08ドラフト16 add/dropはやさしいリーグほど多用
ちょっと、ドラフトから寄り道をして、チームの運営管理の柱となるadd/dropについて。
他の人の戦績やら他のリーグを見てもらうと、add/dropを頻繁にする人のほうが、上位にいることが多い。これの一次的な理由としては、より真剣に管理している人の方が上位にいるという見方になるんでしょうが、実は、そもそも構造上、add/dropは繰り返すのが相当お徳ではないかと思っています。
1 実際の監督のレギュラー起用に比べてやさしい
add/dropとは、今チームにいる選手をFA(フリーエジェント。在野)のプールに落として、代わりにFAから人をとってくる作業をいいます。実際の野球ではメジャーに選手を上げたりマイナーに落としたりということが行われますが、それと類似。
ただ、違いもあります。まず、当然のことですが、落とされた選手も実際はメジャーでプレーし続けるので、その選手の調子とかそういうものに影響を与えません。逆に在野の選手もレギュラーであるので、メジャーでプレーしており、前日までの数字はマイナーの数字ではなく、メジャーでの数字となります。
何がいいたいかというと、実際の監督がベンチとかマイナーの選手を使うときに比べて、環境の変化がないため先の予測が相当立てやすいという特徴があります。したがって、実際の監督がベンチとかマイナーの選手を使うのに比べてそもそも成功の確率が高い。また、一度落とした選手の調子の推移というのもすぐにわかる。実際の監督であれば、ベンチウオーマーは、試合に出ないし、マイナーの選手はマイナーの成績しかわからないのでメジャーに上げたときに成績がどうなるかなど、現在の調子がどうかを見極めるのはとても難しいのですが、このゲームではそのデメリットが構造上全くありません。したがって、ちょっとでもどうかなとおもったときは、思い切って選手を入れ替えても実際の入れ替えに比べてリスクが少ないことになります。一言で言うと、実際の監督よりゲームの方が数段楽ということですね。
したがって、FAをとってくる作業は、実際のレギュラー変更に比べてそもそも相当成功確率が高いということになります。
2 リスクのない株式市場に類似
このゲームの数字の動きは株式市場にとても似ています。選手の成績を株価に見立ててマーケットとみるというのは誰もが感想として抱くことと思います。実際にNBAのファンタジーでは、ドルに換算するゲームまであるくらいですし。したがって、add/dropをやりまくるというのはday traderと同じような動きをする感じになります。
でも、実際の株式市場での売買に比べるとこれもものすごくリスクが少ない。実際の売買は、手数料がかかるというのもありますが、それ以外にも構造的にリスクがなくなっているのです。
ちょっと例を見てみます。
株式市場の場合、
100万円でA株式を購入。A会社が暴落し、A株式は10万円になった。この株式は嫌なので、売って他の株式を買いたい。
このとき、実際の株式市場であればA株は、10万円でしか売れず、次の株式は、10万円以下のものしか買えません。
ファンタジーの場合
超一流選手B(価値100)を保有。怪我をして今季絶望になった(価値0)ので、別の選手がほしい。
このとき、ファンタジーの世界のadd/dropでは、Bの現在価値0にかかわりなく、価値いくつの選手でもFAプールにいる限り取ることが出来るのです。
これは何を意味するのか。
一定以下の下ブレのリスクが0なのです。別の説明をしてみます。
例えばC株式を100万円で購入するときに、10万円になる可能性80%、200万円になる可能性20%の場合、この期待値は10万円*80%+200万円*20%=48万円です。
これを100万円で買うというのは、ありえない選択です。200万円になる可能性があるとしても、損になる可能性のほうが大きいわけですし。宝くじと一緒で損になる構造ですね。それよりは上ブレも下ブレもしない100万円の方がお得。これで投資が出来る資金というのは相当どうでもいいお金ということになります。虎の子の資産は絶対これを買うということはしないのが合理的です。
一方のadd/dropは以下の構造となります。
今もっている選手Dの価値は100とします。ここでは簡単にするためにDの価値は不変としておきます。ここで、FAプールに選手Eが見つかるとすします。選手Eの価値は将来的に、10になる可能性80%、200になる可能性20%であると見たとします。その場合、Eの期待値は以下のとおり
10*80%+200*20%=48(式1)
これを買うか買わないか。
短期的な利ざや(1週間活躍するからその間だけとる)ではなく、長期の展望(日々使う選手の入れ替え)として見た場合のadd/dropである場合、ここでは2つの要素を考慮する必要があります。
①優勝するためのレギュラーの期待値、②FAプールの実力、です。
①優勝するためのレギュラーの期待値
もし、期待値が120なら選手Dははいずれdropする選手です。リスクを検討のうえ、できればEをとりましょう。
これはドラフトでレギュラーをとりに行くのと同じ構造で、そもそも期待値が出せる人をそろえないと優勝できないからです。Dには可能性がなく、Eにはある。それだけで買いです。
レギュラーの期待値は、リーグの設定により異なり、多人数でやったり、使用する選手が多かったりすると当然下がってきますし、極端な話1名でやるとするとその年のベストナインを選ぶという作業になり、レギュラーの期待値は最高となります。また、何名add/dropを頻繁にやっているか、どの程度熟練した人とやっているかによっても違ってきます。
レギュラーの期待値が高ければ高いほど手元の選手がそれを満たしていない場合も多くなり、自然、add/dropに巻き込まれる選手の層というのは多くなります。
レギュラーの期待値というのは、どの選手を捨てるかというときに見るということになりますね。
②FAプールの実力
在野の実力は、基本的にレギュラーの期待値と正比例します。レギュラーの期待値が高ければ高いほど、FAプールの実力も高くなります。例外的に、大量に指名する設定で、BN(ベンチ)の数が多く、実際に日々使用する選手が少ない設定の場合は、レギュラーの期待値は高くなるものの、FAプールの実力は低くなります。
FAプールの実力というのはどの程度リスクをなくしてくれるかということに関係します。
先ほどの選手Eを取る場合に、FAプールで常に70の実力の選手は手配できるとします。その場合のEの期待値は以下のものに変わります。
70*80%+200*20%=96(式2)
期待値的にも相当捨てる選手Dに近くなりますね。それだけEとの交換というのがしやすくなります。実際は、もっと極端で、70以下になるとわかったとたん、捨てることが出来ること、70のFAプールには常に120のレギュラー値を超える「可能性」を秘めた人がいるとすると、以下の式が当てはまる場合もあります。
200*20%→もっというなら何度でもただで買える大成功20%の宝くじ(式3)
要は捨てる選手の実力は検討の対象(変数)にならない状態ですね。
これが当てはまるのは、手元のプレーヤーで一応日々使う選手が埋まっていて、後はベンチ要員がほしい場合。この場合は、成功しかみる必要がないんですね。
したがって、
add/dropを1度だけしかできないなら、検討すべき式は(式1)、add/dropを繰り返すなら(式2)、真の余剰戦力でadd/dropを繰り返せるなら(式3)で検討することになります。
換言すると、現在戦力が整っているチームほど大当たり狙いの大振りが可能である一方(より式3に近い形の計算になる)、拾う選手をレギュラーで使いたい場合、日々の出力が問題となるので、最初の(式1)近い計算式で計算する必要が出てきて、どんどん取れる選手が減り、ジリ貧になるという構造になります。よって、リスクが極端に軽減されているこのadd/dropの場合、戦力が整っているチームにadd/dropを繰り返されると相当つらいことになります。
このゲームはトレードadd/dropは大振りが出来る分、上位チームがより有利になる構造なんですね。したがって下から這い上がるのは相当人と違うことをしないとつらい。上位者に同じことをされると、よほど戦略上最初下位にいるというのではない限り(そしてそれは野球では投手部門しかありえない)、add/drop、fairなトレードでであがっていくというのはつらいです。ただ、ここは心理的な盲点もあります。いくつかチームを持っていると、わかるのですが、上位にいるチームほどおざなりになり、また守りに入りがちです。add/dropの回数が減る。この心理的な作用があるから、かろうじてadd/dropで這い上がれるんですね。
以上から考えると、FAプールの実力というのは、当該addするE選手の実力をはかる際のゲタにすることができるのです。Eをとるかというのをはかる際のものさしですね。プールの実力が高ければ、当該期待値は低いけれどもしかして大化けという宝くじ的なばくちを大量に出来ることになります。
このブログで話題にしているYahoo!のパブリックでは、①、②ともにadd/dropしろという方向に働きやすいです。特にcasualレベルでは積極的に参加している人も少ないですしね。優勝のために必要な選手は超一流で、在野にいるのも結構レベルが高い。その場合に、1.5流はもちろん、一流の結果を出すことができるが、上値がないベテランというのは、dropかトレードでどんどん出していっていいということになります。
3 選手数はどんどん増える一方
その年に使われる選手数というのは開幕直後と閉幕直前では後者の方が多くなります。実際の大リーグのワクの問題、見るべきパラメータの増加(調子の推移)については、以前書きましたが、それに加えて、実際に試合で使われる選手の顔ぶれもどんどんかわるのです。
例えば、レギュラーが怪我をして控えが出てきた場合において、レギュラーを捨てないとすると、レギュラーと控えの双方がファンタジーのadd/dropの対象となる程度の選手ということになるのです。この場合、1名しか対象にしていなかったのが2名に増えるんですね。怪我以外の要因もあるので、こうやってどんどんどんどんFAプールの人数はふえ、前記要因のうち②FAプールの実力というのは上がってくるんですね。
4 ファンタジープレーヤーの習熟
複数チームを持ってadd/dropを繰り返せば繰り返すほど、add/dropの成功率も上がる(当たりくじを選ぶ可能性が増える)この観点からもどんどんadd/dropをすべきということになります。要は知っている選手が増えるんですね。あと、競技ごとの選手の曲線にもある程度詳しくなりますし(たとえば年間打率9割ってのは存在しないとか・・・・)。
仮に、add/dropの成功確率が55%であるならば、上記リスクフリーの宝くじで成功確率が55%なら繰り返せば繰り返すほど、確率はあがるんですね。しかもあたりが出るとそれを除いた残りからadd/dropを繰り返すという話になると、全体の期待値はどんどんあがるのです。
上記検討からすると、パブリックの野球ように使う選手が少なく、参加している人も少ないリーグの場合、どんどんadd/dropするのがチームを強くする近道ということになるのかなと思います。
去年の野球などドラフトはほとんど失敗が多いのですが、add/dropを繰り返すだけで、1位率4割くらいは目指せるかと思います。これと1対2トレードをすると、猛者みたいな人がいないパブリックのリーグであれば勝率7割とかも可能になると思います。
ご参考までに、今やっているホッケー(ゴーリー、真のトップ選手以外は野球よりもっと流動性が強い)では6チームRotisserieでやっているのですが、当初ドラフトで16名指名するうち、トレードをしていないチームで4名残っているのが最高で、トレードしたチームは大概1名か2名しか元の人が残っていません(ほとんどゴーリー)が、それなりに満足のいく順位になっています。野球はホッケーより相当多い人数のドラフト指名選手を残すべきと思いますが条件設定によってはこれに近くなるのかなと思います。
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