2007-01-27

米国law school出願 (推薦状-1 推薦者)

次に推薦状について。

1 推薦者
そもそも、推薦状はなぜ必要か。形式的にはむろん大学が要求するからであるが、ここで問題にしているのは、何のために取るのかという趣旨である。むろん、あくまで推測である。繰り返しになるが、願書の目的は大学を説得することである(と思う)。一般的に説得に妥当な立場の第三者の見解を用いるのはきわめて有効である。また、たとえ日本人のほとんどがそうであるように、実際は出願者が起案し、ほぼそのままサインしてもらっていても、当該推薦者とそこまで良好な関係を築いているということを示すという観点からはなお意味があろう。

その意味では、①推薦者の立場の妥当性(監督・採点する地位にあるか。また権威は十分か。)、②推薦者との良好な関係があるかという点を常に念頭に置く必要がある。

実際には、例によってどの大学にも使い回せるように最大公約数的なformatの作成からはいる。大学の要項を検討し推薦者の最大必要数を割り出す。とはいうものの、よほど英語が苦でないひとでない限りこの段階で先に全brochure (募集要項) を読むなどということができるはずもないので、先例にて必要だった数と、お願いする推薦者のリストを学ぶことが多くなろう。

結果、通常大体4名分推薦状を準備すれば大丈夫であった。実際に私が願書を提出した大学で5通以上を要求・encourageする大学はなかった。相当人より多く出しているのでまあ、基本的に5通以上準備する必要はないということになろう。

では誰に推薦してもらうか。入手した先例では、一番原則的なのが、事務所の上司、研修所裁判教官、大学時代の恩師(ゼミの先生)の3名。それに、裁判教官(通常最低もう1名いらっしゃるはず)、検察教官、実務収集の指導官で留学経験のある人(分野は様々)を加える形が多い。ゼミを取っていないという場合は、その他の方々から2名選ぶ。私の場合は、事務所上司、裁判教官、大学の恩師、出向先の上司の4名とした。

(1)事務所上司について
いくつかの大学の指示を見ればわかるが、事務所上司は外せない。LLMという実務経験者を採用するコースにおいて最新の評価は仕事上のものとなる。試験があまりないことからも、仕事上の実績は外せないということであろう。また、特定の事務所は特定の大学に(国内系事務所・企業の場合寄付によって、外国系の場合JD卒業者を採用すること等によって)枠を持っているという噂もまことしやかに流れている。真相は確認できないし、どの程度確かな枠かも事情によりけりであろう。いずれにせよ、そうであれば、なおのこと噂の事務所・会社にお勤めの方は、上司は外すべきではない。

特定の大学に影響のある人(出身者など)、肩書き・実績のすごい人、他の人に推薦状を出していない人などがいいといわれているが、真相は不明である。外資系の事務所の場合、事務所日本人上司、本国外国人上司の2名に出してもらうこともあるようである。

とはいうものの事実上、ここは悩む余地は少ない。それぞれのおかれた環境のルールに従って最良と思う人に頼むことになる。各パートナー1名しか面倒見ないという習慣があればそれに従うし、全員が同じ人に殺到するときは殺到しておくしかないのであろうし。もし、選択肢が多くあるのであれば、(失礼にならない限度で)それぞれの人の過去の推薦者の結果を各方面から情報収集し、トラッキングしてみるのも一案であろう。また、個人的には仕事上の上司2名というのもありではないかと思う。前職等全く基盤が異なる2名ならさらに有効であろう。私の場合もここに該当する。ただ統計上、少数派にはなろう。

(2)研修所教官
通常は裁判教官からもらう例が多いようである。私もそうした。ただ、確証はない。

留学準備をしていると何かと権威にすがりたくなる。その意味では国という権威をバックにしているという点が大変魅力的に映る。ただ、裁判所から留学に来ている方に伺う限り、裁判教官が絶対的な力を発揮する場面は限られているようで、(一番積極的に推薦してもらえるのではないかと推測する) 裁判官留学者でも受かる大学も落ちる大学もあるらしい。思いの外公平であるようだ。もっと国の影響力は強いかと思ったがそうでもないらしい。とすると、裁判教官に固執する必要もないのかもしれない。必ずしも裁判教官が留学経験を有しているわけでもないし(むしろ有していない場合の方が多いのではないか)。

どの教官にお願いするかについては、方針が分かれよう。一般的には誰が一番評価してくれたか、誰が一番影響力がありそうか、誰が推薦状の数が少なそうか、誰がめいっぱい推薦(原稿にコメントなし等)してくれそうか等が判断要素になる。クラスで前年に留学に行った人がいるならば、是非推薦状を誰にもらったか、教官の反応はどうであったか、その結果どの大学にうかったか等を聞いておくと役に立とう。ただし、むろん研修所時代の成績の彼我の差は念頭に置く必要がある。

(3)大学時代の恩師
大学時代の恩師にはもらえるのであれば是非もらいたい。修習を経て弁護士になった場合、研修所の位置づけは相当玉虫色になる。そもそもそういった制度が外国にないため、ロースクールであると言い張ってみたり、実務経験に若干入れてみたりいろいろである。そのため、必ずしも直近の学業とはみなされない可能性が否定できない。その場合は、大学が純粋学業の最終となる。LLMが大学院という位置づけをされていることからも、学部の指導者の推薦は重要となる。

私自身は、大学の恩師に傾倒していたので、何を書かれても推薦状がほしかった。損得抜きに。一方で穏和な教授であるのでひどいことにはならないだろうとも思っていたが。

(4)その他の推薦者
その他の推薦者は、もう好みが強くなろう。自分に少し有利になると思える人にお願いすることになる。

次回は推薦状の内容について記載の予定。

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