は5ページくらいであった。
5 外国人にみてもらう
当然のことであるが、みな外国人がそうとう(かなり)手をいれたPersonal Statementを出す。それに書き負けないためにも外国人には積極的に見てもらうべきである。複数人に見てもらうのもいいかもしれない。
(追記)
6 個人的な事情があれば書く
奥さんと一緒に留学したい、子供がいるので治安のいいところがいいなど、一見身勝手な要望も、少なくとも要望に合致する大学については、記載していいと思う。異論もあるところであはあるが、余り不利益を受けているようにも見受けられない。一方、どのくらい考慮してくれるかは大学によるが、あからさまに考慮してくれる大学も結構ある感じだ。
同様の視点で、個別の教授について話を聞いていたら具体的にその教授の授業を受けたい!と書くのも有効かもしれない。実際書くことが求められる物もあるし。
このようにPersonal Statementの骨子ができたら(または並行・先行して)、次は推薦状である。
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